-ゴスドラマ過去ログ:14301-14400-
村上てつや「なんとでも言ってくれや(苦笑)・・・・おい、妙なものもってないか全身調べてから、2人を先に連れて行け。こっちは後から行く。わりぃが、お前らのボートは壊させてもらったからな?」
ト書き「全身の検査を受け、あのミッドナイトシーフだからと足かせまではめられる。身動きが取れない状態、しかも仲間が遠くなってしまった状態で、北山は少しだけ村上と話す。」
北山陽一「悔しいですね・・・容赦しないと言ったのに、全然歯がたたなかった。いつまでたってもてっちゃんを抜かせそうもない・・・・まぁあなたことですから、ペット達の面倒はみてくれるんでしょう?ならもういいですよ、どこに行っても同じなのかもしれないし・・・・」
村上てつや「・・・・(ふと誰かが近づいてきたことに気が付く)・・・・な、親父・・どうしてここに・・・・」
妹尾武「ん〜?いやぁ、昔の息子と同じ目の色をした若者を放っておけなかっただけだな。・・・少し話をさせてもらってもいいかな?北山君。」
北山陽一「ええ、かまいませんよ。」
ト書き「「出来れば雄二とヤスも呼んでほしいんですけど・・・・」と小さくつぶやく。」
妹尾武「雄二とヤス・・・?先に行った2人の事かい?」
北山陽一「はい・・・。あなたと話をするなら、僕だけより3人の方が・・・・・・」
妹尾武「そうか・・・・わかった。てつや、彼を警察まで連れて行ったら、私の部屋に連れて来てくれ。他の2人も頼む。」
村上てつや「わかったよ、親父。」
ト書き「そう言うと村上は、北山を連れて行った。警察署に到着すると、先に連れて来られていた酒井、安岡と合流し、村上と共にある一室に通される。そこには、悲しい顔で椅子に座っている黒沢と、3人のペットがいた。」
効果音「ワン!ワン!(ドアが開くなり、北山の元に走って行くプルート)キャン!キャン!ニャー!(プルートに刺激され、ペロとネコ君も安岡、酒井に飛びつく。手錠をされてるため上手く抱く事が出来ない)」
妹尾武「動物は素直だな。・・・・その状態じゃ話しづらいだろう。手錠を外してもらって椅子に座ってくれ。ペットは抱いててもかまわないから。(椅子に座る)てつや、お前も座りなさい。」
村上てつや「ちょ・・・・いいのかよ?外したりして。」
妹尾武「彼等なら大丈夫だろう。話をするなら3人で、と言ってきたのは北山君の方だし、何より雰囲気がお前とよく似ているからな。(その場にいた他の刑事に)お前達はさがってくれ。心配ないから。」
一般人(男)「わかりました。(3人の手錠を外し部屋を出ていく)」
安岡優「(ペロを抱き抱えたまま椅子に座る)・・・・・どうして僕等をこんな所へ呼んだんですか?話なら、刑務所の中でも出来るはずです。それを、わざわざ関係ない人まで出ていかせて・・・・・」
酒井雄二「(ネコを抱いたまま座っている)私達はもうどうでもいいんです。どこにだって行くし、どんな罰でも受ける覚悟はしてますから。」
北山陽一「(自分の横にプルートを座らせている)話は手短にお願いします。あなた方には仕事があるんですから。犯罪者の話を聞くのに時間を使わせるわけにはいきません。それに・・・・・(黒沢の方をチラッと見る)」
黒沢カオル「・・・・・・・・・・(うつむいたままで、今にも泣きそうな状態)」
妹尾武「黒沢君のことが心配・・・・・そういう事だな。彼は自分からここに来たいと言ってきたんだ。君達に逢いたいって言ってね。まぁ、そんなに堅くならずに、リラックスしてくれ。」
村上てつや「(黒沢・・・・・)親父、話をするならさっさとしてやってくれ。俺も含めて、みんな結構戸惑ってるんだからさ。」
妹尾武「ほ〜。お前も戸惑ってるのか?てつや。」
村上てつや「当たり前だろ!・・・ったく。いいから親父、話すんなら話せって。」
