-ゴスドラマ過去ログ:13701-13800-
村上てつや「力のない・・・というと御幣なんだが・・そうだな権力のないように思われてる人が、権力が自分にはあると思い込んでいる奴に、また奪われることのないようにするにはそれは必要なことだ。それをお前たちにやって欲しいと思ってる。はっきり言ってすっげぇ大変だけど。」
北山陽一「それが村上さんからの条件ですか……?」
村上てつや「ああ、そうだな・・・・・」
北山陽一「それならやはり私達は・・・・・・・」
酒井雄二「あなた達の前から姿を消さなくてはならないですね・・・・・。」
安岡優「やっぱり無理なんだよ・・・・僕等が警察にお世話になるなんて・・・・・・。」
黒沢カオル「なんで?なんでなの?じゃあ、俺はどうなるんだよ。俺には大切な友達だったのに・・・・俺を一人にするのか??」
北山陽一「黒沢さん・・・・(黒沢の頬に手を当てにっこり微笑む)あなたはもう1人じゃない。私達以上にあなたの事を思ってる人・・・・村上さんという大事なパートナーがいるじゃないですか。・・・・だからもう、サヨナラなんです・・・・・・。」
黒沢カオル「そんな・・・そんな事言わないでよ・・・・・。3人とも・・・俺の前からいなくならないで・・・・・お願いだから・・・・・・・・・。(涙が頬をつたう)」
安岡優「(黒沢の肩に手を置く)黒沢さん・・・ゴメンね・・・・・目見えなくさせちゃって・・・・。これは僕がミッドナイトシーフをやってて、唯一後悔してる事なんだ・・・・・。ホントにゴメン・・・・・。」
酒井雄二「(黒沢の手を握る)黒沢さん・・・・今までありがとうございました・・・・。我々もあなたといる時間、すっごく好きでしたよ・・・・。だけど、もうあなたと会う事も無い・・・・だから、御両親の形見の指輪を見るたび、触るたびに思い出してください・・・・。私達の事を・・・・・・・」
村上てつや「(逃げる気か・・・?自首する気か・・・?)お前ら・・・・一体何を考えて・・・・・・」
黒沢カオル「なんで!?なんでそうなるのぉ!?お世話になるなんて・・・そんな風に考えなきゃいいじゃん・・・・もっと効率よく、本当の意味で助けられるんだよ・・・・なんでそんなことにこだわるの?俺わかんないよぉ・・・・」
北山陽一「(黒沢の耳元で)ごめんなさい・・・・黒沢さん・・・・・・・・」
ト書き「北山がそう言った次の瞬間、店の中に煙が充満し何も見えなくなった。」
黒沢カオル「こほ・・・・・ん・・・・3人とも・・・ひどいよ・・・・・・・・もっと・・・話しようよ・・・・・ちゃんと・・・・・・3人は何がしたかったの?どうして盗みに入ったの?」
ト書き「警察に嫌な思い出があるのかもしれない、でもそれを5人だったら塗り替えられるんじゃないのかなぁ、と。権力だけで言う弱者を「返されたら、もう奪われることはない」という、本当の意味で救っていけるんじゃないのかなぁと、咳き込みながら訴える。」
北山陽一「黒沢さん・・・・ここでそれをあなたに説明してるひまは無いんです・・・・・。後ほど村上さんの口から聞いてください・・・・・。さようなら・・・・・・・・」
ナレーション「北山のその言葉から数分後、店の中の煙がようやく晴れる。しかしその場に3人の姿はなく、なぜかパソコンが起動しているだけだった・・・・・。」
村上てつや「カッコわりぃ。お前ら。・・・俺は乗り越えたぞ・・・黒沢だって目が見えないからこそわかる事を生かした夢を目指したのに・・・・お前らはこのままでいいのか?・・・・・まぁいい好きにしろよ・・・・・・(独り言)」
黒沢カオル「・・・!!パソコンの音・・・・。てつ、パソコンが動いてる!もしかして・・・・・(北山が言ってたのって、パソコンを見ろって事なんじゃあ・・・・・)」
村上てつや「パソコン?黒沢、パソコンぐらいどこにだって・・・・(パソコンの前に行く)・・あれ?メールが来てる・・・。(不思議に思ってメールを開く)送信者・・・・ミッドナイトシーフ・・・・。件名・・・・理由・・・・・・。まさかこれって・・・あいつ等が俺達に向けたメール・・・・・?」
