-ゴスドラマ過去ログ:24301-24400-
小林社長「てつやと優の本当の母親は高校生で2人を生んだ…父親となるはずの彼が交通事故で亡くなり、親にも反対されていた。」
佐々木真理「その子はどうしても産みたかった…彼の為にも自分の為にも。でもどうしても無理だから…だから私たちにって。」
安岡優「俺とてつやの名前は本当の母親が付けてくれたんだってさ…。」
北山陽一「そんな…。」
酒井雄二「嘘だ…俺は信じない…信じたくない。」
黒沢カオル「じゃあ、どうして!…どうして父さんも母さんも、てつ兄や優兄に俺達を預けて…。」
佐々木真理「信じていたのよ…てつやの事も優の事も…。」
村上てつや「産みの親も育ての親も親には違いねぇ…顔は知らねぇけど、その親が居なかったら俺も優もココには居なかったんだ…そうだろ。」
黒沢カオル「だけど!」
村上てつや「例え血が繋がってなかったとしてもそれが何だよ…血なんてわかんないだろうが。大事なのは人を思う心じゃねーのか?」
安岡優「…てつや…。」
村上てつや「正直言って俺も今どうして良いのかわからねぇ…けどな、俺はこの19年間、お前等と本当の兄弟として育てられたし育ててきた…それだけは自信がある。」
酒井雄二「確かにてつ兄はこの3年間、親みたいに俺達の事見守ってくれてた…。」
村上てつや「最初は”兄弟みんな血が繋がってない”って聞いてたんだ…けど、俺はそんな事よりもお前等自身の事が大事だった、血なんかよりも心を俺は大事にした。」
安岡優「俺は最初にそれを聞いた時、素直に受け入れられなかった。けどてつやの前向きな姿を見て”俺も!”って思った…それが1年前…遅かったよな。」
北山陽一「だから2年位、優兄は俺たちとは関わらずに居たんだ…。俺はてっきり大学毎日忙しいのかと…。」
村上てつや「優は忙しかったよ、俺が家に居る分バイトに励んでお金を入れてくれてた!」
安岡優「てつ、この際だからちゃんと話すよ…。俺はてつやにお前等3人を押付けてた…毎日遊んで、バイトして、部活やって…って。」
村上てつや「俺は別に高校に行く目的とか持ってなかったし…優は大学って言う目標があったから、だから俺は引き受けた。」
安岡優「高校生活を弟の面倒で終わらすのは嫌だ!…そう考えてた、ズルイよな俺。本当にゴメン!!」
黒沢カオル「・・・なんで?ずるくないよ」
安岡優「薫……」
黒沢カオル「ゆた兄の気持ち分かるよ。血の繋がらない弟たちの面倒なんて真っ平だって思っても不思議じゃないよ。誰だって赤の他人を面倒みることなんて出来ない……」
北山陽一「薫、ちょっと言い過ぎだぞ」
酒井雄二「陽一は悔しくないのか?! オレはムカツクくらい悔しい。だって今まで信じていたのに、こんな形で裏切られて、行った移動しろって言うんだ」
ナレーション「行った移動……?」
村上てつや「(か〜なりロートーンで)変なツッコミ入れるんじゃねぇ……」
安岡優「薫の言ってること、オレは否定出来ない。実際そう言う気持ちがなかったとは言いきれないし……この際だから正直に言うけど、今回オレが親父達のところに行ったのはこのことを確かめたかったからなんだ」
北山陽一「優兄……?」
安岡優「オレも薫やてつが聞かされてることを知ってた。でも、色々調べてるうちにそれが違っていることに気付いた。で、オレはもっと極端なことを考えてた。オレ一人だけが血が繋がってないんだって……」
村上てつや「優、お前……」
安岡優「みんなも覚えてるだろ? オレがみんなに迷惑かけた時のこと。あのとき、そのことを確信して、はっきり言って絶望した。かけがえのない家族が自分と他人だなんて……そう思ったら、自分の存在がこの家から消えてしまったような気がしてあんなこと……今考えるとバカなことしたと思う」
佐々木真理「優……」
安岡優「今回親父たちに確かめてホントに良かったと思った。ホントのこと知らなかったら、オレはこの先進めないと思ったから」
黒沢カオル「ゆた兄……ごめん。僕、言いすぎた……」
安岡優「いいんだよ、薫。間違ったことを言った訳じゃないんだから。お前ら、これ見たことないだろ?」
ト書き「そう言ってバックの中から取り出したのは、例の書類」
北山陽一「……これって?!」
安岡優「うちの戸籍だよ。いつもお前らが役所でもらってきてたのはこれの一部分……自分のところだけだっただろ? これは全部載ってるんだ。よく見てみな」
黒沢カオル「……字が難しい……」
北山陽一「文章が昔の文章だからね、読みづらいは読みづらいけど……って、これ、どういうことです?」
酒井雄二「どれどれ……えっ、兄貴たちが実子?! 養子じゃなくて?」
村上てつや「なんだって?」
黒沢カオル「えっ、どういうこと??」
北山陽一「つまりな、普通、子供が生まれると戸籍に登録するために届けを出すんだ。だからこの戸籍には、その子供が誰の子供かって言うことが全部書かれてる」
酒井雄二「優兄たちは本来両親が違うわけだから、他の戸籍からこっちに移されているはずなんだ。でも、この戸籍を見る限りでは、この両親から生まれた子供になっている」
