-ゴスドラマ過去ログ:26201-26300-
ト書き「そうつぶやく村上の後ろには、薄っすらと霧に映える朝日が見えていた。」
安岡優「早くはやく〜」
村上てつや「とりあえず…酒井はコッチの裏口から入っていったから…」
安岡優「ね〜早くってば」
村上てつや「ワーッたよ五月蝿いなあ」
安岡優「そんな面倒くさそうな顔しないっ!てっちゃん、走って!!」
村上てつや「こらヤスっ、そんなにデカい声だすとまた敵が来るかも…うわっ?!」
ト書き「大きな声をあげながら村上はどこかへ姿を消した。」
黒沢カオル「…てつ?どっから降ってきたんだよ?」
村上てつや「ettu」
黒沢カオル「なに動揺してんだよお〜。驚いたのはこっちだって言うのに・・・。」
村上てつや「だっ、なんっ、ええっ?!」
ト書き「上を見るとぽっかりと大きな穴があいている。」
安岡優「お〜い、てっちゃん無事〜?あれ☆黒沢の旦那と・・・あっ!お陽さんもいる!!皆んな無事だよね?」
村上てつや「俺は無事じゃねーぞっ。まったく・・・いたたたた・・・。」
北山陽一「お侍様大丈夫ですか?・・・あっ、血がっ?!」
ト書き「自分の着物を裂き、手当てをする北山。北山の優しさの片鱗を見て微笑みつつも悲しげな表情の黒沢。」
安岡優「こ〜んな近い場所にいたんだね。さてと、てっちゃん!縄を下ろすからひとりずつ上ってもらって。」
村上てつや「おう!じゃあレディー・ファーストだ。お陽さん、あんたから登りなさい。おーい、ヤス!お陽さんから行くぞ!・・・さあ早く。」
北山陽一「・・・お侍様・・・。(顔を伏せて)カオルさん・・・いえ黒沢様・・・わたくしは・・・」
黒沢カオル「さあ!早く行くんです!」
北山陽一「・・・はい。上でお待ちしています。」
安岡優「お陽さん、早く!」
村上てつや「(お陽を見上げ)これでよかったんですか?旦那。」
黒沢カオル「うん・・・。俺にはまだしなくちゃいけないことがあるからね。それにしてもテツには何もかも見透かされてるな(苦笑)。」
村上てつや「お陽さんのことはヤスに任せて・・・行きますか。この事件の張本人の所へ。」
黒沢カオル「ああ・・・行こう。(お陽さん、ごめん!!)小林殿の所へ。」
酒井雄二「とりゃ〜っ!!ふう、こんなところですか・・・。あれ?ヤスがお陽さんと一緒に歩いてる・・・?おーーーーーい!!ヤスーーー!」
安岡優「あっ、酒井さん!よかった〜(小声で)てっちゃんと旦那が小林殿の所へ向かったんだ。悪いんだけど僕お陽さん送ってくるから。」
酒井雄二「(小声で)分ってますって我輩もすぐ彼らを追います。ヤスも気をつけて!(にっこり笑って)」
安岡優「ありがとう。僕も送ったらすぐ追いかけるから。酒井さんも気をつけて(にっこり)。それじゃ。」
酒井雄二「(2人を見送り)・・・さて私も急ぎますか。」
北山陽一「・・・」
安岡優「どうしたの?お陽さん・・・?」
ト書き「ふいに俯いたまま立ち止まった北山を怪訝そうに見つめる安岡。」
北山陽一「私、私嫌です!守られてばかりで役に立たなくて・・・。黒澤様に、皆様に迷惑・・ばかり・・かけて・・・。」
ト書き「はたはたと涙をこぼす北山の肩に優しく手を乗せる安岡。」
安岡優「俺達は、特に黒沢の旦那はそんなこと絶対に思ってないと思う。役に立ってないなんてとんでもないよ!お陽さんが笑ってくれるだけで元気がでるんだから、ね?」
北山陽一「・・・はい。(安岡を見上げ)ありがとうございました。ここからは私一人で大丈夫です。安岡様は早く皆様の元へ(微笑)」
安岡優「えっ?でも・・・。ちゃんと送るよ!そうテツと約束・・・っとヤバっ?!」
北山陽一「(苦笑)もういいんです、隠さなくても。私がいると仕事が出来ない。さっきも言いましたが私、守られてばかりは嫌なんです!(にっこり)大丈夫です。ひとりで帰れます。ですから安岡様は・・・。」
安岡優「でも・・・。」
北山陽一「心配性ですね、安岡様は(苦笑)。・・・私は黒澤様のお屋敷で待っていればよいのですか?(真剣な眼差し)」
安岡優「・・・うんっ!わかった。僕はみんなのところへ戻るから、お陽さんは若旦那のお屋敷で待ってて!あ、でもあの鍵の外し方難しいんだよな・・・。」
北山陽一「心配しなくても大丈夫。勝手しったる何とかです。これでも昔はよく父上の目を盗んで黒沢さまのお屋敷にこっそり忍び込んだんですよ。くすくす(笑)」
安岡優「え??そうなの?(やっぱそういう関係だったのか・・・)」
北山陽一「今・・・心の中で何か言いましたか?(真顔)」
安岡優「えっ!?いやっ、な・な・な・なんでもないよ!!?(何でばれる!?)」
北山陽一「それでは、お気をつけて。」
安岡優「お陽さんも・・・。必ず旦那を無事に連れて帰るから!」
