-ゴスドラマ過去ログ:7501-7600-
酒井雄二「そんなことありませんよ!!」
村上てつや「お前、何か勘違いしてねぇか?天使のわっかなんてホントは無いんだぞ。あれは、生きてる人間が想像で勝手につけただけ。」
黒沢カオル「えぇ!?そうなのぉ??」
村上てつや「そうだよ、背中の羽だってねえぞ。」
黒沢カオル「何で〜?」
村上てつや「オレと酒井にわっかと羽があってみぃ?似合うと思うか〜?」
ゴスペラーズ「(黒・北・安)うっ・・・・・(確かにチョット怖いかも・・・汗)」
酒井雄二「3人とも、「うっ・・・」ってなんですか!失礼な!!我輩は似合います!てっちゃんと一緒にしないでくださいよ!!(めちゃくちゃ早口)」
北山陽一「でも、さすがに「あの衣装」を着てる姿とかは、想像出来ないですね・・・(汗)あ、お2人だからってよりは「大の男が」って意味で考えてください(苦笑)」
黒沢カオル「それ、誰に言ってんの?(天然炸裂)」
安岡優「まぁねぇ…ブル○スブラザ○ズみたいな黒スーツになっがいネクタイ締めてグラサンまで装着されてると…何時でも葬式に参列出来るよね。」
村上てつや「お前等なあ・・・・なんだったら、このまま地獄に案内してやろうか?(怒)ほらっ、もうすぐ着くぞ!ちっとはビビってろ!」
安岡優「ビビる必要あんの?」
村上てつや「こいつらとつるんでると疲れる・・・・(泣)なぁ〜酒井・・・。」
黒沢カオル「何で疲れるの?じゃ僕らと一緒に居なきゃいいじゃん。」
村上てつや「あのな・・・・・・・・・・・まぁ〜お前ら2人には似合うんじゃねぇ〜の!!あの天使の装いもぉ!!ちっこいもんな!!」
安岡優「「ちっこい」てひどくな-い?(隣に居た黒沢に聞く)黒ポン何とか言ってやってよ−。」
酒井雄二「はいはい!到着しましたよっ(そう言うと、でっっっかい門の前で車をとめる)とりあえず、俺と村上で手続きを取ってきますんで、貴方達は車の中で待っててください。」
ゴスペラーズ「(北・黒・安)はぁ〜〜い。」
村上てつや「よ〜し!行くか!酒井・・・・。」
酒井雄二「はあ・・・かったるいですね・・・というか、あんまりここに足を運びたくないんです・・・。(ため息をつき、少しだけ足をとめる)」
ト書き「村上は無言でポンポンと酒井の肩をたたき、酒井の背をおすようにして中にはいっていった。」
村上てつや「・・アイツ等はまだ生前の記憶を取り戻してないけど、そろそろ思い出すだろうな・・・。むしろ、思い出さないとこの先の世界に入っていけねーんだから。俺、正直この瞬間が一番苦手だ・・・自分の親の泣いてるトコ見た時の事・・今でも忘れられねーもんな(苦笑)」
酒井雄二「どのくらいたったんでしょうね・・・あの時から。私と村上さんは一緒にここに来ましたね・・・。今思えば下界を見せられたあの瞬間が一番つらかった・・・。もう二度とあんな苦しさはごめんだと思いました・・・。(苦笑)」
村上てつや「そんな俺達が、今やその案内人だもんな。ホント何がどう転んでいくかわかんないぜ(笑)」
酒井雄二「おっしゃるとおり。さて、とっとと手続き踏んできますかあ・・・。」
ト書き「そう言うと、ひとつの扉の前に立ち止まる2人。酒井がドアをノックする。」
酒井雄二「失礼します。・・・本日リストの黒沢薫・北山陽一・安岡優の3名、無事に連れてまいりました。」
小林社長「酒井と村上か?入っていいぞ。」
ゴスペラーズ「(酒・村)はい。失礼します。」
小林社長「ご苦労だったな。今回の新人3人はどんな感じだ?お前達が担当する新人は、何かと問題があるからな(苦笑)・・これが、あの3人に関する生前の報告書だ。」
村上てつや「それは、俺達が優秀だからでしょ♪(手渡された報告書に目を通し)ふ〜ん・・・至って普通の生活をしてきた奴等だな・・下界に、どんな未練を残してきたのかは、やっぱり本人に思い出してもらわないとわからなそうだな。」
酒井雄二「そうですね。でもあのカレー一筋の人生って気になりますね。あっ!でも特にカレーの記述はないですねぇ...。」
小林社長「まぁ、報告書を見る限りあの3人はいい新人たちだ。知らない人を助けて、ここに来るだなんて、めずらしい新人だ。酒井と村上に似てるな(笑)」
村上てつや「その話は止めてくれって・・・(苦笑)まあ、アイツ等もあまりに突然の「死」だったからな・・・・下界での未練を晴らしてやらにゃ天界への扉も開かないだろ。」
小林社長「あぁ、その通りだ.。ただ出来るかどうかは…本人の努力次第だがな!」
酒井雄二「そうですね・・・。それに、先程は「一人前の天使になるため」と言いましたけど、例えそれを乗り越える事が出来たとしても、実際彼等が「天使」としての職業につくことを望むかもわからないですしね。」
