-ゴスドラマ過去ログ:23801-23900-
安岡優「えっ?!」
ト書き「全くてつやに任せっきりだったのに、全然違う事をいわれ驚く安岡。」
ナレーション「一方日本では…。」
村上てつや「朝飯だぞぉ〜。」
酒井雄二「陽一、薫は?」
北山陽一「いらないって…。ずっと机で勉強してるよ。」
村上てつや「…いただきます。」
酒井雄二「本当に部屋から1歩も出ないつもりなんだろうな…。」
北山陽一「てつ兄が薫に怒るなんて今までに無かったからね…ショックだったのかも。」
村上てつや「…冷めるぞ、早く食えよ。」
酒井雄二「どーすんだか…」
北山陽一「無理してるよね〜。」
酒井雄二「口では厳しいこと言っても、結局てつ兄が1番薫にあまいですからね。」
村上てつや「うるせぇー!とっとと食わねーと片付けちまうぞ!」
酒井雄二「イタダキマス。」
北山陽一「「いりません。」」
酒井雄二「何、それ。宣戦布告?」
北山陽一「んー?薫が言ってたんだ。ご丁寧に、敬語で。」
酒井雄二「…反抗してても腹は減るだろうに…あいつの事だから自分で飯作って喰うだろうが。」
北山陽一「子供だね…ホントに。自覚してない分だけ、質が悪いけど。」
ト書き「そう言うと、北山は小皿へ料理を移し始めた。」
酒井雄二「…良いじゃん。向こうはまだ16なんだからさ。」
北山陽一「自覚してたら“確信犯”だよね。」
ト書き「移し終わった料理を飯台の下に置き、北山は飯茶碗を手に持った。」
北山陽一「後で…持っていってあげてよ。残るとは思わないし、二度手間になっちゃうから。」
酒井雄二「俺じゃなくても…適任が目の前に居るじゃないか。」
村上てつや「…あ?」
ト書き「味噌汁に醤油を注ごうとしていた村上に、二人は呆れたような表情を浮かべた。」
北山陽一「…これだから…。」
酒井雄二「良かったな、今日のおかず『南瓜もしくはじゃが芋の煮物』じゃなくて。」
村上てつや「…何喋ってんだ、雄二…。」
酒井雄二「うっかり煮過ぎて、崩れたのを食卓に出すのも嫌だからって、生クリーム足して『出汁入りポタージュ』作られた日にゃあ、たまったモンじゃありませんからな。」
北山陽一「うぇ…。それって、『大根のブルーベリーソースがけ』ぐらいの珍品だよ…。」
酒井雄二「まぁ要するに薫は幸せ者だな〜と思いましてな(笑)」
村上てつや「早く食わねーとマジで片付けるぞ…!」
ト書き「大人しくご飯を食べ始める北山と酒井。」
村上てつや「あ〜俺ちょっと…。」
酒井雄二「…どちらへ?」
村上てつや「ヤ、ヤボ用だよ!」
北山陽一「家の中でヤボ用も無いでしょう…。ほら、これ持って行ってください。」
村上てつや「…………。」
酒井雄二「はいっ!意地張らない!」
ナレーション「兄としての威厳などあったもんではないぞ村上さん!」
ト書き「渋々薫の部屋に持っていく村上。」
効果音「コンコン」
村上てつや「薫〜…朝飯だぞぉ〜。」
黒沢カオル「いりません!」
村上てつや「いりませんって…。」
黒沢カオル「今勉強中なのでそこに置いておいて下さい。」
ナレーション「あまりに冷たい黒沢の反応に、一瞬目の前が真っ暗になる村上。」
村上てつや「(って落ち込んでる場合じゃねーよな)…入るぞ!」
ト書き「勢いよくドアを開けて勝手に部屋に入る村上。黒沢は机に集中したままだった。」
黒沢カオル「許可してないです…すぐ出てって下さい勉強の邪魔なので。」
村上てつや「…お前、実は阿呆だろ。」
