-ゴスドラマ過去ログ:14401-14500-
ト書き「数分後、数人の刑事が来て3人を連れていった。部屋には村上と黒沢、村上の父、そして3人のペット。プルートは床に座り、ドアの方をじっと見つめる。ペロは椅子に座り、辺りをキョロキョロと。ネコ君は黒沢に抱かれているが、どこか落ち着きがない様子。それぞれ主人の事が気になるようだ。」
妹尾武「(3匹を見て)やはり気にしているんだな・・・主人の事を・・・・・。ところでてつや。さっきも聞いたが、お前の気持ちはどうなんだ?」
村上てつや「俺の・・・気持ち・・・・・?」
妹尾武「そう、お前の気持ちだ。これは、黒沢君にも同じ質問をしたい。2人は今どう思っているのか?正直に話してほしい。」
村上てつや「そんな事いきなり言われてもなぁ・・・・・・・」
黒沢カオル「・・・・俺は、3人を助けたいと思ってる。確かに3人のやった事は悪い事だよ・・・・・でも、これ以上あいつ等につらい思いはさせたくない。たとえそれが法に逆らう事でも俺は・・・・・!!」
村上てつや「黒沢・・・・・(拳をぎゅっと握り締め)俺だって、出来るんならそうしたいよ・・・。あいつ等を刑務所なんかに行かせたくない。・・・・でも、それは無理なんだよ。俺等に出来るのは、ただあいつ等を待つ事だけだ・・・・・罪を償い終えるまでな・・・・・・・・」
黒沢カオル「・・・・罪を償う3人も可哀想だけど、こいつ等(3人のペット)はもっと可哀想だよ・・・・・。主人を待つしかないんだから・・・・・いや・・・もしかしたら、死ぬまで逢えなくなるのかもしれない・・・・・。そんな思いをさせるのは・・・・・・・(涙の滴が日一つニつ、ネコ君の頭に落ちる)」
村上てつや「(待たなきゃいけないのは俺等も同じ・・・。あいつ・・・3人のペットを自分と重ねてるのかもな・・・・・)黒沢・・・泣くなって・・・・・・。(黒沢の隣に座りなだめる)親父・・・これが俺等2人の気持ちだ・・・・・。」
妹尾武「そうか・・・・・・。分かった。」
村上てつや「ありがとう、親父。」
妹尾武「あぁ。…(何かを決意したような顔)」
ナレーション「一方こちら(酒井、北山、安岡)は別の刑事に連れられて上の階へ。」
安岡優「(北山、酒井に向かって)てつのお父さん、何の話があったんだろうね。」
酒井雄二「さあ?でも、大切なお話があったんでしょうな・・・・・。」
北山陽一「・・・。(伏目がちに歩きながら二人の話を聞く)。」
酒井雄二「陽一?どうかしましたか?(北山の顔を覗き込む)」
北山陽一「えっ?いえ、なんでもありません。気にしないでください。」
酒井雄二「・・・・・・・・・・?」
ト書き「北山は「何でもない」と言っているが、イマイチ納得のいかない酒井。」
酒井雄二「やっぱりおかしい。どうしたんです?話して下さいよ。」
北山陽一「ホント、何でも無いですって・・・」
安岡優「どうかしたの?北山さん。なんだか元気ないようにも見えるけど・・・・心配事?」
北山陽一「あっ・・・・いえ・・・・・・・・(酒井、安岡から目をそらす)」
安岡優「(小声で酒井に)これ以上追求しない方がいいかも・・・・なんかいつもの北山さんじゃないよ・・・・・・・。」
酒井雄二「(同じく小声で安岡に)気になるけど、仕方ないですね・・・・。陽一は繊細だから、ちょっとの事が結構な負担になってるのかも・・・・・・・・」
一般人(男)「なに話してるんだ!?着いたぞ!(ドアを開ける)入れ!」
ナレーション「着いた場所は、はめごろしの小さな窓以外なにも無い部屋。数人の刑事は、3人を部屋に入れると出ていき、外から鍵をかけその場を去った。」
酒井雄二「(部屋の真ん中あたりに行き)ここにしばらく居ろって事ですか・・・・。」
安岡優「(歩きながら)取り調べとかするまでの時間、閉じ込めておく場所みたいだね・・・・・。(窓の下へ行き、壁に寄りかかって座る)・・・2人とも立ってないで座ったら?」
ト書き「安岡のその言葉を聞き、左側の壁によりかかって座る北山。その北山の向かい側に、同じくよりかかって座る酒井。誰も何も話さなくなり、沈黙の時間が流れる。」
安岡優「(う〜・・・静かなの苦手〜・・・・(焦))ね、ねぇ、北山さん。気を紛らわすために何か吹いてくれない?ハーモニカ持って・・・!!(何かに気付く)・・・るわけないんだ。所持品取られてるんだよね・・・・忘れてた。ごめん・・・・。(シュン)」
北山陽一「(うつむいていた顔を上げて微笑む)・・・・大丈夫ですよ。ほら。(ハーモニカを取り出す)ついでにこれも。(手には犬笛)この2つだけはどうしても手放せないんです・・・って頼んで、特別に了解もらったんですよ。(握り締めて)これだけは絶対・・・・・」
