-ゴスドラマ過去ログ:24101-24200-
村上てつや「悪ぃ…。」
ト書き「村上が拾ってる横にしゃがみ、無言で片づけを手伝う黒沢。」
村上てつや「…薫…。」
黒沢カオル「…いいよ、俺が洗い物しておくから…手切れてるよ。」
村上てつや「……。」
ト書き「静かに立ち上がり救急箱を出す村上。無言で洗い物をする黒沢。」
北山陽一「一体、何があったんでしょうかね……」
酒井雄二「うーん、まぁ、まったくなにもなかったと言うことはないでしょうが、俺たちがなに言っても教えてはくれないだろ」
北山陽一「すぐ1人で抱え込もうとするからね…てつ兄は。」
ト書き「二人はそう言ってため息をついた」
ナレーション「別の意味で苦労人な二人……」
村上てつや「(ヤバイなぁ……めちゃくちゃ動揺してる……)」
ト書き「割れた食器で切った傷を手当てしながら、てつやはさっきの優の話を思い出していた」
安岡優「“確かにオレとてつやはあいつらとは血が繋がってないかもしれない。でも、あいつらとは生まれた時から付き合ってきたんだ。今更他人になんてなれないだろ?”」
村上てつや「(あいつ、やけに落ちついてたな……あいつ、何もかも分かってたんじゃないか……?)」
黒沢カオル「……兄ちゃん…。」
村上てつや「薫……?! な、なんだ?」
黒沢カオル「あのさ…。僕、てつ兄のこと大好きだよ。雄二兄ちゃんだって陽一兄ちゃんだってそう思ってっるよ。だから大丈夫!」
村上てつや「なにがどう『大丈夫』か、言ってみ?ほりゃ。」
黒沢カオル「う…うぅ〜〜……。」
ト書き「どう言うべきか、頭を抱えそうな勢いで悩んでいる薫に、哲也は苦笑した」
村上てつや「日本人の悪い癖ってやつ、自覚したか?」
黒沢カオル「別に…俺らは俺らのまんま…、この関係はずっと続いてくモンだって事言いたかったのに…。」
村上てつや「そー…だよな。俺は、お前の兄ちゃんで、お前は俺の弟だ。」
ト書き「自分にも言い聞かせるように、哲也は呟いた。」
北山陽一「そうそう。続いていく意味を大事にしないとね?」
酒井雄二「明日に対して、罰が当たりますから。」
村上てつや「よ、陽一?雄二??」
黒沢カオル「さっきはゴメン…つい無機になっちゃって。」
村上てつや「お前等…。スッカリ大きくなっちまったな…。」
ト書き「照れを隠すかのように笑う村上。」
酒井雄二「てつ兄、オヤジっぽい…。」
北山陽一「アレ〜?薄っすら泣いてる気がするんですけどぉ〜!」
村上てつや「コラ!兄貴を冷やかすんじゃねー!」
ト書き「村上を冷やかす2人と恥ずかしさを隠すために怒る村上を見て、黒沢は少し嬉しくなった。」
黒沢カオル「ほんと、てつ兄も子どもだねぇ〜!(笑)」
酒井雄二「お前サンも、だろ。ガキばっかりだ。ウチは。」
黒沢カオル「あああっっっ!!!!!!陽一兄!!!昨日って陽一兄の…」
酒井雄二「誕生日!!」
北山陽一「あーあ。そういやそうだったっけ。」
黒沢カオル「今日も、もうすぐ終わるけどね。」
村上てつや「そっか、誕生日な…。忘れてたわ。」
酒井雄二「ま、いろいろありましたし…。」
黒沢カオル「ね、1日遅れちゃったけど今からお祝いしようよ。僕、ケーキ買ってくる!」
村上てつや「まあ待て。どうせなら作ろうじゃないか?」
黒沢カオル「作るって…誰が?」
村上てつや「俺と薫と…ま、雄二も入れてやるか。」
酒井雄二「なんだいなんだい!人をおまけみたいに!大体、てつ兄ケーキなんて作れるのか?」
村上てつや「ばっかやろ、お前!俺が小学校の調理実習で作ったケーキの美味さを忘れたのかよ!」
北山陽一「そんな10年も前の話を持ち出されても…。」
酒井雄二「記憶にございません!」
村上てつや「なんだと!ったく、お前ら記憶力悪すぎ!」
酒井雄二「記憶力の問題かい?!」
黒沢カオル「まぁまぁ…落ち着いてよ二人とも。とにかくさ、作るにしたって材料が無いから買出しに行かなきゃ。」
