-ゴスドラマ過去ログ:14901-15000- |
北山陽一「わっ!!ユウジ、どうしてここに!?」 酒井雄二「(何も優殿と同じように尋ねんでも・・・・・)心配だったから付いて来たんだけど・・・・・陽一!優殿にあんな言い方しなくてもいいだろ!!可哀想じゃないか!」 北山陽一「(ちょっとむっとして)心配だって言うのは口ばっかりで、本当は説教しに来たのかい?(参考書を閉じて)・・・・それならお断りだよ。さっさと帰りな。(冷たい目でユウジを睨み校舎の中に入る)」 酒井雄二「(ゾクッ)別にそんなつもりじゃ・・・・・・(校舎にいる北山を見て)あっ・・・陽一!待ちなさい、陽一!!・・・・・どうやら火に油を注いでしまったみたいですね。このままではいけないな・・・・・授業が終わるまで待つとしますか。(時計の見える人目に付かない場所に移動する)」 効果音「キーンコ〜ンカーンコ〜ン!!(1時間目始まりのチャイム)」 DJバリ"K"〜ん「はい、これから小テストを始めるから教科書をしまえよ〜!時間は30分!(生徒全員に用紙がいき渡ったのを確認して)始め!」 ト書き「教室内は答案にすべらせる鉛筆の音以外しない。北山も集中して答えを解いていく。」 北山陽一「(小声で)うん!これならいけるっ!」 ト書き「そのころ長男たちは・・・」 黒沢カオル「は〜あ〜あ〜あ〜・・・。」 ト書き「珍しく(?)ダラダラしている黒沢。」 村上てつや「お前なにうだってんの?陽一のことか?しょーがねーなー。オレが一肌脱いでやるから、あんま心配すんなって。・・・・もとい、オレも心配してるけどよ。」 黒沢カオル「・・・うん。頼むよてつ。」 ト書き「所変わってここは陽一のクラス。小テストを早く終えた陽一は考えていた。」 北山陽一「見直しは5回したし、とりたててわからない所もない・・・。よしっ。・・・はぁ・・・家に帰りたくないな…。なんでみんなあんなにのん気なんだろう・・・。オレのことを誰もわかってくれない…。」 酒井雄二「よ・う・い・ち!(ぬっと出てくる)」 北山陽一「(小声で)ゆうじ?!何やってるんだよ!(先生をちらっとみて)」 ナレーション「先生は気づいていませんよ〜。」 北山陽一「はぁ〜・・・・・。。。。」 酒井雄二「(お前さん、見た所、人間的な部分が欠除しとるね。……こんな点数でしか計れないものがどれだけ意味が無い事か…あぁあ…我が輩、悲しいですよ。」 北山陽一「(小声で)うるさいな。ダメだろ、こんなところに来ちゃ。・・・ほら、かばんの中にでも隠れて。絶対動くなよ。帰りまではバレないようにな。」 酒井雄二「了解!(机の横にある開けっぱなしのかばんに体を丸めて入る)」 DJバリ"K"〜ん「北山、なにやってるんだ?かばんのふたを閉めなさい。『雄二には気づいてない様子。』」 北山陽一「はい、すいません・・・。(ユウジ、ごめんね・・・・しばらくの間ガマンしてて・・・・・)(かばんの口を閉める)」 DJバリ"K"〜ん「(30分経過)はいそこまで!後ろの人から集めてきて。」 一般人(男)「男子生徒A:終わったぁ〜〜!!」 一般人(女)「女子生徒A:私、今回ちょっとヤバかったかも・・・・。陽一君はどうだった?今回の小テスト。」 一般人(男)「男子生徒B:お前そんな野暮な事聞くなって。こいつなら満点に決まってるだろ?なんたって学年トップなんだから。」 一般人(女)「女子生徒B:そうそう。今日の小テストだって時間割変更でいきなりだったけど、陽一君にしてみれば楽勝よ。・・・私達みたいに「明日テストだ!ヤバイ!!」なんて事ありえないだろうし。「そんな勉強しなくてもらっくらく」って感じでしょ。」 北山陽一「(何だと!?人の事も知らないで!!)」 酒井雄二「Zzz・・・・・(陽一の心情もお構いなしに、カバンの中の心地よい温度で寝てしまっている)」 ナレーション「時は変わって夜7時、学校を終えた陽一は公園で参考書を開いていた。鞄の中から雄二が目を覚ました。」 酒井雄二「・・・ふぁ〜(あくび)・・・陽一、もう学校は終わったのか?」 北山陽一「(にっこり微笑んで)とっくに終わってるよ。雄二が鞄を占領するから、荷物が大変だったよ(苦笑)。」 酒井雄二「陽一、塾はどうしました?朝、薫殿に塾に行くから遅くなるといったはずでは・・・?」 ナレーション「陽一のカバンからひらりと飛び降り、なんの気なしに質問をする雄二。」 