北山陽一「・・・・・・。」
妹尾武「・・・私が北山君に話があるといった訳は・・・さっきも言ったようにてつやが君に似た雰囲気を持っていたからなんだ。」
北山陽一「・・・・・・・・・。」
村上てつや「それは、さっき聞いた。で、話ってなに?」
妹尾武「まぁ、なんだろうね・・・野次馬根性なんだろうな、君達に話を聞きたいと思った。君達を救おうとかそんなことを思っているわけじゃないのさ。ただがちがちに身体を固めて、睨みをきかせている君達の話をききたいと思ったのさ。」
北山陽一「僕たちの、ですか?」
妹尾武「そう。どんな事でもいい。好きな事を話してほしいんだ。今まであった事でも、夢でも、何でもいい。私に話してくれないか?」
安岡優「・・・・何だよそれ。人の気も知らないで。そんな野次馬みたいな考えしかもってないあんたなんかに話す事なんて何にも無いよ。」
妹尾武「ほぉ〜・・・。」
安岡優「僕等の事を、その程度でしか見てない思ってないなら、あなたに話すだけ無駄。刑務所に入ってる方がよっぽどマシです。」
妹尾武「君は確か・・・・安岡君と言ったね?そして、そっちが酒井君。で、北山君。あってるかな?」
安岡優「なんなんだよあんたは!?俺達をおちょくってるのか!?人の気も知らないで!!」
妹尾武「知っているわけないだろう?それとも自分の事も話さずに、全てをわかってくれることを望んでいるのかい?それと安岡君、君は「俺達をその程度としか見ていない・・・」と言っていたけれど、君は自分達をどんな風に評価されていたら満足なんだい?」
安岡優「俺は評価のされ方なんかは知らない!少なくとも、あんたみたいな奴等に嫌な思いをされないならそれで満足だ!!人の気持ちを考えないあんた等みたいな人がいたから俺達は!!」
妹尾武「俺達は傷ついてきた・・・・かい?人の気持ちを考える・・・ってどんな事なんだい?それは徹底的に優しくする事なのかな?」
酒井雄二「・・・・あなたに私達の事を理解してもらおうだなんて思ってません。でも、我々の話を聞く理由を、「野次馬根性なんだ。」と言うのは、真剣に話そうとしている気持ちに反します。その程度しか考えてないなら、ヤスと同じく、話すだけ無駄だと私は思います。」
妹尾武「真剣ではあるんだがなぁ・・でも言葉が悪かったね、謝るよ。ねぇ、思うんだけれど、どうしてそうみんなつんつんしてるんだい?私は昔の息子と同じ目をした、息子の昔の友達の話を聞きたいだけなんだけれどな。」
安岡優「友達ぃ!?俺達の幸せを奪った男が友達!?ふざけんな!昔だろうとそんな風に思いたくないね!!」
妹尾武「さっきも聞いたのだけれど・・・・優しいってなんなんだい?君達が思う「優しい」っていう意味を教えて欲しい。もちろん黒沢君にも、てつやにも。」
北山陽一「・・・・僕達は園長が事件があった時、警察からひどい扱いを受けました。だから今でも人間不信だし、警察なんて大嫌いです。でも・・・こんな僕でも唯一親しくしていた人物がいました。だから、僕にとっての優しいは、雄二とヤスとその人達・・・・真里さんと黒沢さんみたいな人です。」
妹尾武「う〜ん・・・私は酒井君や安岡君・・・と、真里さん?のことをしらないから何も黒沢君はなんとなくわかるね。ただ、人の名前をあげられただけじゃちょっと中身を掴みにくいけれど・・・親しくしてくれた人か・・・警察っていう一まとまりなのは少し悔しいかなぁ〜・・・じゃあ酒井君は?」
ト書き「俺ですか・・・と悩む酒井。(↑間違い「・・・のことをしらないから何も黒沢君はなんとなくわかるね」→「・・の事をしらないから何もいえないけれど、黒沢君はなんとなくわかるね」)」
妹尾武「さっき聞いたのは「人の気持ちを考える」だったね・・・考えるのと「優しい」のはまた別問題だと思うけれど、どちらでもいい、答えてもらえるかな?」