黒沢カオル「(やっぱり・・・・)てつ、早く読んで!早く!!」
村上てつや「くそ・・・あいつらまたやるつもりだ・・・・・・・・黒沢後で話す、まず出るぞ!」
黒沢カオル「てつ、違うよ!それは予告文じゃない!!・・・北山が言ってたんだ。どうして盗みに入ったか、その理由はてつから聞いてって。それはたぶん、メールで説明するけど、まだはっきり見えないだろうからてつに読んでもらえって事だと思うんだ。だからメールを読んで・・・・。」
村上てつや「・・・わかった。(パソコンの前に座リ、メールを読み始める)黒沢さん、村上さん、こんな形で説明する事を許してください。まずこれだけは最初に言っておきます。私達3人は、ミッドナイトシーフをやめる事にしました。これは・・・・」
北山陽一「(メール文)これは最初から決めてた事です。警察にばれたら捕まる前に逃げて、3人だけで、誰にも見つからないような所に行きひっそり暮らそうと。では、本題に入りましょう。私達がこの仕事をやろうとした理由・・・それは・・・・・・」
黒沢カオル「ね・・・・続きよんでよ・・・どしたの?ねぇ・・・・てつ?どうして泣いてるの?・・・・・・・・てつは知ってたの?この3人のこと知ってたの?」
ト書き「村上は、自分が先に目で読んでから、黒沢に読んであげていた。しかし、その理由は、村上の心に響き、声に出して読めないほどだった。」
黒沢カオル「てつ・・・・?そんなに悲しい理由なの?あの3人がミッドナイトシーフをやってた理由って、てつが泣き出して読めなくなっちゃうほどの理由なの?」
村上てつや「・・・・・あいつらはきっと知らない・・・・俺を見たって思い出したりはしないさ、養子にとられ苗字も外見も変わっちまった俺のことなんてな・・・たとえ長い間一緒に育ったと言っても・・・・でも・・こいつらがやってることと、俺がここにいる出発点はやっぱり一緒だった・・ある事件がきっかけだったんだ・・・・・・」
ト書き「村上の頬を伝わった涙が、床にこぼれ落ちる。」
村上てつや「・・・・同じ孤児院にいた・・仲よくて・・・・俺が小6の頃事件が・・あいつらを「警察でお世話にはならない」そう言わせるほどひどい扱いを受けた・・・それに心を痛めてた俺の今の親父は、俺を含めそのなかの4人を引き取った。でもその頃にはあいつら姿はなかった・・・・」
ト書き「年齢などに応じて村上父が全員の引き取り先を探した、そして残ってしまいそうな4人を引き取ったという事らしい。村上は落ち着いた時に初めて3人がいないことに気が付いたが、しかしその引取り先を探す前にもう3人はいなかったのだろうと思う。それほどに傷ついていたのだと。」
村上てつや「俺はあの時受けた屈辱も、親父が俺たちの為に流した涙も絶対に忘れない。だから俺は親父のような警官になる。上から見下ろすような警察を変えてやる・・そう思ってここに入ったんだ。でも・・たとえスタートは同じあいつらはきっと違うんだろうな・・・」
効果音「(↑「スタートは同じでも、あいつらは・・・」)」
ナレーション「村上は声もなく、ただ涙を流し続けた。」
黒沢カオル「てつ・・・何かごめんな。俺・・・何も知らなくて、てつにも、あいつらにも何もしてやれない・・・」
村上てつや「俺は・・・・そりゃ・・今でも思い出す・・あの時のことは・・だけど両親がいる。兄弟がいる。お前もいる・・・目標だって有る・・・・だけど・・・あいつらは・・あいつらはまだ、捉われたまま・・・・・・」
黒沢カオル「・・・・・・・・・・」
村上てつや「どうすりゃいいんだ…」
黒沢カオル「・・・探そう、3人を。」
村上てつや「・・そんな事出来るなら、今こんなに悩んで無い・・・・。メール読んでやっただろ?誰にも見つからないような所でひっそり暮らすって書いてたんだぞ。見当もつかねぇじゃねぇかよ。」
