-ゴスドラマ過去ログ:13601-13700-
村上てつや「黒沢、俺を卑怯な奴だと思うか?」
黒沢カオル「…そうか、てっちゃん、全部知っちゃったんだね…。ごめん、俺、てっちゃんに黙ってたことあるんだ。」
村上てつや「え?!なんだ・・・・?」
黒沢カオル「実はさ・・・・」
村上てつや「なんだよ?言ってくれよ。」
黒沢カオル「俺・・・あの3人がミッドナイトシーフだって知ってて、それとなく情報を流してたりしたんだ・・・・。」
村上てつや「黒沢・・・・嘘だろ・・・・・?だってお前は・・・・あいつ等を捕まえるために今まで・・・・・・・」
黒沢カオル「・・・俺がミッドナイトシーフの担当になったのは、少しでも3人にラクさせてあげようと思ったから・・・・・。担当になれば、いろいろな情報が入ってくるしね・・・・・。指示を出すのも俺だから、盗みやすいように配置させる事もできる・・・・・。」
村上てつや「・・・・お前があの店にしょっちゅう行ってたのは、情報を流すためか?それとも・・・・・」
黒沢カオル「(村上の言葉をさえぎるように)最初は!・・・・最初は本当に話をしに行くだけだった。警察には、話をする相手がいなかったから・・・・誰かに自分の事を知ってもらいたくて、それで・・・・・・・」
村上てつや「・・・・・・・・・・・・・」
黒沢カオル「それに・・・あの3人と話していると、安心してる自分にも気付いたんだ。あの3人になら本当の自分を見せれる・・・・この時間を失いたくない・・・・そう思った。でも・・・・・」
村上てつや「知ってはいけないあいつ等の秘密を知ってしまった・・・・・。その秘密とは、”3人がミッドナイトシーフである事”・・・・なんたって、日本の犯罪史上最高の怪盗だって言われてる奴等だもんな・・・・。」
黒沢カオル「俺だって知りたくて知ったわけじゃない・・・・。ふとした事から偶然知っちゃったんだ・・・・・。でも・・・遅かった・・・・。俺にとって酒井、北山、安岡は、失いたくない大事な人になってたんだ。だから俺は自分の立場を関係なしに、3人の影ながら守る事にした。」
村上てつや「・・・あいつ等は・・・・この事を知ってるのか・・・?」
黒沢カオル「ううん。もし話しちゃったら、あの3人の性格からして、自首するかミッドナイトシーフをやめるかすると思ったから・・・。だから会話の中で、「今度はこうする予定。」ってそれとなく話してたんだ。3人には、”口の軽い人”にしか見えてなかったと思うよ。」
ナレーション「「もっとも、北山はうすうす感づいてたみたいだけど。」とくすくす笑って話す黒沢。」
黒沢カオル「・・・俺は、自分の目が見えなくなったのは、この事をあの3人に話さなかった罰だと思ってる。やっぱりどっちにも協力ってわけにはいかないって事・・・。でも、どっちか選べって言われたら、俺は迷わずあいつ等を選ぶ。たとえ村上と敵どうしになっても・・・・・。」
村上てつや「・・・・・・・俺たちの今までの関係はなんだったんだよ・・・敵同士って・・・そんな・・・・・・・」
黒沢カオル「違う!!そういう事じゃないよぉ!!そうじゃなくて・・・・あの3人を捕まえるなんてできないって・・・そういってるんだよぉ・・・・・」
村上てつや「でもそれが俺達の仕事なんだ。お前だって、必ずこの手でミッドナイトシーフを捕まえるって言っただろ?」
黒沢カオル「それは…それは!!解ってるよ?!僕だってそんなにバカじゃない!でも…こんなに仲良くしてきて今更こんな事…」
効果音「(無線)警部?村上警部、指示をください。これからどうすればいいのですか?」
村上てつや「わかった。そのまま目標を尾行しててほしい。もし盗みに入るようだったら、その場で捕まえてくれ。」
効果音「了解!」