酒井雄二「俺も警察なんて大嫌いです。・・・でも、そんな警察の中にいて、バカみたいに俺たちの事心配してくれている人を俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・(言葉につまる)」
妹尾武「さっき言った「人の気持ちをかんがえるということは、徹底的に優しくすることなのかい?」という言葉はちょっと変かな?・・・そうだな、言葉を変えようか「人の気持ちを考えるというのは、徹底的に甘やかす事ではない」んじゃないかな?って感じかな・・・」
ト書き「優しいというのは、人を思いやる事もそうなのだろう。だけれどそれだけじゃなくて、その人を思うからこそ厳しくしたり、後ろから蹴飛ばしたり、力づくでも何かをやめさせたりする事も「優しい」という事なんじゃないかな?そう思うんだと続ける村上父、息子にそんな友達ができて、本当に嬉しかったと。」
黒沢カオル「(当の本人ですが、「あ〜なるほど〜」とか感心してるだけ・・・・・(汗))」
酒井雄二「あなたはずるい・・・・・・・・」
妹尾武「?」
酒井雄二「俺は・・・・警察が嫌いだ・・・だけど・・・警察じゃない・・・俺達に酷い扱いをした奴らが嫌いなんだって・・・・気づかせて・・村上さんの優しさとかを気づかせて・・・・ずるい・・・・」
北山陽一「雄二・・・・」
安岡優「「・・・・」唇を噛む。」
ト書き「一様に黙ってしまった3人に、妹尾は優しく説く。」
妹尾武「君がずるいと感じるなら、それでもかまわない。・・・でもね、そういう扱いを受けたのは何も君達だけじゃない。てつやにだってあったはずだ。しかし、それをてつやは乗りきった・・・・「何があったからどうだ」じゃない。気持ちの持ちようなんだ。わかってくれるよね?」
酒井雄二「・・・・・・・・・・」
安岡優「・・・・・もういいよ・・・・・・・・・・・」
妹尾武「えっ・・・・?」
安岡優「あんたに話したところで釈放されるわけじゃないし、刑が軽くなるわけじゃない。それに、僕等が話を理解したって、刑務所に入るんだから当分人と会うこともないしね・・・・。」
黒沢カオル「安岡・・・・・・・」
安岡優「所詮俺達は犯罪者・・・・この状況だって、俺にしてみれば事情聴取の1つ・・・。(立ち上がる)もう話は終わり。てつ、さっさと手錠かけて連れてってよ。」
村上てつや「・・・・・・・・・・」
酒井雄二「黒沢さん、あなたを悲しませるような事ばかりをした俺達を許してください。」
北山陽一「プルート達の事は、あなたとてっちゃんに任せますから。僕達からの最後の頼みだと思ってきいてください。お願いします・・・・。」
ト書き「そう言うと酒井と北山も立ち上がり、安岡と共にドアの方へ行く。手錠を持ってるのは村上だが、彼は立ち上がろうとしない。」
効果音「くぅ〜ん・・・・(プルートが北山の方へ行き、彼のズボンのすそを引っ張る)」
北山陽一「プルート・・・・わかってるんだな・・・どんな状況か・・・・・(しゃがみこみプルートを抱きしめる)ゴメンね・・・必ず戻ってくるから・・・・一番に迎えに来るから・・・・・・・・(目には涙が溜まっている)」
安岡優「(北山を一見して、妹尾の方を見る)・・・・そういえば、俺だけあんたの質問に答えてないね。」
妹尾武「・・・・・・・・・・・」
安岡優「俺の思う「優しい」は、2人みたいに「この人」ってなるけど・・・・・自分の立場をかえりみず、犯罪者を警察に入れようとしたバカな奴・・・・・・そいつみたいな人の事ですよ。」
村上てつや「・・!!安岡・・・お前・・・・・・・・」
酒井雄二「(思わず笑みがこぼれる)ヤス〜、それはその人を褒めてるんですか?バカにしてるんですか?」
安岡優「酒井さんわかんないの?そんなの決まってるじゃな〜い。(久しぶりのヤングスマイル)両方だよ、両方!」