北山陽一「後で笑顔で逢いましょう。」
安岡優「うん!それじゃぁ気を付けてね」
ト書き「お陽は笑顔を見せるとひとり屋敷へ向かっていった。」
安岡優「・・・とは言ったものの、本当にだいじょーぶかなぁ?」
ト書き「やっぱり、後をつけてみる事にした安岡だったが…」
北山陽一「…ああっ何をなさるのですか?!ちょっ、放してください!!」
ゴスペラーズブラック「え〜い五月蝿い何でかってに逃げてんだ!!許可なく逃げるな!!!」
ト書き「そういうと、ゴスペラーズブラックは軽くお陽の腹部に拳を入れた。と、お陽は音もなくその場に崩れ落ちる。」
安岡優「あっ、やっぱり逃げ出したのばれてた?!お陽さんを助けな…うぐっ?!」
ト書き「不意を突かれ、うめき声を漏らしてその場に倒れる安岡のもとに立っているのは…田辺だった。」
田辺恵二「少し手間がかかったが…まあいい、殿の元に戻るとするか。」
ト書き「倒れた優の頭から真っ赤な血が道端に広がってく」
黒沢カオル「お陽さん…ちゃんと屋敷についたかなぁ?」
村上てつや「大丈夫だって。ああ見えても安岡は、いくつかの流派の師範をつとめる実力のあるヤツだからな。」
黒沢カオル「そうだな。」
ト書き「自分に言い聞かせるように肯きながらも、黒沢は不安を隠せない。」
DJバリ"K"〜ん「あ!!あそこに居るのは安岡の旦那!旦那どうしたんです・・・な、これは一体・・・・・」
ト書き「『謎の密偵』ことバリK〜んは安岡にかけよる。が、出血の量が多く、安岡は動かない。」
DJバリ"K"〜ん「逝っちゃった・・・かな???」
ナレーション「(バリさんっ、台本見てください!逝ってませんよぉ!)よく見ると、かすかだが胸が上下に動いている。」
DJバリ"K"〜ん「(なになに…はっ逝ってなかったのかぁ!)…ヤバいな、このままだと命のほうに危険性が…仕方ない、いったん俺の屋敷に運ぶか。」
ト書き「出血多量でぐったりしている安岡を背負い、バリK〜んは自分の屋敷に歩を進めた。」
安岡優「・・・うっ。(はっとして)お陽さんは?!」
DJバリ"K"〜ん「私が着た時はすでに居ませんでした・・・きっとまたさらわれたのでしょう・・・・・・・」
安岡優「こうしてはいられないっ!!・・っつ!!」
DJバリ"K"〜ん「旦那だめですよ!気がついたばかりで無理をしちゃ。すごい怪我だったんですよ?!」
安岡優「くそっ!!・・・・・・若旦那に合わせる顔がねぇ・・・・・・」
DJバリ"K"〜ん「…きっと大丈夫です。たまには仲間を信頼してみてもいいと思いますよ。…っと、着きました。貴方は先に頭のほうの手当てをしないと。」
ト書き「まだ息が荒い安岡を床に下ろすと、バリK〜んは部屋の置くから包帯と薬草を取り出した。」
安岡優「く、そ…。」
DJバリ"K"〜ん「そんなに気ぃ病まないでくださいな。旦那が悪い訳じゃないですよ」
安岡優「…俺は、テツと約束した。お陽さんが再びさらわれたのは俺の責任だ…!」
DJバリ"K"〜ん「約束を守るのも大切です。しかし今はケガを治さないと。」
ト書き「やれやれ、とため息をつきながら、『バリK〜ん』は安岡の頭に包帯を巻き…息を飲んだ。見た目よりはるかに傷が深い。常人ならば、意識を保つのは不可能だろう。」
DJバリ"K"〜ん「(この人の精神力、常人なら考えられない力にはホントに驚かされるな・・・・・・・。)」
安岡優「もう終わったか?」
DJバリ"K"〜ん「一応応急手当は終わりましたが、あと3日は寝ていてください。傷口が開くと今度こそ…次はありません。」
安岡優「だけど、そんな悠長な事言ってられないんだってば!!」
DJバリ"K"〜ん「…まだ人を信じることが怖いんですか?彼方は、一人じゃありません…今彼方が無理に動けば、村上さんたちが困ることになるでしょう。」
安岡優「でも!!!それじゃみんなに合わせる顔が・・・(涙)」
DJバリ"K"〜ん「死んでしまえば元も子もなくなるでしょう!」
ト書き「バリ"K"〜んの勢いに飲まれ、言葉を失う安岡。」
DJバリ"K"〜ん「…すみません、少し言い過ぎました。彼方の過去を知っておきながら…。とにかく今日一日は絶対安静でお願いしますよ。」
安岡優「分かったよ…。ありがとう、バリ。」
DJバリ"K"〜ん「さ、ゆっくり休んでください」
ト書き「一方、バリ"K"〜んに布団をかけられ、安岡がまぶたを閉じた頃…」
村上てつや「…てっちゃん、本当に大丈夫だよね…、なんか嫌な予感がする。」
黒沢カオル「(てっちゃん、それオレのセリフ!!)」
村上てつや「あ、わりー。」
黒沢カオル「安も帰ってこないし、どうしたんだろう?」
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