-ゴスドラマ過去ログ:3401-3500- |
村上てつや「とりあえず、休みくれよ。」 ト書き「唐突の休み発言に戸惑う4人とナレーション。」 村上てつや「考えてもみてくれ。ここらへん、休みも無く馬車馬のようにただただ俺達は働いて来た。」 ナレーション「安岡さんに抱き着くのもでっっっ。」 効果音「べりっ、びー……ペタペタ。」 ト書き「ナレーションの口と手はガムテープで塞がれてしまった。それを助けない他4人。」 酒井雄二「(すんません、あとで助けますから、と考えるだけ考える。」 村上てつや「と、いうわけで、今回メンバーで慰安旅行を企画したいと思うっっっっっ!」 安岡優「力一杯言ってるけど、たまたま温泉無料御招待券5枚貰ったからなんだよね。」 村上てつや「しかも3泊4日。」 黒沢カオル「いいなぁ…温泉。このごろゆっくりしてないしなぁ…。」 酒井雄二「俺は賛成っ。」 安岡優「いいとこなの?」 村上てつや「大丈夫大丈夫。」 北山陽一「魂の洗濯しないといけませんよねぇ、たまには。」 酒井雄二「よっしゃぁ、満場一致だ。休みだぁ、温泉だっ、旅館だぁっ。」 ト書き「自力でガムテープを外したナレーションだったが力尽き倒れてしまう。」 ナレーション「うぅ……。(がく。」 ト書き「数日後、某県某市内に5人が現れた。」 村上てつや「ふっふっふっ…」 ト書き「村上の頭の中は妄想でいっぱい。」 安岡優「で〜どうするの?てつ〜」 村上てつや「そんなの決まってるだろぉっ!!」 黒沢カオル「とりあえず、風呂行ってこよ。北山、先行ってんね?」 酒井雄二「あれ、黒沢も?どの風呂に行くのさ?」 黒沢カオル「この…(パンフを指差す)露天風呂だけど?」 北山陽一「教えなくていいって。2人で、いこ?」 ト書き「その時、北山陽一の眼鏡が邪に輝いた」 酒井雄二「ん〜じゃ、俺は大浴場に行ってきますわ。」 村上てつや「気ぃつけてな、石鹸で滑って転んで頭打っても誰も面倒見ねぇからよ。」 酒井雄二「はい。」 ト書き「室内には安岡と村上の二人が残される。」 効果音「ずずぅ〜」 ト書き「村上の茶をすする音が室内に響く。」 安岡優「どうしたの?てつ…お茶4杯目だよ?」 ト書き「旅館の浴衣に着替え、本を読んでいた安岡が顔を上げて言った。もうすでにお茶うけの漬け物も茶菓子も無い。」 村上てつや「ん…?うん…。」 ト書き「不意に立ち上がり、安岡の前にしゃがむ。目線を同じくした、村上の手が安岡の頬に触れた。」 安岡優「なに…?」 ト書き「嫌がる態度でも無く、拒む態度でもない。そんな感情が安岡の言葉から感じられた。」 村上てつや「…温泉行くか?」 ト書き「そう言った村上の唇に右手の親指を押し当て、安岡は言った。」 安岡優「ここってさ、家族風呂用に個人の露天風呂があるんだよ…。一緒に入る?」 ト書き「場面切り替わって、北山・黒沢組。」 黒沢カオル「くはぁ…気分良いなぁー。」 ト書き「昼間っからの入浴と丁度良い湯加減とで黒沢の口からそんな言葉が漏れた。」 北山陽一「そうですねぇ。」 ト書き「冷静を装っている北山だったが、心拍数は90を超えようとしていた。」 黒沢カオル「ここって結構いいとこだよね。シーズン外してるから俺達以外に宿泊客も居ないし。」 北山陽一「えぇ…。」 黒沢カオル「もう…のぼせちゃった?顔が結構赤いよ。」 ト書き「北山が眼鏡をかけなくても見える距離に黒沢の上気した顔がある。」 北山陽一「カオル…さん。」 ト書き「ややためらいがちに名前を読んでみる。」 黒沢カオル「ん?」 ト書き「そのとき、北山の視界がぐらり、と揺れた。」 黒沢カオル「ちょっ…いや、お前マジで大丈夫か?おい、おいって。」 ト書き「見事に、湯あたりしていた。」 酒井雄二「今頃あいつら何やってんだろ。部屋にも戻れねぇし…あいつら追い出しときゃよかった。」 ト書き「売店で良心的な値段の、よく冷えたポカリスエットを数本購入し部屋へと戻ろうとしていた酒井は、ぐったりしている黒沢と北山に遭遇した。」 黒沢カオル「あーっ!ちょうどいいや!それくれ!それ!」 ト書き「黒沢は酒井の手からポカリを奪い取ると、北山の頬にそっと当てた。」 黒沢カオル「ったくもう…心配ばかりかけて…。(涙目)」 北山陽一「…すいません、カオルさん…」 ト書き「と、なんかやっている二人の後ろで酒井がユゥ〜ラリ、と……。」 酒井雄二「おーまーえーらー!」 ト書き「堅く右手を握り、怒りに震える酒井。」 黒沢カオル「ごめん、ポカリの金は後から払うよ。ちょっと今手ぇ貸してくんない?」 ト書き「少し深呼吸をする。ぐっ、と酒井は肚に溜めて病人の北山に肩を貸した。」 北山陽一「すいません…酒井さん。」 酒井雄二「ん、気にすんな。記憶喪失になった時だってお前に助けて貰ったようなもんだろ?」 ト書き「北山の歩くペースに合わせ移動し、5人の宿泊している部屋へ戻ってきた。」 黒沢カオル「あれ、何か聞こえるな…テレビか?」 ト書き「よくよく聞くと、それは村上と安岡の声、すなわち会話であった。」 村上てつや「ここ…はどうだ?」 安岡優「ああっ…ちょ、ちょっと待って…。」 村上てつや「なんだよ、滅茶苦茶固ぇぞここんとこ。」 安岡優「うぅ…あ…てつ、そこ気持ち良い。」 村上てつや「ここか?」 安岡優「うん…。」 村上てつや「…(暫しの沈黙。)。」 安岡優「んじゃ、今度はてつの番ね。」 黒沢カオル「ごめんくださぁ〜い。失礼します。」 ト書き「意を決して、黒沢が部屋の中へと入って行く。酒井は無我の境地に入りかけていた。」 安岡優「あっ、黒ぽん。おかえりーっ。」 ト書き「うつ伏せになった村上をマッサージしていた安岡が3人を出迎える。」 村上てつや「北山、何をやらかしたんだ?」 ト書き「頬杖をついて見上げる村上の表情は面白そうにくつくつと笑っている。」 北山陽一「ちょっと湯あたりを・・・」 安岡優「せんせ、また変なことでも考えてたかぁ?」 ト書き「安岡も笑っている。この二人、布団からどこうとしない。」 酒井雄二「えーい、リーダー寝てないでどけ〜」 ト書き「と、酒井は村上を軽く蹴っ飛ばし、黒沢と一緒に北山を布団に寝かす。」 村上てつや「酒井蹴っ飛ばすことねーだろう!俺はリーダーだぞ!!」 ナレーション「こういう時だけ、リーダー面をする・・・」 効果音「ゴン・・・」 ト書き「村上がナレーションを殴る。」 ナレーション「痛い・・・」 村上てつや「るせー!」 北山陽一「しばらく休んでいれば大丈夫ですから・・・」 |
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