北山陽一「・・・実は嘘なんだ。・・・家に帰りたくなくて・・・・。雄二、先に帰ってってもいいんだぞ。優も心配するだろうし・・・。」 酒井雄二「・・・・なんでまた・・・。そんなにあの家が嫌いなんですか?・・・・よかったら僕に訳を教えてください。僕はネコだし、陽一しか僕の話は理解できない。僕は誰にも言いません・・・。・・・最近、陽一は気を張り過ぎです。僕が聞いたところで何の救いにもならないかもしれないけど少しは楽になると思いますよ。」 北山陽一「・・・・・・・・・・そうかな・・・・・・・・・。」 ト書き「雄二の真剣な眼差しを少し悲しそうな表情で見つめ返す陽一。」 北山陽一「・・・あの家が嫌いなわけじゃないんだ。・・・オレにはあの家にいる資格がない。・・・・オレはてつ兄やカオル兄や優と・・・血が・・・血が繋がってないんだ・・・。」 酒井雄二「ええ〜〜〜!?他の兄弟はその事を知らないのかい?」 北山陽一「うん。中2の時に家族のアルバムを見てたんだ…。兄さん達と優には生まれたての写真があってさ…オレのだけなかったんだ。…なんでだろうって思って、一緒に保管してあった母さんの育児日記読んだんだ…。生まれる直前までは色々書いてあったのに…生まれてから5ヶ月間の記録がなかった…オレだけ。」 酒井雄二「・・・・・それは生まれるはずだった赤ちゃんが死んでしまって、その赤ちゃんの代わりみたいなもので君があの家に来たってことかい????」 北山陽一「・・・うん。そんなかんじかな。気になって戸籍を見に行ったんだ。そしたら、てつ兄と優の間にオレじゃなくて「男児」ってあって「死亡」って…。オレのところには「養子」って書いてあった。」 酒井雄二「そうなんだ・・・・。でも、他の兄弟が知らないなら普通にしてればいいじゃないか。君が一人で悩んでるのがおかしいんだよ・・・・・。」 北山陽一「オレだって、最初はそう思ったよ?だけどね、やっぱりこっちから意識しちゃうんだよ。オレだって、皆と楽しくご飯食べたり話したりしたい。できれば勉強なんてしたくないんだよ。でも、ダメなんだ・・・。」 酒井雄二「・・・・どうして?勉強をして何になるんだ?兄弟みんなを楽にしてあげたいとか思ってるのかい?「家族」っていうのは、みんなで助け合っていくものじゃないのか?君は家族だと思っていなくても他のみんなは、君を立派な家族の一員として見ているんだよ。もう少しみんなの気持ちも考えてやれよ・・・・・。」 北山陽一「まだこんなことを知らないうちは、勉強して偉くなってみんなを楽にしてあげたかった。今は自分が早く一人立ちするために勉強してるんだ。みんなから離れらるように。いずれみんなはこの事を知るよ。そうしたらあの家にはいられなくなる。みんなにぎこちなくされるより先に自分がみんなを避けてしまえば少しは楽だろう…。」 酒井雄二「そんなの君が逃げているだけじゃないか!たぶん他の兄弟がその事を知っても普通に接してくれると思うぞ。あの乱暴なてつやでもきっとこう言うさ→「だから?」って。」 ト書き「不意に陽一は自分の目の前に座っている雄二を抱き上げてひざの上に置いた。少し涙を浮かべて…。」 北山陽一「オレ、自分から離れようとして冷たく接してるのにそれでもかまってくる兄さん達や優がうっとおしかった。「何にも知らないくせに」とか思ってさ。悩んでるのは自分だけだと思って、カオル兄さんや優にひどい事言ったかも知れない…。それでも兄さん達や優は許してくれるだろうか・・。」 酒井雄二「許してくれるよ、きっと。昔みたいに仲の良い兄弟に戻ればいいじゃないか。」 北山陽一「・・・・・・・・・・・・・・うっとおしいんだ・・・・」 酒井雄二「じゃあどうしたいんだよ!」 北山陽一「僕も・・・よくわからないんだよ・・・・・・」 ト書き「大粒の涙を酒井の頭に落とす北山。」 酒井雄二「(陽一・・・・・・・・・)(怒鳴ってしまった事に少し罪悪感を覚える)」 北山陽一「雄二・・・・もう帰りな・・・みんなが心配する・・・・・。(時計を見て)今7時・・・・僕は、あと2時間位したら帰るから。(地面に雄二を下ろす)またあとでね・・・・。」 酒井雄二「(今は、これ以上立ち入らない方がいいだろう・・・・・)それじゃあな、陽一。またあとで。」 北山陽一「(にっこり微笑むと、また下を向き参考書を読み始める)」 ナレーション「その頃家では・・・・・・」 安岡優「ゆ〜じ〜。