安岡優「わぁ!早く吹いて。落ちつくんだよね、北山さんの音色って♪」
北山陽一「じゃあ・・・・・・・(一息ついて、吹き始める)」
酒井雄二「きれいな音色ですな。」
安岡優「ほんと・・・・おちつくよ・・・・・。」
北山陽一「(吹くのをやめる)・・・手放せない・・・なんて言って、了解をもらえるのもてっちゃんとてっちゃんのお父さんのおかげなんだよね・・・・・・」
安岡優「うん・・・。」
北山陽一「俺達は・・・・色んな人を排除してきたけれど・・・・・でも本当は・・色んな人に甘えてきたんだ・・・・・なって・・・思った・・3人で生きるなんていっていたけれど・・・真里さんにも、俺の師匠にも・・・あの3人にも・・・・・・」
ト書き「目に涙を溜めながら、再びハーモニカを吹き始める。」
北山陽一「〜〜♪(手には手錠をかけられているので、少々おぼつかない)」
BGM「(あたらしい世界)」
安岡優「いい音色・・・・なんだか眠くなってきちゃった・・・・・・・・」
酒井雄二「眠いんなら寝てもいいですよ、ヤス。先程の事で疲れたんでしょう。」
安岡優「うん・・・・ありがとう・・・・・・・ZZzzz・・・・・・・・・・」
ト書き「北山の奏でる音色は、防音設備の整ってない警察内に響き渡った。」
黒沢カオル「ん・・・・ねぇてつ、ハーモニカの音が聞こえてこない?」
村上てつや「ん〜・・・・あっ、本当だ。もしかしたら、北山の奴が吹き始めたのかもな。」
黒沢カオル「えっ・・・?何で北山がハーモニカ持ってるの?3人の所持品は全部没収したんじゃ・・・・・・・」
村上てつや「所持を特別に了解したんだ。あと犬笛もな。・・・・あいつにとってあの2つは、どんな状況になろうと手放せないものなんだ。ハーモニカなんて、俺が物心ついた時にはすでに持ってたものだし・・・・・犬笛は、あいつとあの犬を繋ぐ生命線みたいなものだしな・・・・・。」
黒沢カオル「へ〜ぇ、あのハーモニカ、そんなに昔から持ってたんだ。」
村上てつや「あいつ自身も、いつから持ってたか知らねーみたいだしな。でも・・・楽器の事とか何も知らない俺でもわかるよ。あのハーモニカはどこか特別なんだって。あいつが持ってあいつが吹くから、あんな綺麗な音色になってるんだと思う。」
黒沢カオル「(目を閉じ耳をすませてハーモニカの音色を聴く)・・・あいつ等のとこ行きたいな・・・・・・・・・・」
村上てつや「・・・・今ならまだ、上の拘禁する場所にいると思うぞ。行くか?」
黒沢カオル「ホント!?行く行く、絶対行く!」
ト書き「・・・という事で、上の階へ急ぐ黒沢と村上。」
村上てつや「しっかし・・・・こんだけ部屋があったら、どこにあいつ等を閉じ込めてんだかわかんねぇな。」
黒沢カオル「まだハーモニカ吹いてるみたいだから、音が聞こえるところを・・・・・ん?てつ、そこになんかない?(あるドアの前を指差す)」
村上てつや「そこ?・・・・(黒沢が指差す方を見る)・・・北山の犬だ!(プルートの所まで行く)酒井のネコに、安岡の犬までいる。何でこんな所に・・・・・・」
一般人(男)「あっ!!(遠くから走ってくる)やっと見つけた!(目の前にいる2人に気付く)・・・警部!!どうしてここに!?」
村上てつや「それはこっちのセリフだ。一体何があったんだ?」
一般人(男)「すいません!(頭を下げる)この3匹を連れていこうとしたら、すきをつかれて逃げられてしまって。数名で手分けして探してたところ、ここにいたのを見つけたんです。・・・・今連れていきますから。」
ト書き「と言って、ペロとネコ君を抱き上げようと手を出す刑事。すると2匹は、彼の手を引っ掻こうとしたり、噛みつこうとしたりする。プルートも相手を威嚇する姿勢をとっており、いつ彼に襲いかかってもおかしくない状況である。」
黒沢カオル「(よく見えない目で必死に見て状況を把握する)プルート落ち着いて!(体を撫でる)・・・ペロもネコ君もおいで。(急におとなしくなり、黒沢に抱っこされるペロとネコ君)」
一般人(男)「うそ・・・・あんなに威嚇してたのに・・・・・・・(唖然)」
村上てつや「(鼻先で笑う)こいつ等は、お前らの手におえる相手じゃねぇよ。・・・あとで俺等が連れてくから、ここはもういいぞ。」
一般人(男)「・・・・わかりました。(と言うと、その場から去っていく)」
村上てつや「・・・さて、こいつ等がここにいるって事は、3人がいるのはこの部屋だな。(鍵を開けて部屋に入る)」