黒沢カオル「(先程の村上の言葉を聞いてうつむいている)・・俺は・・・俺はミッドナイフシーフを絶対捕まえてやるって言った・・・・。それはまだ、あの3人の正体を知らなかったから・・・・。でも・・・でも今は・・・・やっぱり・・・・大事な人を捕まえるなんて・・・そんな事・・・・・出来るもんか!!」
ト書き「黒沢は携帯を取り出し、急いである場所へ電話をかけた。」
村上てつや「(黒沢が叫んだのに驚いて、彼の方を見る)黒沢!お前何を・・・・・」
効果音「ピリリリリリ!!(携帯音)」
北山陽一「はい、もしもし。」
黒沢カオル「あっ、北山?俺、黒沢ですけど。(一呼吸おいて)北山、今すぐ盗みに入るのをやめて。お願いだから。」
北山陽一「黒沢さん、何を言って・・・・・・」
黒沢カオル「(北山の言葉をさえぎるように)俺はもう知ってるんだよ!!3人がミッドナイトシーフだって!でも、俺には3人を捕まえる事なんて出来ない・・・・捕まってほしくないんだ!・・・村上がそっちの無線を盗聴してる。近くに警官がいるはずなんだ。だから早く!!」
村上てつや「黒沢!何言ってんだよ!!」
北山陽一「黒沢さん、やっと言ってくれたんですね・・・。待ってたんですよ、あなたが自分から言ってくれるのを。」
黒沢カオル「北山・・・・じゃあやっぱり・・・・・・」
北山陽一「ええ。黒沢さんが察しのとおりです。私はそれとなく気付いてました。でも、あえて言わなかったんです・・・。」
村上てつや「(黒沢から電話を奪う)おい、北山か?」
北山陽一「その声は村上さんですね?・・・・どうやら、本当にあなた達の前から姿を消さなければいけなくなりそうです・・・・・・。(悲しそうな声)」
村上てつや「(北山の声の調子から何かを察する)お前、何考えてんだよ!!これ以上黒沢を悲しませるつもりなのか!?」
北山陽一「・・村上さん・・・・所詮あなた達と私達は、刑事と怪盗・・・・追う身と追われる身・・・・。あなた達に正体がばれたら、もうおしまいなんですよ・・・・。雄二もヤスもきっと分かってくれると思います。これからは、あなたが黒沢さんの心を癒してあげてください。」
村上てつや「提案がある・・・・お前たちを逮捕はしない。ただミッドナイトシーフをやめろ・・・・・黒沢のように傷つく人間がもうでないという保障もない・・・その代わりに、警察で特別調査官として「不正なルートで手に入れた物を、元の・・・」って言うやつを続けろ、そいつらの悪事を調べながらな。」
北山陽一「・・・・・(しばらくの沈黙)・・・それは私だけで決めれる問題ではない・・・・・。なので、こちらからも提案します。これから私は雄二とヤスを引き上げさせますから、そちらも警官を引き上げさせてください。そして、あなた達だけで店の方に来てください。そこで話しましょう。」
村上てつや「・・・・わかった。必ず来いよ。」
北山陽一「えぇ、必ず・・・・・・」
ト書き「村上と北山は携帯を切り、それぞれ行動に出た。村上は警官を引き上げさせ、黒沢に事情を説明し一緒に店の方へ。北山は酒井と安岡に事情を話し、戻ってきた2人と合流。すぐ車に乗りこみ、店に帰って行く。そして5人が店へと集まった。」
北山陽一「集まりましたね。では、話に移りましょうか。」
村上てつや「北山偉そぉ〜〜あっそうそう言い忘れてたけどさ、俺の親父お偉いさんだから、結構融通効くからそこら辺は甘えてくれていいからなぁ〜あっ、でも「1人につきボインちゃんを5名以上」とかはやめてね。(さっきまでのシリアス顔が一変してにへら顔)」
北山陽一「村上さん!!真面目に話してください!・・・私は良いんですよ?あなた達の前から姿を消すのも、また追われる身となるのも・・・・。(村上を睨み)あなたの考え次第ですべてが決まると思ってください。おふざけは許されません。」
