-ゴスドラマ過去ログ:3749-3900- |
黒沢カオル「とりあえず探すしかねーだろうよ。」 ト書き「と、いきなり北山が立ち止まった。」 黒沢カオル「どうした北山、居たか?」 北山陽一「音叉が・・・反応してる」 ゴスペラーズ「びくぅっっっっ(北山の反応にびびる3人」 黒沢カオル「で、で…何処か分かるか?」 ト書き「恐る恐る、といった風に話し掛ける黒沢。」 北山陽一「大丈夫です。」 ト書き「音叉は北山の手を離れて宙に浮かび、方向を指し示す。」 ゴスペラーズ「(……、何か凄い事になりつつあるな。俺達って。)」 ト書き「誰もが思ったが口には出さず、宙を舞う音叉の後を追う。」 村上てつや「ko,」 北山陽一「!こんなとこに酒井のジャージが・・・」 黒沢カオル「これじゃ柔軟できねーじゃんか!かわいそうに・・・」 村上てつや「(いや、そういう事じゃなくてさ)」 安岡優「ここまできて、何で柔軟やるの?」 ゴスペラーズ「(し〜〜ん。)」 北山陽一「あ……音叉が。」 ト書き「廊下の角をまがった所でくるくるとそこに」 北山陽一「よしよし、ありがとう。これからも大事にするからな。」 ト書き「音叉をしまい込み、酒井の姿を確認しようとする4人。」 効果音「(女性の悲鳴)」 村上てつや「なっ、何事だ今度は。」 安岡優「皆……あれ。」 ト書き「酒井はぼう、と立っていた。床から5cm程浮かんで。」 黒沢カオル「浮かんでる・・・のか?あれ?」 ナレーション「そんなのは認めない!」 村上てつや「まぁ、いいじゃん。な。」 黒沢カオル「もうここまで来れば何でもありな気がしてきた…。」 ト書き「その通り。」 安岡優「だいたいさ、俺ら、いつも、何でもありじゃん。」 ト書き「正論である。」 北山陽一「あれは重力に逆らっていることになるから、ほかに何か力が・・・(ぶつぶつ)」 ト書き「原理を追求しようとする北山の声で村上は我に帰った。」 村上てつや「おっと……、そういやさっき見られてたんだ。」 ト書き「そう言い、従業員の女性の処へ黒沢を引っ張ってつれて行く。」 黒沢カオル「何で俺までっ?」 村上てつや「説明すんならお前ぇーの方が良いだろ。」 ト書き「きっぱりと、言い切る村上。」 村上てつや「あー…やっぱり、皆来た方がいいか。」 ト書き「若いと言えなくもない、化粧っ気の全く無い女性に3人は説得を開始した。」 北山陽一「人が何も使わないで浮くなんてあり得ません。」 安岡優「そうですそうです。」 黒沢カオル「今のは見間違いです。」 ト書き「呆気に取られている女性に、安岡が笑顔でとどめをさした。」 安岡優「疲れているみたいですので、もう休んではどうですか?」 ト書き「意味が分からない、という風に頭を傾げながら女性はその場を後にした。」 村上てつや「よっしゃ、今のうちに酒井運ぶぞ。」 ト書き「従業員の顔が徐々に赤くなっていくのを村上は見なかった事にして、酒井を部屋まで運ぼうとした。」 村上てつや「(どうやって連れてこう……」 ト書き「倒れているのなら肩を貸して担ぐ事も出来る、が。」 安岡優「どうしたの?」村上てつや「ヤス…ユージの奴寝てるだけか?」 ト書き「浮いた状態、立った体勢、本人は何も知らずに眠っている。」 黒沢カオル「訳分からんな、こいつは。」 ト書き「今更である」 北山陽一「どこでもどんな体勢でも寝られるっていうのは、この5年間で培われた技でしょう。」 安岡優「よく寝るからね、酒井さんって…。」 ト書き「ゴスペラーズのメンバーは感慨に浸り始めている」 酒井雄二「む……サリチルサンメチル?(寝言)」 ゴスペラーズ「…は?」 酒井雄二「春の夜の〜……夢ばかりなる手枕に〜……(やっぱり寝言)」 ゴスペラーズ「………。」 村上てつや「ぷっ……くくぅ……。」 ト書き「笑いで全員、腹筋をぴょくぴょくさせながら、浮いたままの酒井を押して部屋まで移動した。」 酒井雄二「歌を……ったかぁった…。」 ト書き「寝言で、いきなり歌を歌い始める酒井。」 北山陽一「この歌は…知らない。」 安岡優「僕も。」 ト書き「知っている人物はいない。」 酒井雄二「もーし〜、あの歌を君がまだ憶えていたら〜…。」 ト書き「水のイメージのある声が不意に途切れた。敷かれた布団の上で酒井の身体が落下する。」 黒沢カオル「憶えていたら…何だろう?」 ト書き「思いっきり眠り込んでいる酒井に布団をかけてやりながら、黒沢は北山に尋ねた。」 北山陽一「多分、又歌って、系統の歌詞じゃないですか?『まだ』ってついてますし。」 ト書き「片付けられていなかった、まるまる残っているお膳に手を付け始める北山。」 