ト書き「本人の了解も得ずに、机の上から参考書等等を落とすと、食事を置いた。」
黒沢カオル「何すっ…!」
村上てつや「おう。そういう顔も出来んじゃねーの。飯食え。」
黒沢カオル「いらない。」
村上てつや「ほぉ?俺の作った飯は不味いから食えない?」
黒沢カオル「…てつ兄の料理は個性的な味で悪くないけど、今はいらない。」
ト書き「まんまと村上の挑発に乗ってしまった事を悔やむ黒沢」
黒沢カオル「てつ兄嫌い…。」
村上てつや「いいよ?嫌いでも。でも、俺は薫の事好きだからな。」
ト書き「その言葉に、村上から視線を反らす。」
黒沢カオル「…ブラコン…。」
村上てつや「子供臭い考え方してんじゃねーよ。 …いい加減大人として扱って欲しいのか、子供のままで良いのか、どっちなんだよ。」
黒沢カオル「どっちって…。」
村上てつや「もう…無理して子供っぽい振りはしなくて良いんだ。…それが地なら仕方ねぇけど。」
黒沢カオル「わかったような事言わないでよ…てつ兄はわかってないよ、何にも!」
村上てつや「じゃあ、お前は判ってるのか?なにもかも。」
黒沢カオル「判ってる…かもしれない。てつ兄が思ってる以上には。」
ト書き「机の横で村上は腕を組んだ。」
村上てつや「生意気な事言ってんじゃねぇよ!」
黒沢カオル「てつ兄と雄二兄ちゃん、ゆた兄と陽一兄ちゃん…。」
村上てつや「っ!!薫、お前…。」
黒沢カオル「不思議だったんだ、ずっと。兄ちゃん達の性格、見事に二分されてて…。最初はね、父さんと母さんの性格なんだって思った。でも、違うよね?どっちにも似てない…。」
村上てつや「………。」
黒沢カオル「それから、僕も…。僕は誰にも似てない。」
村上てつや「いつから?いつ気がついたんだ?」
黒沢カオル「小学校に入った年…。父さんに聞いたの。まださ、子供だったから…。すっごく無邪気に聞いちゃってさ。ちゃんと話してくれた。」
ナレーション「村上の目を見据えたまま、静かに続ける黒沢。」
黒沢カオル「僕達5人は、いろんな事情から父さんと母さんに引き取られたんだって…。」
村上てつや「薫……。」
黒沢カオル「てつ兄とゆた兄が気付いたのは1年前…だよね?今まで、父さん達と頻繁に連絡を取ってたてつ兄が急に避けるようになって、ゆた兄は突然僕達の面倒を見るようになった…。」
村上てつや「お、おい・・・」
黒沢カオル「1つ聞きたい、てつ兄と優兄は本当に双子?」
村上てつや「…双子は確かだよ、二卵性双生児…。」
黒沢カオル「そっか…。」
村上てつや「…言っとくけどな、俺はお前等の事本当の弟だと思ってる…それが一般的には認められなくても。」
黒沢カオル「どうしててつ兄は自分が苦しくなる今の今まで隠して俺達の面倒を見てたの?」
村上てつや「仮にも”保護者”として任されたからな…真実を知った事でコトを変えるのはおかしいだろ。」
ト書き「部屋を出ようと扉の方へ歩く村上。」
村上てつや「薫がどう思ってんのかは知らねぇけど、今は兄弟なんだからな…忘れんなよ。…飯食ったらドアの所に出しとけ。」
ト書き「静かな村上の口調に、勢いに任せ口走った事を今更ながら後悔する黒沢。」
北山陽一「薫、口利いてくれた?」
村上てつや「あ?あぁ…。今日一日部屋からは出ないんじゃねーか?ほっとけ…。」
北山陽一「…何かあったの?」
村上てつや「別に、何でもねーよ…、食い終わったんだろ?片付けるぞ…。」
ト書き「食べ終わっていた食器を片付け洗物を始める村上。」
北山陽一「てつ兄…。」
[TOP|NEXT|BACK]