-ゴスドラマ過去ログ:25401-25500-
村上てつや「ダメみたいだな…。あいつが負い目を感じる事なんてねぇのに!」
北山陽一「それでもゆた兄は気になるんだろうけど…。」
黒沢カオル「あのさ…。」
ナレーション「うつむく村上の隣にちょこんと座った黒沢は言葉を選んで話し始める。」
黒沢カオル「てつ兄もゆた兄も僕達の事を本当に心配してくれてるのは分かるんだ。寂しい時もてつ兄がいてくれたから我慢だって出来た。でも、でもね…。」
酒井雄二「薫…。」
黒沢カオル「僕達もあの頃からは少しは成長してるよ。てつ兄が頑張ってる背中見てきたんだもん。だから、夢はあきらめて欲しくない!てつ兄もゆた兄も!」
村上てつや「薫、お前…。」
黒沢カオル「大学続けなよ、てつ兄。ゆた兄がいなくなる分は3人でちゃんと頑張るから!だから、2人が喧嘩することなんてないよ!」
村上てつや「ゥゥゥ」
黒沢カオル「も〜う、てつ兄ったら・・・。」
ナレーション「いつも自分がそうしてもらっているように、てつやの頭をそっとなでる蚊薫。」
酒井雄二「そうだよ!薫の言うとおりだよ!しかし、、、俺よりも大人になったな〜!」
黒沢カオル「なんだよ雄二兄ちゃん」
ナレーション「黒沢が酒井の方をちらりと見た。」
村上てつや「お前等の事少し子供に見過ぎてたな、俺…反省しなくちゃ駄目だな。」
北山陽一「僕達もしっかりしないと、知らない間に薫に先をこされるようになるかもしれませんね・・・。」
村上てつや「…大学行くかな…。」
黒沢カオル「そうしてよ!その方がてつ兄の為になると思う…優兄だってそう望んでるし、俺達だって本当はそうして欲しいもん!」
北山陽一「俺たちのことは気にしなくていいんだよ。てつ兄は自分のやりたいことやってくれれば」
酒井雄二「そうだよ。意外と頼りになると思うよ、俺達。(笑)」
黒沢カオル「陽一兄ちゃんはね…。」
酒井雄二「あ、何?その言い方は?」
北山陽一「偉いぞ薫!」
黒沢カオル「うそうそ、雄二兄ちゃんも頼りになるよ。てつ兄、ゆた兄のトコ行って大学辞めないよって言ってきたら?ゆた兄機嫌直してくれるよ!」
村上てつや「あぁ、そうするよ」
酒井雄二「やきもきさせる兄貴達だよなあ。」
北山陽一「ホントにねぇ・・・」
黒沢カオル「僕等の手紙の原動力は、大学の方に使ってよ。僕等もてつ兄が頑張ってる姿を見て」
酒井雄二「お〜い!?」
黒沢カオル「あぁ!ゴメンっ!…てつ兄が頑張ってる姿見て、色んな事頑張るからさ。てつ兄が僕等の原動力だよ!」
村上てつや「そう言ってもらえて嬉しいよ…さて、優のところ行ってくるか…。」
ト書き「村上は椅子から立ち上がり優の居る部屋へ向かった。」
村上てつや「…優、お前と面と向かって話がしたい、ここ開けてくれ。」
安岡優「…説得しようって思っても無駄だからね…俺はてつが大学辞めたら留学も大学も辞める!」
村上てつや「辞めねーよ!…辞めねーよ、大学…だから優は留学しろ。」
効果音「ドタドタ…ガチャ、バタン!!(ドアが勢いよく開く音)」
安岡優「てつや、ホントか!!?」
村上てつや「あぁ…薫に言われた…俺は少しあいつ等の事子供扱いし過ぎたみたいだ。」
安岡優「てつや…。」
村上てつや「『優兄が居ない分、俺達が頑張るから』…って、もう3年前のあいつ等とは違うんだよな。(苦笑)」
安岡優「本当だな?本当の本当に大学辞めないんだな?ちゃんと4年間通うんだな?!」
村上てつや「4年かどうかはわからねーけど、卒業するまで辞めねーよ…だからお前は留学して英語に磨きをかけてこい!それでOKだな?!」
ト書き「安心した優は思わずその場に座り込んだ。」
安岡優「良かったぁ……。」
村上てつや「お兄ちゃんは心配性でしゅねえ。」
安岡優「てめぇ〜からかうなよ〜!(笑)」
村上てつや「からかってないだろぉ〜?」
酒井雄二「(やれやれ…ですな。)」
北山陽一「(ホント、心配させるよね。)」
黒沢カオル「(てつ兄達のほうが子供みたいだよねぇ…。)」