村上てつや「『憶えていたら』の次の歌詞……。」 ト書き「酒井以外の4人が黙々と夕飯を食べながら歌詞の内容を考えている。」 北山陽一「あ、黒沢さん。」 黒沢カオル「ん?」 北山陽一「……お新香に醤油かけるんですか?」 黒沢カオル「えぇ?うわっとととぅおっ。」 ト書き「間半髪のところで醤油の被害はまぬがれた。」 北山陽一「そんなに気になってるんですか?歌の内容。」 黒沢カオル「うん…何か気になってるねぇ。」 北山陽一「実は俺もです。」 村上てつや「起きてから本人に聞けば分かるこったろ?」 北山陽一「それはそうなんですけど、知らないって言われればそれまでですからね。」 ト書き「4人は気持ち良く寝ている酒井を見ていた。」 酒井雄二「Zzzz・・・」 黒沢カオル「なんかこのまま永遠に眠りつづけそうな寝顔だな…」 安岡優「やめてよ!そんなこと言うの!!」 ト書き「すると酒井がムクリと起きだした。」 酒井雄二「う〜、よく寝たぁ。お、メシだ。食うぞ〜!」 村上てつや「…この男は………(声にならない怒り)」 ト書き「ガツガツと食べている酒井。それを呆然と見ている4人。」 北山陽一「酒井さん、寝言で言っていた歌詞覚えています?」 酒井雄二「ほえ?(ゴックン・・口に入っていたものを飲み込む」 安岡優「『もし あの歌を 君がまだ憶えていたら』って言う歌詞。オレ達すごく気になるんだけど・・・」 ト書き「瞬間、酒井は箸を置いて安岡のほうを見た。瞳の色が何だか赤い。」 酒井雄二「はぁ……。ま、出所は企業ヒミツだけど、誰かが歌ってて耳に残ってる歌なんだよなぁ。」 北山陽一「で、続きは?」 酒井雄二「続き?ん〜っとね、確か…『とおい、空を見つめハ〜モニー奏でておくれ』ってかんじ。」 黒沢カオル「酒井はそれに何か思い入れは有るの?」 酒井雄二「いんや?全っ然。ただ良いなぁって思ってただけ。」 ト書き「笑っている酒井を観察している黒沢。」 村上てつや「あ〜…特に大した話じゃ無かった様な気がすんだけど。」 ト書き「と、安岡の方を見る。」 安岡優「…出来たっ。(指先で何かを打ち込むような動き。」 村上てつや「え」 安岡優「面白いの出来た。」 ト書き「安岡はあたりを見まわして保存するための物を探している。」 北山陽一「あ・・・これ」 ト書き「何かを見つけた北山。」 ゴスペラーズ「……テレコ?」 北山陽一「テープレコーダーをなめちゃあいけない。あの世界のサカ○トだって、ドライブ中に曲を思いついたとき用に持ち歩いているんだぞ。」 酒井雄二「へえ〜、それはそれは。」 北山陽一「はい、ヤス。忘れないうちに入力、入力。」 安岡優「サンキュ、センセ。」 酒井雄二「そうそう昔から言うでしょ?思い立ったが運の尽き、大安吉日!ってね。」 黒沢カオル「…なんか違うぞ。」 ナレーション「思い立ったが吉日、、、では?」 ト書き「安岡は手にしたテレコに、なにかを語り始めた。」 効果音「シャバダ〜シャバデュビ〜」 村上てつや「なになに??」 ト書き「酒井が北山に目配せする。その意図をくみ取った北山は音叉を取り出し音を確認した。」 ナレーション「え……!?」 ゴスペラーズ「(各自安岡の音に合わせて歌い出す。」 ト書き「最後の余韻をも録音すると、安岡は溜め息をついた。」 酒井雄二「あ〜……すまん。邪魔するのは卑怯だよな。」 安岡優「ううん、別に。歌うのは好きだし、皆と時間共有するのは楽しいし良いんだ。」 村上てつや「なら…何で溜め息つくんだよ?」 安岡優「何で休みの時まで、仕事してんの?」 ゴスペラーズ「hっ」 黒沢カオル「仕事か…?これ。」 ト書き「その時、何やら考えていた酒井が言った。」 酒井雄二「それじゃあさ、今は仕事と思わないで『実益を兼ねた趣味』にしときゃいいじゃん。」 ゴスペラーズ「一斉に、酒井を他の4人が見る。」 北山陽一「物は良い様ですね。」 黒沢カオル「北山、アクセント違うよ。物は言い様だろ?」 ト書き「とてもきれいにまとまりそうな予感。」 安岡優「でもやっぱり仕事のような気がする」 ト書き「しかし結論は変わらないようだ。」 村上てつや「さて、結論が出たところで。」 安岡優「ん?」 酒井雄二「俺寝るわ、お休み。」 黒沢カオル「はっや〜…。」 ト書き「洗面所へ消えた酒井を見送りつつ、4人の頭中にあった共通の事は。」 黒沢カオル「…酒井、あれでもすっげー気ぃ使ってんじゃない?」 ト書き「酒井に感謝する4人だった。」 ナレーション「あの〜、そっち系に持っていくの???」 ゴスペラーズ「もちろん(キュピーン)。」 |
[TOP|NEXT|BACK] |