どこにいるの〜?ゆ〜じ〜。(家の中をキョロキョロ)」 黒沢カオル「優、どうしたの?」 安岡優「雄二がどこにもいないんだ。陽一兄の部屋にもいなかったし・・・・・どこ行ったんだろう?」 村上てつや「そういやぁ朝見たっきりだな、あの猫。どっか散歩にでも行ってんじゃねーの?猫は夜行性だって言うし。心配しなくても、そのうちひょっこり顔出すって。」 安岡優「それならいいんだけど・・・・・・・。」 効果音「ガンガンガン!!」 安岡優「・・!!なんの音だろう・・・?(音のした方に目をやる)・・・ユウジ?」 酒井雄二「ニャア!ニャア!(誰か開けてくれー!)(リビングの窓に体当たりをしている)」 安岡優「待ってよ雄二!(急いで窓を開ける)・・・おかえり、雄二。(抱き上げる)何も体当たりしなくても・・・・・大丈夫?」 酒井雄二「にゃ〜あ☆(我輩は不死身ですぞ!)」 村上てつや「いい根性してるなぁ、こいつ。・・・おい、優をあまり心配させるなよ。(雄二の頭をくしゃくしゃ撫でる)・・・ん?こいつの頭ぬれてる・・・・雨でも降ったのか?」 安岡優「あっ、ホントだ。(外を見る)…でも雨なんか降ってないよ?」 酒井雄二「ドキッ!!(そういえば、陽一が我輩の頭に涙をこぼしてたっけ・・・ヤバイ・・・・・)(優の手から抜け出し、家の中のどこかへ逃げる)」 安岡優「あっ!雄二、どこ行くの?・・・・・・逃げちゃった。」 村上てつや「怪しいなぁ・・・・なんか隠してるのか?あの猫。・・・・なぁ優、あいつの体ぬれてたか?お前抱いてたからわかるだろ?」 安岡優「うん。体の方は全然ぬれてなかった。だから、雨とかのせいじゃないし、水をかけられたってわけでもないと思うよ。」 村上てつや「そっか・・・・何なんだろうなぁ?頭だけぬれてるなんて・・・・。いきなり逃げ出した怪しい行動も気になるし・・・・。」 黒沢カオル「雄二〜!濡れてるところは拭かなきゃダメだよ〜。(バスタオルをもって追いかけている)」 ナレーション「アレルギー持ちの薫に遠慮して逃げ回る雄二と、雄二を拭いてあげたい一心で必死に追いかける薫。」 酒井雄二「うにゃにゃ〜っ(まずい、このままではバレてしまう〜)」 黒沢カオル「はい捕まえたっ!(酒井をひょいっと持ち上げて)こ、こら・・・おとなしくして。雄二〜どうして頭だけ濡れてるの?何かあったの?ん・・・?」 酒井雄二「にゃー!にゃー!(何でもないから、薫殿、離してください!)(ジタバタする)」 村上てつや「薫、貸せ!(黒沢から雄二を奪う)・・・また喘息が出たらどうすんだよ。(雄二に)ジタバタすんな!!・・・おい!お前、何隠してんだ!?まさか陽一に何かあったのか!?」 酒井雄二「ギクッ!!(陽一の事がバレるのは何としてでも避けたい・・・こうなったら・・・・・)(おとなしくなる)」 村上てつや「おっ、やっとおとなしくなった。・・・さて、どうしていきなり逃げたんだ!?ん?」 酒井雄二「・・・・・(てつや殿・・・・すまん!!)・・・ニャア!!(村上の手を引っ掻いてなんとか逃げ出し、2階の北山の部屋へ猛ダッシュする)」 村上てつや「いってぇ!!(引っ掻かれたところからは血が出てきている)・・・あのヤロウ・・・・・・・(怒)」 黒沢カオル「てつ!もういい!・・・・これ以上追い掛け回して家の中メチャメチャにされたらこっちが困るよ。・・・今は頭を冷やして、引っ掻かれたところ手当てしな。」 安岡優「ユウジに何かあったら、陽一兄ホントに口きいてくれなくなっちゃうかもよ。陽一兄、とくに可愛がってるんだし・・・・。」 村上てつや「(少し不服そうに)わーったよ。あいつに構わなければいいんだろ?構わなければ。」 酒井雄二「あ〜・・・危なかった・・・てつや殿・・・すみません・・・。(北山の部屋の窓から外を見て)あっ!陽一ぃ〜!おかえり〜(前足で窓をガシガシとしているが、北山は全く気付いていない)」 北山陽一「はあ〜…」 ト書き「「家に入りたくないなぁ〜・・・」と思っている北山。家の前で足が止まる。」 北山陽一「・・・・・・(荷物を家の前に置いて、そのままその場から立ち去ろうとする)」 酒井雄二「待ちなさい!陽一!」 北山陽一「(酒井の声に立ち止まり)雄二・・・。」 酒井雄二「いったいどこに行くつもりですか?」 北山陽一「・・・・」 |
[TOP|NEXT|BACK] |