黒沢カオル「・・・1人だけ・・・・1人だけいるじゃん・・・・北山の事をよく知ってる人が・・・・・。俺等以上に、北山と一緒にある人の助手をしていた人が・・・・・。」
村上てつや「・・・!!真里さん・・・・・そうだ!真里さんがいるじゃねぇか。北山が、俺等と会う前に、酒井や安岡以外に唯一と言っていいほど親しくしていた人。」
黒沢カオル「真里さんに相談しようよ。そこに何か手がかりがあるかも。」
村上てつや「おっしゃ!そうとわかればすぐ行くぞ。(黒沢の手をひいて車に乗りこむ)」
黒沢カオル「ちょ、ちょっと!真里さんが今何やっててどこに住んでるか知ってるの!?」
村上てつや「住んでる場所は知らねーが、今何やってるのかは知ってる。北山と一緒に助手をしていた頃の大学で講師だ。・・・飛ばすぞ!!」
ト書き「サイレンを鳴らし、勢いよくアクセルを踏む村上。真里さんが勤めているという大学に向かって、急いで車を走らせた。」
村上てつや「(大学前に到着。車を降りて)さて・・・黒沢、ちょっと待っててくれ。中で真里さんの住所聞いてくるから。」
佐々木真里「あら・・・?村上君じゃない。どうしたの?こんな時間に。(仕事が終わり、帰ろうとして大学を出たところ、村上とはちあわせ)」
村上てつや「真里さん・・・・ちょうどよかった。真里さんにいろいろ聞きたい事があってさ。とりあえず・・・・(店から持ってきた3人が映っている写真を見せる)この3人の事知ってる?もちろん、北山も含めて。」
佐々木真里「(写真を見て)えぇ、3人とも知ってるわよ。(それぞれ指差しながら)まずは北山君。この金髪は安岡君。こっちのパーマみたいな頭は酒井君。・・・助手をしてる頃、北山君が紹介してくれたわ。この2人(酒井、安岡)が私を見るなり、「彼女か?」って彼の事をからかってたの。・・・・この3人がどうかしたの?」
村上てつや「・・・・いなくなってしまったんだ。・・・真里さんなら、北山が行きそうな場所を知っていると思って・・・・」
佐々木真里「・・・そう・・・やっぱりね・・・・」
村上てつや「俺さ・・・・言わなかったんだけど・・・実はこいつらの知り合いなんだよ・・・向こうは気づいてないと思うけど・・・・・」
佐々木真里「???つまりどういうこと?気付いてないって?」
村上てつや「それは・・・」
黒沢カオル「とにかく早くあの3人に会いたいんだ。何か知ってることがあったら教えて下さい。」
佐々木真里「ん〜…そうねぇ…」
ト書き「首を少し傾けて言葉を濁す真里さん」
村上てつや「(頭を下げながら)頼む!教えてくれ!!」
佐々木真里「う〜ん・・・・・・・ん?黒沢君なんか顔色悪くない?」
村上てつや「えっ?だ、大丈夫か?黒沢!?お前、目の調子悪いとか!?」
黒沢カオル「えっ?あ・・・・・そ・・そのねかっこう悪いんだけどぉ・・・・・く・・車にちょっと酔っちゃって。だって、だって、だって、てっちゃんが悪いんだよぉ!?あんな荒い運転するからぁぁ!!(酔ったことが恥ずかしいらしく真っ赤)」
佐々木真里「視界が悪い状態だから、よけいにね…。目の方はどうなの?状態は?」
黒沢カオル「北山がね、視力回復の薬を作ってくれたの。」
佐々木真里「・・・もしかして・・・・それって、私達が助手をしていた「北山陽一」が作り出したあの薬?」
黒沢カオル「それは・・・・俺は知らない。北山が、まだ研究途中だけど使ってみてくれって言ってて・・・・毎日欠かさず使ったら、数ヶ月で完治するとか・・・・。」
佐々木真里「そう・・・数ヶ月で完治・・・・・(にっこり笑って)やっぱり彼は天才ね。当時はその薬、数年使い続けても完治なんてしなかったのよ。」
村上てつや「うそ・・・・・・(気の遠くなるような時間に驚いている)」
佐々木真里「それを数ヶ月まで持ってきて、しかも完治できるって事は、彼が相当研究したって証拠ね。・・・あなたの目が見えなくなったのに責任を感じて、寝る間も惜しんで研究してたのかも・・・・・。彼・・・北山君はね、すぐに無理をして、教授がやめろって言ってもやめなくて・・・・よく倒れそうになってたの・・・・・。」