村上てつや「悪かった・・・・北山、話してもらえるか?」
北山陽一「・・・・・・そちらの条件を聞かせてください。それ次第ですね、私ははっきり言ってどちらでもいいんですよ?」
村上てつや「なんだよ〜やっぱり偉そうじゃねーか。(急に目がマジになる)なぁ、お前勘違いしてねぇか?」
北山陽一「・・・・何をですか?」
村上てつや「捕まえないのは黒沢がいるからだ。俺がお前らにここにいて欲しいからじゃない。捜査なら俺が黒沢を外せばそれで済むのさ。知ってんだろ?ずっと見張られた事。犯人だって内部じゃ有名だ。簡単に捕まえる自信はあるぜ、お前らが逃げても。だからどっちかが上に立つんじゃない、同等の立場で話そうっつってんだよ。」
ト書き「俺がこれからする事(犯人の揉消しetc)でお前らの優位に立とうと思っているわけじゃない、ただ対等に・・・そう思ってるだけだ。それくらいわかれと、そう細いが、強い瞳で見つめる。」
村上てつや「細いは余計だっつーの・・・・(ボソッと)」
ト書き「にへへへへへ。はうぁっ!石が!違いますぅ!ナ、ナレが、ナレがそう言えってぇ!!(逃亡)」
ナレーション「え!?ちがいますよ〜!!」
黒沢カオル「どうしたのてつ?」
村上てつや「・・・・(黒沢の方を見ずに真剣な顔で北山を見つづけている)」
北山陽一「分かりました、村上さん。さっき雄二とヤスと話をしました。私達はこれからどうするのかを。ミッドナイトシーフをやめます。そして警察には入りません。」
村上てつや「・・・それが、お前らの出した結論か?」
黒沢カオル「・・・・・・・・・・・・ねぇ・・・あのさ・・・3人は自分たちの正義も捨てちゃうの?」
北山陽一「えっ?」
酒井雄二「それは・・・・」
黒沢カオル「形なんかどうだっていいじゃない・・・そりゃ、負けたみたいに思えるかもしれないよ・・・だけどそうじゃないでしょぉ?3人は「不正ルートで・・・」っていうのを元に戻すために犯罪を犯してきたんでしょう?だったらその自分たちの正義を貫いたらいいんじゃないかな?たとえ少し格好悪くて思えてもさ。」
北山陽一「・・・」
黒沢カオル「職権乱用だよ・・・揉消すことは・・・・・それはわかってる。でも、それでも俺は3人がやってきたことをすごいと思ってるから、続けて欲しいと思ってるから。だから3人には警察に入って欲しいよ。」
安岡優「でもさ、やっぱり僕らは警察官にはなれないよ。今までやってきたこと、やっぱり消せないもん。」
村上てつや「今までやってきたことが消せないならお前らはブタ箱に入るしかない。でもお前らは入る必要はないと俺は思ってる。だからこそ、お前らの能力をもっと生かせるように・・・って思ったのさ。」
酒井雄二「能力ねぇ・・・。」
村上てつや「黒沢の言葉を借りるが・・・お前らは自分たちがやって事を正義だと思ってるわけだろう?盗みをする為の理由として、自分たちの掲げた正義があったわけじゃなく、正しいと思ったことをやる為に盗みって言う手段を使ったんだろ?だったらフィールドを変えても、手段が違ってもできるはずだと、俺はそう思うよ。」
ゴスペラーズ「(酒井、北山、安岡)・・・・・・・・・・・」
黒沢カオル「ねぇ・・・聞いてもいい?・・・・もし俺が、3人がミッドナイトシーフだって分かった時点で言ってたらどうするつもりだったの?」
北山陽一「たぶん、今と変わらない・・・・あなたが言った時点で私達は姿を消し、どこかでひっそりと暮らそうと考えるでしょう。」
黒沢カオル「それは、俺を悲しませる事になっても?」
安岡優「僕等と黒沢さん達じゃあ、立場が違うんだよ・・・・。警察と犯罪者っていう立場なんだから・・・・・。」