黒沢カオル「(それまで悲しくしていたのが一転して明るくなる)ハハハ、安岡らしい答えだね〜、それ。」
北山陽一「(溜まっていた涙を指で拭って)ほんとほんと。一番の褒め言葉だけど、一番バカにもしてる言葉だよ。・・・・やっぱりヤスはこうじゃないと。あなたが笑ってなかったら、こっちまで笑えなくなっちゃいます。あなたにツッパリは似合いませんよ。」
村上てつや「お〜ま〜え〜ら〜!!なに人の事でこんな盛り上がってんだよ!(怒っているが、どことなく楽しんでいる様子)安岡!両方ってなんだよ、両方って!!(立ち上がり3人の方へ行く)」
安岡優「ハハハ、ゴメンゴメン。・・・・・(急に悲しそうになり村上を見つめる)・・・てつ、立ったんなら連れてってよ。手錠かけてさ。」
村上てつや「!!じゃあお前・・・最初っからそのつもりで・・・・?あの言葉は、俺を怒らせるための嘘だったのか・・・・?」
安岡優「(微笑み)安心して。俺の言った言葉に嘘はない・・・・全部俺の本心だよ。てつを立たせるために、ちょっと嫌味っぽく言ったけどね。こうでもしないと、てつは俺達を連れてってくれないんだもん。」
ト書き「そう言うと安岡は、村上の一瞬のすきをついて、彼のふところにしまってあった手錠3つを抜き取る。それを酒井、北山に渡し、3人は自分の手にかけた。」
安岡優「・・・行こう・・・・てつ・・・・・・・・」
村上てつや「あの時は別に怒ったから連れて行ったわけじゃねーんだけどなぁ・・・・・俺はそんなに感情で動かねーぞ?ま、行くか。」
妹尾武「てつや、ちょっと待て!!」
村上てつや「な、なんだよっ!?」
妹尾武「おまえの気持ちはどうなんだ?」
ト書き「俺の気持ち?と頭に??を飛ばしている村上に安岡が最後だからと呟くに謝罪する。」
安岡優「裏切り者とか言っちゃったのは・・・ちょっと本心だった・・・どうして俺達の傍にいなかったんだ!?って・・そう思ってたから・・・・ずっと「てつのバカ野郎!」って思ってたから・・・でも・・違った・・・てつは俺達なんかよりずっとずっと偉かったんだ・・・逃げなかったんだ・・・・ごめんね・・・・・」
ト書き「もしあの時逃げ出さずに村上の父となる人と出会っていたら・・・そう思っていた。嫌な奴だと思っていたのに、いつの間にか気持ちを吐露してしまう。包み込むように、決してやさしいだけじゃなくて・・・・・・話ができてよかった、村上に負けないようにこれから頑張るから・・・とそう胸に誓って。」
村上てつや「俺は偉くなんかねぇよ。結果的に裏切ったことにはかわりはないんだし。でも解ってもらえてよかった・・・」
安岡優「てつ、行こう…」
ト書き「安岡は自分で手錠をかけた手を村上に差し出す。北山・酒井も同じように手を出した。」
安岡優「(村上父に)さっきは「あんた」とか、暴言はいてごめんなさい、会えて、話ができてよかったです。」
妹尾武「人の痛みや想いはその人にしかわからない、どんなに周りが軽く見ても、その人にはとても重いものだったりする。でも、だからこそ人は、友達や、恋人、家族の痛みを思いを知ろうと、努力していくんだと思うんだ、それが生きるっていう事・・・・なのかな?と少し思うよ。」
ト書き「村上父の言葉はその場にいる全員の心の中にすっと溶け込んでいくようだった。」
北山陽一「・・・今日はありがとうございました。僕達なんかのために時間使わせちゃって・・・・。(深くお辞儀をする)・・・行きましょう、てっちゃん。」
妹尾武「ちょっと待て。君達は別の刑事に送らせる。てつや、お前に話がある。ここに残ってくれ。黒沢君もだ。」
村上てつや「えっ・・・?あ・・・・(3人の方を見る)・・・うん・・・・・わかった・・・・・。」
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