黒沢カオル「そう・・・なんですか・・・・・?」
佐々木真里「えぇ。たしか一度、入院沙汰になった事もあったわ。そんな事があるたびにあの2人・・・・酒井君と安岡君が彼の事を迎えに来て・・・・・本当の兄弟みたいって助手の間では有名だったんだから。」
黒沢カオル「・・・・北山・・・・・酒井・・・・・・安岡・・・・・・・・・(うつむく)」
村上てつや「なぁ、真里さん。あいつ等の事そこまで知ってんだったら、行きそうな場所もわかるだろ?思い当たるのでいいから教えてくれ。」
佐々木真里「そんな事言われても・・・・う〜ん・・・・・・・・あっ!そういえば一度・・・・・・」
北山陽一「僕は将来、雄二とヤスと3人で、誰の手も届かない所で暮らしたいんだ・・・。緑に囲まれてて・・・きれいな湖か泉が近くにあって・・・・誰も来ない静かな所・・・・・。この条件が全部マッチする所なんて、数えるぐらいしかないけどね。」
佐々木真里「・・・って、笑いながら話してくれた事があったの。その時は冗談だと思ってたんだけど・・・・・・」
村上てつや「・・・緑に囲まれて・・・・森の中・・・・。きれいな湖か泉が近く・・・・湖畔・・・・。誰も来ない静かな所・・・・観光名所ではない・・・・・。森の中にある湖畔ってとこなんだが・・・名前の無い湖とかもあるからなぁ・・・・。条件マッチする所が指折りくらいしかないって言っても、結構難しいっつーの。」
黒沢カオル「森の中で・・・湖畔で・・・・だれも来ないような場所かぁ・・・・・一ヶ所しか知らないなぁ・・・・・・。(ボソッと)」
村上てつや「そっか・・・・黒沢でも一ヶ所しか・・・・・・・・・ってえー!!お前一ヶ所知ってんのかぁ!?」
黒沢カオル「え・・・?あ・・・うん・・・・・。酒井と安岡が・・・・・・・」
村上てつや「言ってたのか!?どこだ!!言え、黒沢!!」
黒沢カオル「お、落ち着いてよ、てつ。・・・あの2人がね・・・・・・」
安岡優「ねぇねぇ黒沢さん知ってる?この近くにあるどこかの森の中に、”Promised Lake”っていう湖があるっていうの。何でも、聖書にある”Promised Land”からとってて、”神様が降りて来る湖”とか”約束の湖”とか言われてるんだって。」
酒井雄二「『ある方法』を使わないとその湖には行けないって話なんですが、すごくいい場所らしいですよ。まわりは木に囲まれてて、湖は透き通ってて・・・・それこそ、聖書に書いてある”約束の地”のような所だそうです。」
安岡優「後々はそういう所で暮らしたいよね。僕等3人だけで・・・・・・・・・なんていうのは冗談冗談。気にしないでね、黒沢さん。」
黒沢カオル「・・・っていう話をしてたんだ。こういう事になったから、本当に行ったんじゃないかと思って・・・・・。あの3人なら、知らなかった『ある方法』を見つけてるような気がする・・・・・。北山もいるしね・・・・。」
村上てつや「おまえ、なんで早くそのこと言わねーんだよっ!!!!」
黒沢カオル「だって・・・・(俯いて)色々あったから・・・忘れてたんだよぉ・・・。」
村上てつや「色々なくても忘れそうじゃねーか、お前は。」
黒沢カオル「はぅ!・・・・・・・・そ、そんなことないもん!いまだに運転へたくそなてっちゃんに言われたくないもん!!」
村上てつや「るせー!運転とモノ忘れは関係ねーんだよ!」
ト書き「醜いけなしあい。」
黒沢カオル「(ぷっくぅ)」
村上てつや「俺のアグレッシブ(?)な運転でそこに行くぞ!お前ナビやれよ。」
黒沢カオル「できるわけないじゃん。俺ほんのちょこっとしか見えないもん。」
村上てつや「開き直るんじゃねー!ちったー頭使え!!」
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