小林社長「まぁなぁ・・・。(タバコを吸う)ふぅー。よし、じゃぁいって来い!期待してるぞ!」
村上てつや「おいっす。」
酒井雄二「それでは皆様!天使の仕事のことなどいろいろ説明します。天使にも仕事の割振りがあります。僕達がやってる新人の案内やべたですけど恋のキューピッドや死亡宣告など。まぁ君達にはまず天使になる試練を受けて貰いますから、そこに行きましょう。ついでに私達5人はチームなので仲良くお願いしますよ。」
村上てつや「(ボソ)おい・・・酒井。まずはアレだろ・・・?記憶取り戻すのが先・・・」
酒井雄二「そう...でしたね。忘れてたわけじゃないですよ。だだ...いやなんでもないですよ。そっちが先ですもんね。参りましょうか。はぁぁ。(苦渋に満ちた顔)よし俺!がんばれ!!(自らを励ます)」
村上てつや「(わかるよ・・・酒井)おし!じゃ・・・細かく説明していくぞ。まず、第一にお前達の生前の記憶を取り戻す。理由は下界への未練が残ったままだと、天界へ入れないからだ。」
北山陽一「…生前の記憶…。」
黒沢カオル「そっかあ、死んだ時の事覚えてないのは俺だけじゃないいんだよね。俺よく周りから忘れっぽいって言われるから、俺だけが覚えてないのかと思ってた(やっぱり天然)」
安岡優「未練かぁ…。僕、何をやりのこしたんだろう…?」
酒井雄二「(記憶を取り戻したら、3人共この調子ではいられないだろうな・・・。いや!それを救うのが俺達の仕事なんだ!) そして記憶を取り戻したら、未練の元となる原因を解消する。それが出来た事によって、天界への扉が開けるのです。」
安岡優「…(何かの宗教みたいだよ…)。死んだ瞬間を思い出すって…ちょっと気が引けるけど、どういう事をするんですか?ここでうんうん唸ってる訳じゃないんでしょ?」
村上てつや「ちょっと向こうに行ったところに『池』がある。その池を覗き込むと見えてくるんだ。」
北山陽一「ほんとですか?すごいなぁ・・・。ところで、僕ら5人チームなんですよね?あなたたちのこと何て呼べばいいんですか??」
酒井雄二「「酒井」「村上」で良いですよ。ちなみに先ほどチームと言いましたが・・・実は「天使」というのは天界での職業のひとつでして、死んだ者がみんな天使になる訳ではないんですよ。なりたいと望み、そして資格を持った者だけが天使になれるんです。」
黒沢カオル「????・・・よくわかんない・・・・」
北山陽一「…?…僕らにはもう、その『資格』はあるけれど、天使になるかならないかは各個人で選ぶ事が出来るって事でしょうか?それとも、何らかの試験的なモノを受けて、その『資格』を得なければならないとか?」
村上てつや「どちらともいえねぇな。天使になるかどうかはお前達次第!だけどなるにあたっては試練を受けなければならないってことだ!まぁじっとしててもらちあかねぇし、お前から(北山を指差して)いこうか。記憶を取り戻しにな!」
北山陽一「え?…あ、はい…わかりました。」
酒井雄二「(ホントにわかってるんですかねぇ。これからが、一番辛いというのに。とにかく、頑張ってもらわなくちゃ。俺達のようには、させたくないし・・・。)」
北山陽一「ここでいいんですか?」
村上てつや「あぁ、この池の中を覗いてみな・・・(はぁ・・・こいつは大丈夫か・・??)」
ト書き「北山が恐る恐る池に近づこうとすると、村上は少し考える仕草をしてから黒沢・安岡も一緒に前へ押し出した。3人一緒に池を覗き込むと、波紋を描いていた池の中にそれぞれ見慣れた風景が見えてくる。自分が暮らしていた家だった。」
黒沢カオル「お・・母さん?どうしたの?なんで泣いてるの・・・?(池に手を伸ばす)」
北山陽一「(葬儀が行われている最中。父親、母親、妹・・・友達のみんなが涙にくれている)・・・・・親父・・お・・袋・・・・・・」
黒沢カオル「お父さん・・・妹・・・友達・・・なんで?」
安岡優「お母さん・・・お父さん・・・。僕が・・・・。なんで?なにしてるの・・・?みんないる・・。」
北山陽一「そ・・・・うだ・・・・・・。俺、お袋に頼まれた買い物の帰りで・・・信号待ちしてたら子供が飛び出してきて・・・・・俺・・夢中で・・・・・・」
安岡優「お・・もいだした・・・。買い物の帰り・・・みんなと・・歩いてたら・・・・大型トラックが・・・突っ込んできて・・・・」
黒沢カオル「俺も思い出した・・・信号待ちしてたら知らない人が僕の背中を・・・僕それで・・・」
酒井雄二「そうです・・・貴方達はみんな持病ではなく、事故死だったんです。事故死の場合、自分の状況を理解出来ないままこの世界にきてしまう事が多いのです。だから、下界への未練もより強い・・・」