北山陽一「・・・・・(ハーモニカを吹くのをやめる)・・・やっぱりね。ドアの前でうるさくしてたのは、てっちゃんと黒沢さん。(犬笛を吹き、プルートを呼ぶ)いらっしゃい、プルート。」
酒井雄二「どうしたんですか?あなた方から来るなんて・・・・・(ネコ君が目の前に来たので、手錠をかけられている手で危なっかしく抱く)・・・取り調べの時間ですか?それならヤスを起こしますけど・・・・・・。」
村上てつや「違うからいいよ、起こさなくて。ぐっすり寝てるんだし。・・・・北山のハーモニカが聞こえてきたもんだから、黒沢がお前等に逢いたいって言ってな。それで来たんだ。」
北山陽一「そう・・・だったんですか。あ、ハーモニカうるさかったですか?ヤスへの子守歌、と思って吹いてたんですが。」
ト書き「北山は安岡が寝入るのを確認したにもかかわらず吹き続けていた。そして、もう会えないと思っていた、さっき別れたばかりの訪問者に驚いたようだ。」
黒沢カオル「全然大丈夫。俺達がいる階には、耳をすませば聞こえる程度って感じだったから。」
北山陽一「そうですか。でも、プルート達にはしっかり聞こえていたようですね。この部屋のドアの前にいたんでしょ?」
村上てつや「そうそう。刑事の一瞬のすきをついて逃げたんだってさ。しかも連れていこうとした刑事に威嚇してたんだぞ。一歩間違ったら、大変な事になるとこだったよ。」
酒井雄二「ははは。まぁ、我々3人にしてみれば、その行為は当たり前って感じですけどね。ペロやこいつ(ネコ君)はともかく、プルートはすごいんですから。陽一の事しか頭にないって感じですよ。」
北山陽一「そんな事ないと思いますよ。プルートは、「自分が認めた人」をとことん大事にするって感じですから、その1番に僕がいるだけなんだと思います。・・・・そのかわり、敵だって決めた相手にもすごいですけどね。」
黒沢カオル「確かに。それはさっきのでよ〜くわかった気がする・・・・。襲いかかっても不思議じゃない感じがしてたからね。目がよく見えない俺でもわかるぐらいだったよ。」
酒井雄二「何もなくて良かったですよ。そこでもしプルートに何かあったら、陽一が大変な事になりますからね。(北山に)お前は「そんな事ない」って言ってるけど、俺達からしてみれば一心同体みたいに見えるぞ。いいパートナーを持ったな、陽一。」
北山陽一「(恥ずかしそうに)もう、否定しません・・・・。ありがとう、雄二。」
黒沢カオル「いいなぁ・・・信頼できるパートナーを持つって。俺もてっちゃんやみんなのこと、そういう風に思えるんだ。みんなはどう?」
北山陽一「・・・・・てっちゃんはともかく、僕達の事はあまりそう言わない方がいいですよ。犯罪者を信頼するなんていうのは・・・・・・・」
酒井雄二「同感ですね・・・・。目の前からいなくなる人を信頼できるパートナーだなんていうのはちょっと・・・・・。黒沢さん、我々なんかを信頼しないで、その分てつを信頼してあげてください。その方がいいですよ。」
黒沢カオル「てつ?いいよてつは。(笑)」
ゴスペラーズ「酒・北・安)はぃ?」
黒沢カオル「てつはさぁ〜信頼してるけどぉ〜〜う〜ん・・・・・・なんていうか、信頼するとかそういうんじゃなくてぇ・・・・う〜ん・・・・・う〜ん・・・う〜ん・・・俺便秘みたいぃ・・・・」
村上てつや「お前は・・・・(「頭いてぇ〜・・・とあきれる村上」)」
北山陽一「もういいですよ・・・・この話はやめましょう。ところで黒沢さん、目の方はどうですか?」
黒沢カオル「順調にいってるよ。色はもうほぼ完璧。さっきだって、ドアの前にいたプルートの色が見えたんだから。もっとも、プルートだっていうのはわからなかったけどね。」
村上てつや「(笑いながら)こいつ、「そこに何かない?」って聞いてきたんだぞ。まだ色のかたまりにしか見えてねーって事だよな、あの言い方は。」
黒沢カオル「(ぷっくぅ)」
北山陽一「いいんじゃないですか?回復している証拠なんですから。」
安岡優「ん・・・・?(目が覚めた)ふわ〜ぁ・・・・・(目をこする)・・・・・・あれ・・・?てつに黒沢さん。どうしてここに・・・?」
酒井雄二「俺達に逢いに来てくれたんだって。ぐっすり寝てたから、「悪いかなぁ〜」って思って起こさなかったんだけど。てつも起こさなくていいって言ったし。」
安岡優「ふ〜ん。そっか^^。」
村上てつや「悪いな、起こしちまって。」
安岡優「いいえ^^」
黒沢カオル「ずいぶんとぐっすり寝てたよね。俺達が来たのにも気付かなかったなんてさ。」
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