黒沢カオル「そんな事ない!少なくても、俺の話相手になってくれてた時の3人は、そんな事関係ないって思ってたはず。」
酒井雄二「それは確かにそうですけど・・・・・・」
黒沢カオル「そうでしょ?お願いだから、もう俺を悲しませないで・・・・。俺は、3人が捕まる事も、目の前からいなくなるのも、どっちも絶えられないよ・・・・。(泣きそうになる)だから・・・・!!」
村上てつや「(泣きそうな黒沢を見て)お前ら・・・・これ以上黒沢を悲しませんなよ・・・。頼むからさ・・・・」
ト書き「顔を見合わせる酒井、北山、安岡。そしてお互い目で合図をし、頷く。」
北山陽一「村上さん、黒沢さん、あなた達の気持ちはわかりました。でも私達は、警察に入る気はありません。」
酒井雄二「・・・そのかわり、警察が了解の上で、今の仕事を続けさせてほしいんです。」
ゴスペラーズ「(村上、黒沢)えっ!?」
安岡優「ようするに、警察の秘密調査班みたいな感じになる・・・・って言えば分かってもらえるかな?警察に入って大々的に活動するんじゃなくて、今の状態に近い感じで活動するの。」
北山陽一「・・・私達は犯罪者なんです。もみ消そうが何しようが、それは一生変わりません・・・・。だから、表だった活動をするよりは、裏で活動してた方がいいんですよ。」
酒井雄二「お2人が言ってたように、不正ルートのモノを元の持ち主に返したり、その人の悪事を調べたり・・・・そういう事をやります。」
安岡優「それでわかった事や資料は全部警察に渡す。・・・・でもそのかわり、モノを盗みに行くのを警察が了解してほしいんだ。盗みに行く時はそっちに連絡もいれるし、絶対人に危害を加えるような事はしない。」
北山陽一「私達は、モノは自分達の手で取り返したいと思っています・・・・。犯罪者である私達が、警察のあなた達にこんなわがままはどうかと思いますけど、了解してもらえませんか?」
村上てつや「・・・・・・・・・・・・・」
黒沢カオル「・・・・・俺は・・・・・・いいよ・・・・・・・それでも・・・・・・・・・・・・」
ゴスペラーズ「(黒沢以外)・・・・!!」
黒沢カオル「3人が俺の前からいなくなったり、捕まったりするよりはずっといい。・・・それに、俺が3人の立場だったら、たぶん同じ事を考えると思う・・・。自分だって罪を犯した人間なのに・・・・それなのに、堂々と表舞台に立って活動するなんて・・・・俺なら出来ないもん・・・・・。3人だってそう考えて・・・・・・」
村上てつや「黒沢・・・・・」
北山陽一「わがまま言ってすみません・・・。自分でも理不尽なことを言っているのは分かっています・・・。」
村上てつや「俺は悪いが、それは認められない。表舞台にたてと言っているわけじゃないんだ。大々的にやろうっていってるわけじゃない。」
黒沢カオル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・どして・・・いいじゃない・・・ねぇ・・お願いだから・・・・・・・」
村上てつや「この事を警察の売りにするわけでもない、3人にはひっそりとやってもらうつもりだ。・・・ただな「盗む」という行為によって返されたものは結局裏ルートで返ってきたに過ぎない、公にすることもままならない・・・だからその後、同じ人間、もしくは違う輩にまたもや奪われたりしてるんだ。」
ト書き「お前らにやってもらうと思っているのは、今までのように「法的に曖昧な証拠」ではなく「法的にもしっかりと裏づけされている証拠」を探し出すこと。今までの仕事の何十倍も時間がかかることだと、村上が続ける。」
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