-ゴスドラマ過去ログ:24001-24100-
ト書き「食べ終わった食器を見る薫。」
北山陽一「まぁ食べただけよしとするか…、勉強頑張れよ!」
黒沢カオル「うん、ごめん…ありがとう。」
ト書き「相関図を書いたページをそっと開ける」
黒沢カオル「陽一兄は知ってるの…?雄二兄は…?」
ト書き「上半身を机に乗せてボーっと窓の外を見る黒沢。」
北山陽一「はい、てつ兄。洗い物よろしくお願いしますね〜、薫ちゃんと食べたから。」
酒井雄二「やっぱり腹は減ってたんだなぁ、まぁ育ち盛りだもんね薫は。」
村上てつや「…何してた?」
北山陽一「ん?勉強してたよ…『わからない所ある?』って聞いたら『基礎問題解いてるから』って断られた。」
村上てつや「ふ〜ん…そっか…。」
ト書き「北山から食べ終わりの食器が乗ったお盆受け取ると、洗い始める村上。」
効果音「トントン・・」
村上てつや「なんだ?」
ト書き「音の方に振り返りながらてつやがこたえる」
村上てつや「こんな時間に…ところでウチ、苗字なんだっけ?」
ナレーション「そう言えば決めてなかったですね……」
ト書き「社長を父親に据えている辺りからすると……」
酒井雄二「小林ですか?」
村上てつや「やっぱりそうなるのか……」
北山陽一「なにか不満でも?」
村上てつや「いや、別に不満と言う訳ではないけどな」
酒井雄二「それより、お客さんでしょうかね。こんな時間に……」
北山陽一「って言うよりは、中で聞こえるんですけど、今の音。お客さんならチャイム鳴らすだろ?」
村上てつや「まさか……っ!」
ト書き「なにかに気付いたように、てつやは洗い物を放り出して廊下に出た」
村上てつや「こらっ薫!!」
黒沢カオル「(げっ、バレたっっ)」
村上てつや「なんで俺の前からいなくなろうとするんだよ…。お前も、優も…。頼むから…お願いだから…。薫!」
ト書き「少し悲しげな表情の村上」
村上てつや「お願いだから……また独りになるのは嫌だ…。」
ト書き「俯く村上。」
北山陽一「また?」
酒井雄二「また、とは…?」
黒沢カオル「てつ兄…。」
村上てつや「実は、、、俺は、、」
ト書き「そう、言いかけたそのとき」
効果音「ジリリリ〜ン ジリリリ〜ン」
北山陽一「………うちの電話って……黒電話だっけ??」
酒井雄二「また懐かしいものを……今の人黒電話って言ったって分からないよ」
ト書き「そんなやり取りをよそ目に、薫がその電話に出た」
黒沢カオル「もしもし?……あっ、ゆた兄?! どうしたの? あぁ、無事に着いたんだ……ううん、やっぱり気になったから……」
村上てつや「(優……?)」
酒井雄二「ゆた兄、無事着いたって?」
黒沢カオル「うん、父さんたちにも会えたって。雄二兄ちゃん代わる? えっ?なに?ゆた兄……てつ兄? うん、いるけど……うん、代わる……」
ト書き「薫はそう言うと、受話器をてつやに差し出した」
黒沢カオル「てつ兄、ゆた兄がなんか話あるって……代わってやって」
村上てつや「だけど……」
北山陽一「薫のことなら俺たちが見てますよ。とりあえず逃げ出さないようにね」
ト書き「心配そうにするてつやに、陽一は薫に片手をつかんで笑って見せた」
ナレーション「てつやは、それを見て無言で受話器を受け取った」
村上てつや「もしもし……」
安岡優「(電話)あ、てつ? オレ、優。そっち、なんかあった? 今逃げ出すとなんとか……」
村上てつや「いや、なんでもねーよ。で、お前の話って、なんだよ」
安岡優「(電話)うん……今そこに陽一とか雄二なんかもいるんだろ?」
村上てつや「あぁ、いるけど……えっ? あぁ、分かった。ちょっと待ってろ……」
ト書き「そう言ったかと思うと、てつやは電話を保留し、移動式の子機に転送した」
村上てつや「優の奴、俺とだけ話したいって言うから、ちょっと部屋に行ってる。俺が出て来るまで部屋には来るな」
酒井雄二「了解、兄貴」
北山陽一「じゃ、我々はこちらで待ってるとしますか」
黒沢カオル「ちょっと陽一兄ちゃん、そんなに掴まれると痛いってばぁ」
北山陽一「このくらい掴んでおかないと、逃げられるだろ? これくらいがちょうどいい」
ト書き「弟たちのやり取りに苦笑いをしつつ、てつやは自室に向かった」
村上てつや「悪い、待たせた」
安岡優「(電話)いいよ。それより、なんかてつ、元気ない? ホント、なにかあったんじゃない?」
村上てつや「なんでもないって。お前が心配するほどのことじゃない」
安岡優「(電話)またそうやって隠す。オレが隠し事しようとするといっつも言わせるくせに、自分が隠したいことはなにも言ってくれないよね。そういうの“ずるい”って言うんだぜ」
村上てつや「“ずるい”…ねぇ……なぁ、話しって…なんだよ。」
安岡優「ああ。俺達のこと、なんだけどさ。」
村上てつや「俺達の事…。」
安岡優「うん。落ち着いて聞いて欲しいんだけど、大丈夫か?」
村上てつや「なんだよ…。」
安岡優「実はさ……」
ト書き「安岡の言葉を黙って聞く村上。」
安岡優「…なんだって。」
村上てつや「俺と優が…そんな、嘘だろ…?…嘘だって・・・言えよ…。」
ト書き「受話器を持ち震える手を必死に抑えながら村上は声を殺した。」
安岡優「俺も驚いたよ…下の3人は本当の兄弟で、俺たち2人だけが違うなんて…思ってみなかった。」
村上てつや「…今日、薫に”兄弟みんな違う”って事指摘されたばっかりなんだよ…それが…どうして。」
安岡優「てつや、落ち着けって!…お前が今そっちでシッカリしないと、あいつ等が不安になるだろ?現に薫はそう言う言葉を口に出した…。」
村上てつや「わかってる…けどよ!」
安岡優「ひとまず、親父とお袋と一緒にそっちに帰るから…。その日にでもちゃんと説明するよ。」
村上てつや「あぁ…わかったよ…大丈夫、あぁ…じゃあな。」
ト書き「電話を切るとリビングに静かに戻る村上。」
酒井雄二「あっ、終わったんですか?」
村上てつや「あぁ…。」
北山陽一「優兄はいつ帰ってくるとか言ってましたか?」
村上てつや「えっ…あ、いや…なるべく早く帰るとよ…親父とお袋の仕事がまだ一段楽してないから…。」
酒井雄二「どうかした?なんか元気ないけど…。」
村上てつや「そんな事ねぇよ…。薫、出かけるならいいぞ…。」
黒沢カオル「えっ?!」
ト書き「村上からの意外な言葉に驚く黒沢。」
村上てつや「洗い物…まだだったな…。」
ト書き「小さく呟きキッチンへ向かう村上。」
村上てつや「…(何で今まで隠してたんだよ…親父もお袋も…嘘までついて…)…。」
効果音「ガシャン!」
村上てつや「ヤベッ…。」
ト書き「手から滑り落ち割れた皿を拾う村上。」
北山陽一「何やってる…って、てつ兄…シッカリしてくれよ。」
酒井雄二「あぁ〜あ…何やってるんだか」
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