ト書き「顔を見合わせ、微笑みあう。」
村上てつや「こら、そこ!なに笑ってんだよ!?」
黒沢カオル「なんでもないよっ!」
安岡優「ったく、てつが最初から大学辞めるなんて言わなければ俺だってこんなに考えなくて済んだのにさ。」
村上てつや「あのな〜、俺は俺なりに色々考えたんだよ!それがそういう結果で…!」
酒井雄二「まあまあ、御兄さん方解決したんだから良しとしようじゃないですか!」
北山陽一「そうそう、ったく双子の御兄さん方は…、兄弟なんだから腹割って話そうよ。」
黒沢カオル「うんうん、血は繋がってなくたってみんな兄弟なんだからさ。俺たちはお兄ちゃん2人の事、凄く尊敬してるんだよ!」
村上てつや「俺はお前等の事尊敬してるよ…優も雄二も陽一も薫も…。」
ト書き「まだ座り込んでいた優に手を差し伸べたてつやが言った。」
村上てつや「この3年間お前等には色んな事学んだよ…俺もまだ高校で右も左もわからねーのに頑張って付いて来てくれてよ。」
酒井雄二「それは俺らも言えることだよ、てつ兄。」
村上てつや「最初は戸惑った”両親代わり”なんて聞いたこともねーし、まさか自分がなるなんて思いもしてなかったからな。」
北山陽一「俺らだって両親が海外行って兄弟だけで暮らすなんてありえないと思ってた…。」
村上てつや「学校の連中はみんな楽しい事いっぱいなのに、俺だけは家事に弟の教育にで…。」
安岡優「俺はその連中たちと一緒になって…何もしなくて、本当にゴメンな。」
村上てつや「けど今は本当に良かったと思ってる、自慢の弟たちだし俺の考え方も全く変わってきた…今は親父やお袋、お前等に感謝してる。」
黒沢カオル「俺もてつ兄みたいに自分の事のように考えてくれるお兄ちゃんが居てくれるのは誇りに思ってるよ。」
村上てつや「これからも兄弟5人で仲良くやって行こうな。」
ゴスペラーズ「あたり前だよ!!」
ナレーション「       ……終わり…… 」
ト書き「笑顔で手を振る5人。」
村上てつや「・・・って・・・これ、うまく閉めたのか・・・?」
安岡優「なぁ〜んか微妙な終わり方だったねぇ…」
酒井雄二「いいんじゃないですか、たまにはこういう終わり方も。」
安岡優「あっそぉ言えばっ北山せんせ!さっき車で送っていった時にこーんなのが落ちてたんだけど…。」
北山陽一「げえっっ!!!それは…!!!」
村上てつや「えっなんだよっ!オレにも見せろよなぁ!」
黒沢カオル「なになにー?北山なにしたのさ?」
酒井雄二「ああっ押さない押さない、我輩にも見せてくださいよっ!」
北山陽一「だめだめだめっ、ダメですよ、コレだけは…」
安岡優「えっソレってそんなに見られちゃマズイもんだったのぉ?ふ〜ん…(小悪魔の微笑み)」
村上てつや「北山ぁ、勿体ぶってねーで見せろよぉっ!」
ト書き「そう言って、村上は無理やり北山の手から『ソレ』を取り上げた。」
北山陽一「ああっプライバシーの侵害というのは今の日本では大きな問題になり得ることでっ…」
ト書き「しかし、村上は北山の言う事に耳を貸さずに大声をあげた。」
村上てつや「ああっ?!北山…なんでお前イニシャル入りのシルバーリングもってるんだ…?お前のイニシャルじゃないし…」
安岡優「えっイニシャル入ってたの?誰のイニシャル???」
黒沢カオル「誰の?誰?ダレ?」
酒井雄二「白状しなさい!男なら!!」
北山陽一「エッ?!…イニシャル?」
ト書き「覚えが無い!と言う顔で首を傾げる北山。」
村上てつや「トボケても無駄だぞ〜、北山!!」
北山陽一「いえ、ホントに!」
安岡優「ほ・ん・と・にぃ〜???(上目遣い)」
北山陽一「本当に…。」
黒沢カオル「やけに冷静だよね…やっぱり覚えが無いんだ。」
酒井雄二「どれ、貸してみんさい。村上さん。」
ト書き「村上の手から、リングを取り。観察する。」
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