村上てつや「だけど、起こってしまった事はもう誰にも元には戻せない・・・。お前達が自分の力でこの事実を受け止める事が出来なければ、お前達は一生成仏できずに、この下界と天界の間にある無空間から抜け出せなくなってしまうんだ。」
ト書き「一人一人の顔をみわたしながら無言で見守る村上と酒井。3人は戸惑った様子でしばらく黙り込んだ。」
北山陽一「少し・・・・考える時間を下さい・・・・・。(そう言うと、北山は背中を向けて歩いていった)」
黒沢カオル「僕も・・・」
安岡優「(小声で)お父さん・・・・お母さん・・・・。会いたいよぅ・・・」
黒沢カオル「僕も会いたい・・・」
村上てつや「(あ〜あ。こいつら、漬物みたいにシナシナになってやがる。まぁ、無理もないか。俺らもそうだったもんなぁ・・・。)」
酒井雄二「事実を知って落ち込むのは、当たり前の反応なんです。それを「乗り越える為」なら俺達は協力してあげる事が出来る。「家族ともう一度、言葉を交わしたい」でも何でも良い・・未練を断ち切る「答え」を見つけてくれれば良いのですが・・・。」
村上てつや「そうだな・・・黒沢こんな事聞いてなんだけどお前妹居るのか?」
ト書き「黒沢、ゆっくりとうなずく。」
酒井雄二「ふぅ〜・・・(この光景が一番つらい・・・さて、まず安岡から聞くか)安岡、下界で何か未練があってはいけないので聞きますよ?下界で未練があることはなにですか?」
安岡優「お父さんと、お母さん、そして、ペットのペロに、「ありがとう」を言えなかったこと・・・・です。」
村上てつや「じゃぁ、次。黒沢は?」
黒沢カオル「親父とお袋に、それと妹に…なんか言うのも変だけど、俺の事で悲しまないでって…。泣いてるの見ると…辛いし…。俺はここに生まれて幸せでしたって…言いたい。」
酒井雄二「・・・後は北山ですね・・・・。俺、ちょっと見てきます。」
北山陽一「(酒井に気づき)・・・酒井さん・・・。」
酒井雄二「大丈夫ですか?・・・・って、大丈夫な訳ないですよね。俺達もそうでした・・・自分が死んでしまった事は勿論なんですが、それよりも周りを悲しませてしまった事がなによりも辛かった。」
ト書き「酒井はそっと北山の肩に手をおいた・・・」
酒井雄二「わたしも・・・最初は、辛かった・・ですよ・・・・」
北山陽一「・・・酒井さんは・・・すぐに未練を断ち切る答え・・・見つかりましたか・・・?」
酒井雄二「すぐに未練を断ち切ることの出来る人なんて、そういませんよ。ただ、前へ進もうと思う気持ちが大切なんです。」
北山陽一「前に進む……全てを忘れるわけでなく、この思いを持ち続けながらそれが昇華されるのを待つ…未練を断ち切るのと同じ位に難しそうですね…。でも」
酒井雄二「・・・でも?」
ト書き「うつむいていた北山は深く息を吸ってから視線をあげ、真正面から酒井を見据えた。」
北山陽一「…知ってしまった。思い出してしまった。…なら、もう後ろには引き返せないです。痛むけれど、その痛みは何時か薄れる。前を見てさえすれば…痛む脚でも、バランスが取れて動かせるなら、歩けると思います。」
酒井雄二「…この事を、知らなければ良かったと思ってますか? 自分に近い人が泣いている事も自分が死んだ原因も。それを知った事で、生じる痛みも。」
村上てつや「(いつの間にか村上・黒沢・安岡が側にいた)そう・・・今のお前達に、この真実を突きつけるのは「痛み」以外の何もモノでもないだろうけど、必ずその意味がわかる時が来る・・・それは、絶対だ。」
北山陽一「えぇ・・・・・・・・・・・・」
ト書き「北山は考え込むようにうつむき、黒沢は目だけをふせがちにし、手をぐっと握っていた。安岡は無意識に流れる涙を片手で押さえた・・・。」
酒井雄二「(村上と視線を合わせてから)・・・・家族と、最後に話をしたいですか?もし、貴方達がそれを望むなら、俺達は協力できますよ。」
安岡優「えっっ、話?・・・もう死んでしまっている僕たちに、そんなことが許されるんですか?(驚)・・・もしかして夢の中に出るとか・・・カナ?」
村上てつや「夢枕、手紙、電話の混線…実際に姿を見せるとか…色々ある。よくある恐い話に上る、『ちょっと感動系』のたぐいだな。」
酒井雄二「その中でも「夢枕」が一番確実な方法なんです。その他の手だとタイミングが非常に難しくなるんですが、「夢枕」なら俺達の力で何とかする事が出来ますから。まあ、限られた時間になってはしまうのですが・・・・・やりますか?」
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