-ゴスドラマ過去ログ:6701-6800-
ト書き「手動の呼吸器を動かしていた村上に、換わりますと北山は言いかけた。」
村上てつや「なぁ、誰でも良いから運転して最寄りの病院にでも行ってくれよ。」
ト書き「腕がパンパンになりかけている村上が3人にそう言った。」
北山陽一「俺、運転します。」
ト書き「運転席に座る北山。」
酒井雄二「優ちゃん・・・優ちゃん・・・。」
黒沢カオル「ガンバレ!もう少しで病院だから。」
安岡優「・・・ん。」
ト書き「涙で潤んだ目が」
ナレーション「ト書きの続き>3人を見つめる。」
安岡優「・・・な・・・い。」
村上てつや「ん?どうした、お嬢。」
黒沢カオル「優っ、どうしたんだ?」
安岡優「めい……くかけ…て、ごめ…ん…なさ…い。」
酒井雄二「…『迷惑かけて御免ナサイ』?」
村上てつや「迷惑だなんて思うな、迷惑かけないで生きてる奴の方がよっぽど探すの難しいぜ。」
北山陽一「着きました!ストレッチャー運んできます!」
ゴスペラーズブラック「早く乗せて!!開いてる医者は私だけですが・・・。」
村上てつや「構いやしない!!俺がやる!!」
黒沢カオル「それにしても…。」
酒井雄二「免許持ってんのか、あの医者。」
効果音「ガラガラガラガラ・・・。バタンッ!!」
ナレーション「村上・北山先生が、手術室に入った後。酒井は動揺してドアの前をウロウロしている。」
黒沢カオル「酒井落ち着いて、座ってくれ!!」
酒井雄二「こ、これが落ち着いていられますか!?」
ナレーション「黒沢は、酒井をじっと見つめて言った。」
黒沢カオル「大丈夫。あの2人が優についているんだから!!俺達はただ待つんだ。」
酒井雄二「……くっ!」
効果音「どさっ」
ト書き「勢い良く酒井は黒沢の隣に座った。」
効果音「チッチッチッチッチ・・・。」
ナレーション「時間だけが、2人の間を過ぎていった。」
黒沢カオル「長いな………。」
酒井雄二「こうして待った事あるんですか?」
黒沢カオル「うん、最初の時も、それ以降もね。」
ト書き「椅子に座ったまま、膝を抱くと黒沢は酒井を見据える。」
黒沢カオル「俺には、ただ信じる事ぐらいしか出来ないよ・・・。」
ト書き「と、その時北山が手術室から出てきた。」
酒井雄二「どうなんですか!優ちゃんは?」
北山陽一「極めて危険な状態だ。」
酒井雄二「そ、そんな!」
黒沢カオル「北山先生!」
北山陽一「2人とも!落ち着いて聞いてくれ。」
酒井雄二「・・・・・・。」
黒沢カオル「・・・・はい。」
北山陽一「もう、こうなった以上隠してはおけない。実は優ちゃんは・・・。」
酒井雄二「実は?」
北山陽一「・・・・・白血病なんだ。」
酒井雄二「白血」
黒沢カオル「・・・病。」
酒井雄二「心臓は?」
北山陽一「心臓も弱ってきている。」
黒沢カオル「でも・・・・。あんなに元気だったじゃないですか?」
北山陽一「実は僕たちは優ちゃんのドナーを探していたんだ。しかし。」
黒沢カオル「まだ見つかってないんですね?」
酒井雄二「俺の!俺の使って下さい!!!」
北山陽一「型があるんだよ。それさえなければ……俺があげたいぐらいだッ……」
酒井雄二「・・・そんなっ!」
黒沢カオル「優ぁっ・・・!」
酒井雄二「優ちゃんっ・・・くっ・・・」
ト書き「雄二の噛んだ唇から、赤い血が溢れ出す。」
酒井雄二「俺・・・すごく、悔しいっ・・・」
黒沢カオル「雄二さん・・・。」
酒井雄二「そ・・・そりやあ、俺と優ちゃんは出会ってまだ、ほんの数日だけど・・・だけど、俺、優ちゃんに何にもしてあげられない・・・。」
黒沢カオル「・・・兄貴だから・・・ですか?それとも、好きだからですか?」
酒井雄二「え?」
黒沢カオル「北山先生もです。俺、気付いてましたよ、ずっと前から。」
北山陽一「え・・・。」
黒沢カオル「俺、こんなのもう嫌だ・・・みんな、優の事好きなくせに、それを隠して笑ってるなんて・・・。」
北山陽一「ま・・・まさか・・・。」
黒沢カオル「・・・ふっ・・・」
ト書き「黒澤は、自嘲的な笑みを浮かべた。」
黒沢カオル「その「まさか」ですよ。」
ト書き「黒澤は、目に思いっきり涙を浮かべて言った。」
黒沢カオル「俺は・・・優が好きだっ・・・」
ナレーション「きゃぁ〜!大変な事になってきましたぁ〜(><)・・・っていうか、ホントに演技ですかぁ?かなり、心配なんですけど・・・。」
効果音「どぐっ!」
ト書き「ナレーションは『大宇宙の大いなる意思』によって吹き飛ばされてしまった。」
村上てつや「……北山、交代しろ。さすがの俺も、ちょっと限界だ……。」
ト書き「目に見えて疲れていると分かる村上。」
北山陽一「はい。………じゃあ。」
ト書き「そんな村上を少し気遣いながら、北山は交代した。」
村上てつや「・・・・・・・・・。」
黒沢カオル「村上先生!!!なんで優の病気の事教えてくれなかったんですか!」
村上てつや「すまない。だけど君達や優にはもう少しだけ黙っておいたほうがいいと思って・・・。」
黒沢カオル「そんな!どうして・・・・・・・・・?」
村上てつや「ドナーの事は・・・・・聞いたか?」
酒井雄二「まだ見つかってないって。」
村上てつや「見つかったら言おうと思ってた。」
黒沢カオル「そんなの・・・・・・・・・。おそいよ・・・。」
ト書き「カオルの目から涙が零れ落ちていく。」
村上てつや「ドナーが見つからない限り、俺にはどうすることも出来ないんだよ。」
ト書き「と、村上は後ろを向いた。」
ゴスペラーズレディース「先生!!」
村上てつや「おうっ。」
ゴスペラーズレディース「すぐ来てください!」
ト書き「村上は走ってどこかへ行ってしまった。」
酒井雄二「・・・・・・・・・・・・。」
黒沢カオル「なんだよ・・・・。優の事心配じゃないのかよ・・・。」
酒井雄二「心配にきまってるさ。けど、患者は優ちゃんだけじゃないんだぜ・・・。」
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