-ゴスドラマ過去ログ:9201-9300-
田辺恵二「…はぁ。適性審査も変わったな。こういう奴が来るなんて。とりあえずこの水晶球の中に、別空間が展開されてる。んで、この中からリストに載ってる魂を取ってくる。…えーと、黒沢がこっち。北山がこれ。」
ト書き「二人へ丁寧に三度折りされた紙を渡すと、田辺は人さし指で水晶球をこつこつ叩いた。平見はいってらっしゃい、とばかりにひらひら手を振っている。」
北山陽一「…えっと…僕のは…「北山 陽一」…?……写真も僕だ…。…どうして…。」
黒沢カオル「えっ??ほんと??」
北山陽一「本当ですよ、ほら。(と、言って写真を見せる)・・・・・黒沢さんは誰ですか?・・・・・・もしかして、「黒沢 薫」って書いてありませんか?」
黒沢カオル「あれっ?本当だーなんで?」
田辺恵二「この水晶の中でだけ、お前達が死ぬ少し前に時間を戻す。お前達は自分たちが死んだのを見届けてから、魂を取ってこい。・・・少し残酷かもしれんが、適切な判断力とこの仕事では情を捨てることも重要だからなぁ・・・。」
黒沢カオル「北山、行こう!!それぞれのやり方で、俺達を見届けてこよう!じゃ、俺はここから!!グッドラック、北山!!(真面目にやろう!!)」
北山陽一「そうですねぇ。しかし、僕が自分の魂を取るだなんて思いもしなかったな・・・。」
ト書き「黒沢は意気揚々と・・・北山はしばし戸惑いしぶしぶと試験にとりかかった・・・。」
黒沢カオル「え〜と...。どーすればいいんだっけ??」
北山陽一「黒沢さん・・・。もう、いいですよ。2人で行きましょう。お互いに協力して、2人でこの検査に合格すればいいんですよ。」
黒沢カオル「な〜るほど。でも、そんな事しても良いのかな?」
北山陽一「わかりません・・・。ダメだったら、また別な仕事を探します。とりあえず今は、自分が思ったとおりにやりたいんです。お願いします、黒沢さん!協力してください!!(頭を下げる)」
黒沢カオル「・・・北山、頭上げて。(ニッコリ笑顔で)いいよ、一緒にやろう。(恥ずかしそうに)はっきり言って俺も1人でやるの不安だったし・・・。北山がいたら、俺がドジしても、うまくフォローしてくれそうだしね。」
北山陽一「黒沢さん・・・・・ありがとうございます!!さあ、早く行きましょう。(そう言って、下界に向かって飛んでいった)」
黒沢カオル「あっ!北山、待ってよ〜!!(慌てて北山のあとを追う)」
ナレーション「黒沢、北山が下界に向かっている頃、安岡は真里と一緒に記憶の泉の前にいた。」
佐々木真里「ここが・・・記憶の泉・・・(泉の前にたたずんでいる)」
安岡優「(うなずく)そうだね・・・・・うん。」
ゴスペラーズ「なぁに安岡さんも見惚れてるんですか!?ちゃんと仕事してくださぁ〜い!!」
安岡優「a,」
佐々木真里「えっ?!どうしたの?」
安岡優「えっっ?!なっなんでもないよぉ〜。」
佐々木真里「そう?・・・ならいいけど・・・。で、どうすればいいの?」
安岡優「え・・・えっとぉ・・・この泉を覗き込む・・・の。(?)」
佐々木真里「覗き込めばいいのね?」
ナレーション「そう言うと真里は記憶の泉を覗き込んだ。泉の奥には当然の如く、真里がこの世界に訪れる直前の映像が映し出されていた。そして、そんな真里を、かつての自分たちと重ね合わせて、心配そうな面持ちで見ている安岡の姿があった。」
佐々木真里「病院・・・お父さんもお母さんもいる・・・。私、病気で死んじゃった・・・?」
安岡優「(…何て声をかけたらいいんだろう。)…うっうん…。」
佐々木真里「私は…これからどうなるの……?」