北山陽一「そんな、いいよ。今から買出しして作ってたら大変だし。」
村上てつや「でも食いたいだろ?ケーキ好きじゃん、陽一。」
北山陽一「それはそうなんだけど…。」
酒井雄二「甘いもの好きですからな、陽一とてつ兄は…って、あぁ!!あんた、陽一の為って顔して実は自分が食いたいんだな?!そうだろ?」
村上てつや「……ちっ、バレたか!」
北山陽一「てつ兄ぃ……。」
黒沢カオル「じゃあ、やっぱり僕買いに行ってくるよ。作るのは今度にしよう?」
酒井雄二「そうですな。陽一の誕生日なんだからケーキくらいは食べさせてあげたいよな。」
黒沢カオル「うん。ね、陽一兄ちゃんはどんなケーキがいい?生クリーム?チョコ?」
北山陽一「えっと、生クリームにイチゴがのってるのがいいな。」
ナレーション「少し恥ずかしそうに告げる北山。そんな北山に黒沢はにっこり微笑んだ。」
黒沢カオル「分かったぁ。じゃ、行ってくるね!」
村上てつや「おい、薫待てって!俺も一緒に行くよ。お前一人じゃ危ねぇし…。」
ナレーション「なんだかんだ言いつつ、末っ子に甘い村上さんです。」
村上てつや「ナレーションうるせぇ!薫は病み上がりなんだから、いいだろ!」
ナレーション「はいはい。そういう事にしといてあげましょう。」
黒沢カオル「でもてつ兄、教授にレポート再提出って言われてたよね…この前。」
北山陽一「ゼミの単位落としたら留年ですよね…確か。」
酒井雄二「しらな〜い、優兄の後輩で、俺の同級生なんて〜!」
村上てつや「それだけは兄貴として避けたいが…。」
黒沢カオル「てつ兄が留年したら父さんも母さんも悲しむし、俺等だって悲しいからさ。」
酒井雄二「じゃあ薫、俺と行くか!?」
黒沢カオル「何ならレポート陽一兄に手伝ってもらったら?英語得意だし、ねぇ陽一兄!?」
村上てつや「あのな〜2つ年下の高校の弟に手伝ってもらうようなそんな馬鹿じゃねーよ、俺は!!」
黒沢カオル「ゴメン、ゴメン!雄二兄と行って来るからさ、てつ兄はレポート仕上げちゃいなよ。」
北山陽一「その方が良いみたいだね…。ホラ、ココ全然意味通じないし、この段落言っている事がまとまってないよ…ホラ、ココも。」
ト書き「ソファーに無雑作に置かれていたレポートを勝手に読んでいた北山。」
村上てつや「あぁ〜勝手に読むなー―!!」
酒井雄二「では、いってきます。」
黒沢カオル「陽一兄ぃ〜てつ兄のレポートよろしくね〜!いってきます!」
ト書き「逃げるかのように買い物に出かける2人。」
村上てつや「こら〜!人のものをよむなっちゃ〜の!あ・・・薫行っちゃったよ・・・」
ナレーション「と、黒沢がいっちゃたことしゅんとなる、長男村上」
黒沢カオル「ねぇねぇ雄二兄ちゃん、どこのケーキがいいかなぁ?」
酒井雄二「そうだなぁ……・お前のお気に入りは?」
黒沢カオル「特にないけど…陽一兄ちゃんの好きなやつにしようよ」
酒井雄二「だな。とりあえずお前に任せたっ」
黒沢カオル「えっとねー、うちの学校の近くにある店のやつ!あんまり甘くなくって美味しいんだ!」
ナレーション「なんだかんだと甘いのは苦手な薫は自分の好みしか浮かばない」
酒井雄二「まぁ薫の選んだモノなら何でも食べるだろう。」
黒沢カオル「そうだよね!じゃ、あのお店に決定!!」
ト書き「一方家では…。」
北山陽一「だから!こんな文章無いって!勝手に作らないでよ、意味通じないって!」
村上てつや「俺は高校のときにこうやって習ったんだよぉ!文句言うなら高校の先生に言え!」
ト書き「弟陽一に英語をしごかれる兄てつや。」
北山陽一「あのねぇ、てつ兄がちゃんと聞いてなかったからだろ?ホラ、ココも!!ったく…よく大学受かったね。」
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