安岡優「それが、親父たちの愛情だったんだ。例え違う親から生まれた子供でも、自分の子供として育てよう。もしこの先自分たちの子供が生まれたとしても分け隔てなく育てようって、そう言う思いを込めてオレとてつを自分の子供として届けたんだ」
村上てつや「親父……」
小林社長「実際、わたしたちの子供も生まれるはずだった。でも事故によってそれも叶わなかった。その時の彼女の落ちこみようは半端じゃなかった。すべてを拒否して、様々な障害が出たほどだからな」
黒沢カオル「母さんが?」
佐々木真理「さっきの優じゃないけど、絶望して死のうと考えたくらい。でも彼女に励まされて立ち直れた。彼女の親たちが、彼女の中の命を消そうとしてるって聞いたとき、自然と身体が動いたわ。やはり母親の心理だったのかしら。このまま産ませてやってくれてって必死で頼んで、生まれた子供はわたしが引き取りますって言って……」
小林社長「あの時の母さんはカッコよかったぞ。父さんもすっかり惚れ直したほどにな」
黒沢カオル「お母さん…!」
佐々木真理「今まで黙っててゴメンなさい。でも分かって欲しいの。」
ト書き「真理母さんは真剣な目で5人の子供を見た。」
黒沢カオル「あなたたちは私たちの大切な子供よ」
佐々木真理「薫、ママのせりふとらないで」
ゴスペラーズ「ありがとう・・・」
佐々木真理「なんだがビックリだはありがとうなんて言われたら」
村上てつや「・・家族っていいな〜オイ!(涙)」
黒沢カオル「もうなにゆってんのさ…。でも、そうだよね…。」
酒井雄二「…薫は、その事で悩んでたのか?」
ト書き「唐突な兄の言葉に、反射的に黒沢は酒井を見た。」
黒沢カオル「え…っと…。」
村上てつや「それよりよ…!!優は何でイタリアに行ったんだよ?2人を連れて帰るだけじゃねーんだろ、目的は。」
黒沢カオル「…てつ兄、ありがと…。」
ト書き「小さく呟く黒沢に目で合図を送る村上。」
安岡優「…留学しようって思ってたんだよ…それの確認と今回の事の確認をしようと思ってさ…。」
北山陽一「優兄、留学するつもりなの?」
安岡優「前々からゼミの教授に言われててさ…いい機会かなって思って。」
酒井雄二「何処に何年ぐらい留学を?」
安岡優「…アメリカに、2年かな…こっちで大学4年になる頃に戻ってくる予定になってるから。」
村上てつや「…決めたのか?」
安岡優「…でもさ、これ以上てつやに大変な思いさせるのは悪いと思うし…親父とお袋がこっちに帰ってくるなら別だけど。」
佐々木真理「留学に反対はしないけど…母さんも父さんもまだイタリアでの仕事が軌道に乗っているわけじゃないから…。」
小林社長「まだ他にも”スペイン・フランス・ドイツ・イギリス”のしことも残ってるんだよ…。」
佐々木真理「”仕事”よ、アナタ。」
村上てつや「でもお前高校の頃から”英語”を勉強した言っていってただろ…その為に大学も英文科に進んだんだし、せっかくのチャンスじゃねーか。」
安岡優「俺はまともに兄貴らしい事してないんだぜ?それで俺の勝手で留学だなんて…。俺の中で留学=押付けになってるのかもしれない…。」
村上てつや「俺は1度も”優が全部押付けた”なんて思っちゃいねーぞ!…確かに3人の弟の面倒を1人で見るのは大変だった…けどよ、その分俺は色んな事学んだし色んなもん得られた。」
酒井雄二「俺だって優兄が俺たちのこと見捨てたなんて思ってない!…今も、これからも。」
北山陽一「留学に賛成するよ…行ってきなよ、優兄が進みたい道に進みなよ…この前俺にも言ってくれただろ?」
安岡優「陽一…。」
北山陽一「『やらないで後悔するより、やってから後悔した方が良い。』って…だから俺、今音楽の勉強もしてる。優兄が言ってくれなかったらきっと後悔してるよ、俺。」
黒沢カオル「…俺も。確かに淋しいけど、でもてつ兄と優兄は今まで色んな事我慢してきた。だから、ご褒美だって思って留学してきて欲しい。」
村上てつや「ホラ、俺は優みたいに頭良くないし体力だけがある男だからよ…。お前には良い思いしてもらいたい…双子の弟として俺はそう思ってる。」
安岡優「お前等…。…俺って本当に駄目な兄貴だよな、自分の気持ちが抑えきれなくて結局逃げてる…。」
酒井雄二「俺たち兄弟だろ、兄弟に変な気は使わないでくれよ!優兄、俺達は優兄の事大好きなんだ…だから留学して欲しい。」
北山陽一「優兄が居なくなると確かに勉強が聞けなくなるから困るけど、でも頑張ろうって思う…俺も優兄みたいになろうって。」
村上てつや「悪かったなぁ〜どうせ俺はレポートもまともに書けませんよ〜だ!」
ト書き「少しスネ気味の村上をフォローしようとする北山。」
安岡優「ハハハッ。…ありがとう、雄二、陽一、薫…てつや。」
ト書き「いつもと変わらない弟たちの態度に安心した安岡が微笑む。」
黒沢カオル「……。」
北山陽一「薫?どうしたの?」
村上てつや「薫?」
黒沢カオル「なんか嬉しい…兄弟って感覚を取り戻した気がする。…小学校の時から無くなってた感覚が。」
安岡優「薫…じゃあ今まで…。」
黒沢カオル「父さんから聞いた言葉で”兄弟”って思えなくて…ただの年上の人って、だから…なんて言うか…。」
ト書き「微笑むと黒沢は下を向いて顔を隠してしまった。」
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