安岡優「それはね・・・。」
酒井雄二「ふぅ・・・、安岡と北山と黒沢はちゃんとやってるかな?北山と黒沢はまだ2人だからなんとかできるだろうけど、安岡一人だからなぁ・・・。てっちゃんはどう思う?」
村上てつや「そうだよなぁ・・・安岡が一番あぶねぇよな」
酒井雄二「・・・ちょっと見に行ってみます?」
村上てつや「ああ、その方がいいな」
ナレーション「そう言うと二人は、安岡が検査を受けている部屋に向かった。」
村上てつや「おーい、安岡。調子はどう・・・・おわっ!!」
小林社長「ん?村上に酒井じゃないか。どうしたんだ。」
酒井雄二「ヤスの様子を見に来たんですけど・・・そういえば、こんな事やらされましたねぇ。(しみじみ)スライムみたいな気持ちの悪いもの体につけて、この膜の中の世界で実際に案内人の仕事させられて・・・あの時はホント大変でした。」
村上てつや「確かにな・・・(苦笑)それはそうと小林さん、安岡の様子はどうですか?」
小林社長「ん〜〜〜〜。んん???」
安岡優「(えぇ〜っと・・・あの・・・あぁ!!酒井さん、村上さん、助けて!!)←困り果てている」
村上てつや「ありゃりゃ、安岡すっごいオロオロしてる・・・(笑)」
酒井雄二「笑い事じゃないっすよ!!安岡ぁ〜!がんばらんかい!!俺達がやったように・・・ってそれじゃだめか・・・。」
村上てつや「じゃあ、どうしようもないな。酒井、黒沢と北山のところでも行くか?」
酒井雄二「う〜んでも心配だな・・・てっちゃん!先に行っててくれる?」
村上てつや「えっ!?ああ、それじゃあな・・・。」
ナレーション「変わってこちらは黒沢、北山組」
北山陽一「ようやく下界に着きましたね。それにしても・・・(あたりを見まわす)ここはどこなんでしょう?」
黒沢カオル「ここ・・・覚えてる・・・。俺が死んだ・・・駅のホームだ・・・。」
北山陽一「え!?ってことは・・・あっ!あそこ見てください。黒沢さんがいます。」
黒沢カオル「ホントだ・・・。じゃあ、ここは俺が死ぬ少し前の・・・(自分を見下ろす。そこに1つの影が近づいてくる。)!!北山、あれ!村上さんの彼女じゃない!?」
北山陽一「(黒沢の指差す方には村上の彼女がいる)確か・・・黒沢さんが死んだ原因は、村上さんの彼女に押されて一緒に線路へ・・・。ということは・・・(線路の奥を見る)黒沢さん、列車が来てます!魂を取る準備をしてください!!」
黒沢カオル「え?え!?(北山の言葉に驚きながらも、線路の奥を見る)わあ、ホントだー!どうしよう!北山ー、どうすればいいのー!!(超パニック状態)」
北山陽一「黒沢さん、落ち着いてください。まずは、つらいですけど、自分が死ぬのを見届けてください。。そのあと自分の魂をとるんです。」
黒沢カオル「う、うん・・・やってみる・・・やらなきゃ・・・ダメなんだよね・・・(といって深呼吸する)」
北山陽一「そうですよ!がんばってくださいね!」
黒沢カオル「うん、俺見るのつらいけど頑張る!!」
村上てつや「どもこんちわ!平見さんたち!北山と黒沢どんなかんじですか??」
平見文生「今、駅のホームだ。自分で見るがいい」
村上てつや「駅のホーム・・・?(水晶球をのぞきこむ)!?なんで黒沢が死んだホームにあいつ等がいるんだ?」
田辺恵二「「自分で自分の魂を取ってくる」・・・それが死神の検査。それで、黒沢君が自分の魂を取るのに、駅のホームにいる。今ちょうど、自分が死ぬのを見届けるところだ。」
村上てつや「そんな・・・(水晶球をじっと見つめ)黒沢・・・。」
レーション「村上が心配そうに見ているなか、運命の時がついに来た。」
黒沢カオル「(う〜。ちゃんと・・・できるかな?」
ト書き「そして、ついに黒沢が村上の彼女に巻き込まれ、駅のホームに落ちた。」
北山陽一「今です!!黒沢さん!!」
黒沢カオル「俺はやります!!」
ナレーション「黒沢は、死んだ自分の体を掴み引っ張った。すると体から白い物体が出てきて、黒沢の手に収まった。」
北山陽一「(白い物体を見つめ)それが、黒沢さんの魂・・・・・(顔を上げる)黒沢さん、すごいです!成功しましたよ!!」
黒沢カオル「(白い物体を掲げる)俺の魂・・・。成功した・・・・・やった・・・・成功したーー!!酒井さ−ん!村上さーん!俺、魂取るの成功したよーーー!!!!」
平見文生「(黒沢が喜んでいるのを見て)なかなか上手ですね。彼は意外と死神に向いてるかも・・・。さて、次は北山君の番ですね。」
ナレーション「そう言うと、平見は水晶球の前に立ち手をかざした。すると水晶の中の景色が変わり、黒沢、北山もその場所へと移動させられた。」
黒沢カオル「・・・あれ?場所が変わった。ここは・・・どこ・・・?」
北山陽一「・・・・・(あたりを見回しうつむく)ここは・・・僕が事故にあって死んだところです・・・。」
黒沢カオル「えっ・・あっ・・じゃあ、今度は北山さんの番だね!がんばって!(ガッツポーズをする)」
北山陽一「えっと・・・あ・・・はい。」
ト書き「複雑な心境を表す面持ちで、北山は『自分自身』の姿を探した。一度、鼻を触って表情を消す。」
黒沢カオル「あっ、あの買い物袋を持ってるのって北山さんじゃないの?ほら、あの信号のところ。」
北山陽一「そうです、あれは僕です。(その表情に緊張が走った)」
ナレーション「そこには信号待ちをしている北山が横断歩道の1番前で青に変わるのを待っていた。そうすると、後から買ったばかりと思われるサッカーボールがネットに入ったまま道路へと転がって行った。数秒後それを追いかけるように男の子が道路へと出て行った。」
黒沢カオル「あっ!北山さんだ!」
効果音「キキーーーーーー!!ドン!!!」
北山陽一「北山さん!!」
ナレーション「えっっ?!」
黒沢カオル「(僕のせりふだと思う・・・。)今だよ!早く!!(北山の背中を押す)」
ナレーション「黒沢に押されて自然に体が前へ出た北山は、死んだ自分の体に触れた。すると体から白い物体が出てきたので北山は素早く掴んだ。」
北山陽一「成功か?」
黒沢カオル「成功だよ。やったじゃん!!」
北山陽一「やったぁ!やったよ、黒ポン!!(子供のように大喜び)」
黒沢カオル「やったじゃん!」
北山陽一「うん!!(まだ大喜びしてる)」
平見文生「(うう〜〜・・・あせるな〜あせるな〜落ち着けぇ〜〜・・・〔汗〕)」
村上てつや「ほんと・・・はしゃぎすぎてへますんじゃねぇぞ・・・?!魂逃がすとかさぁ・・・大変なことになっちゃいますよね平見さん?」
平見文生「そうなんですよ・・・。魂を逃がしちゃったら、取り返しのつかないことになっちゃうんです・・・。」
村上てつや「やっぱり・・・(水晶を覗きこみ)お前ら〜、さっさと天界に戻れ〜。」
北山陽一「ん・・・?(何かを感じる)黒沢さん、喜ぶのはこれぐらいにして、天界に戻りましょう。自分達の魂を逃がしちゃったら大変ですし・・・(村上さんに、「さっさと戻って来い!」って言われたような気もするしね・・・)」
黒沢カオル「うん、戻ろう」
北山陽一「さぁ、行きますよ黒ポン!(飛ぶ)・・・(振り向く)・・・一緒に行きましょうね、黒沢さん!(飛べずに居る黒沢の手を取る)」
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