-ゴスドラマ過去ログ:15101-15200-
安岡優「陽一兄・・・?陽一兄!!(北山から返事はない)・・・どうしよう・・・・携帯無いから連絡できないし・・・・・僕一人じゃ何も出来ない・・・。でも・・・・早くしないと陽一兄が・・・・・・・・・(泣きそうになる)」
酒井雄二「ニャン!ニャン!(安岡の携帯を目の前に差し出す。先ほど北山が投げた時、すぐに追いかけて探していた雄二)」
安岡優「…ありがとう!」
ト書き「すぐさま村上と黒沢に連絡を入れる安岡。その間にも、北山の顔がどんどん青白くなっていく。連絡を入れてから数分後、2人が川辺に到着した。」
黒沢カオル「いったいどうしてこんなことに?」
村上てつや「(北山を抱き起こして)おい、しっかりしろ!優、救急車だ!」
安岡優「まって!!今かけてるから!!」
ト書き「携帯電話で必死に居場所を伝える安岡。黒沢は青ざめている北山を見て、自分の上着をかけてやった。」
村上てつや「陽一っ?!おいっ、陽一っっ!!しっかりしろよっ!!(優が電話をかけているのもかまわずに叫びつづける)やばい、どんどん冷えていく。とりあえず雨のあたらない場所は・・・?」
ト書き「まわりを見渡しても、それらしい場所は見当たらない。」
村上てつや「チクショウ・・・・川辺のこの暗さじゃ、ほとんど何にも見えない・・・・・優!救急車はまだか!!」
安岡優「あと5分はかかるって。なんとかその間もたせないと・・・・・。」
黒沢カオル「陽一・・・・あと5分でいいんだ・・・・・がんばってくれ・・・・・・・」
酒井雄二「・・・・・・(あと5分か・・・・5分ぐらいなら、なんとかなるかもしれない・・・・・・・・よしっ・・・・陽一!我輩の声が聞こえますか?陽一!)」
北山陽一「(北山の意識の中)(・・・雄二・・・・・・?・・ゴメン・・・・・俺もうダメ・・・・・・)」
酒井雄二「(陽一!何を言ってるんですか!!気を確かに持ってください!)」
北山陽一「(・・・いいんだよ・・・・もう・・・・・・これで・・・俺の望んでたとおり・・・・・誰もいない世界へ行ける・・・・・・・・)」
酒井雄二「(お主まだそんな事を!!みんなお主の事を心配してるんだぞ!早くこっちに戻って来るんだ!!)」
北山陽一「(ユウジ・・・・もう構わないでくれ・・・・・・・疲れたから・・・・静かに眠りたいんだ・・・・・・・・起こさないでくれよ・・・頼む・・・・・おやすみ・・・・・・・・・・・)」
酒井雄二「(陽一!?・・・・陽一!!・・・・・・ダメだ・・・もう声が聞こえない・・・・・我輩ではこれが精一杯なのか・・・・・・・・)」
ト書き「自分の不甲斐なさを感じ、ガックリうなだれる酒井。・・・とそこに・・・・・・・・」
効果音「ピーポーピーポー!!(救急車のサイレンの音)」
ト書き「救急車が到着。全員乗り込み、急いで病院へと向かう。」
田辺恵二「(医者、村上達に向かって)ご家族の方ですね?・・・よかったですよ。救急車の到着があと一歩遅れてたら危険な状態でした。とりあえず命に別状は無いので安心してください。」
黒沢カオル「よかった〜・・・・(一安心)・・・あの、陽一はどうなんですか?」
田辺恵二「特に目立った症状も見られなかったので、過労や精神的ストレスでしょうね。雨に長時間当たっていたのも引き金になったと思います。・・・・年齢から察すると、今年受験生の方ですか?」
村上てつや「はい、そうです。」
田辺恵二「あ〜・・・やっぱり。・・・・正直、医者の私から見ても驚きましたよ。結構無理をしているようで、よく今まで倒れなかったと言いたいとこです。・・・・受験生だからって無理は禁物。家族の方もよく注意してあげてください。」
黒沢カオル「わかりました。どうもありがとうございます。」
田辺恵二「みなさんも着替えに戻られた方がいいですよ。そのままでは風邪をひいてしまいます。(時計を見て)・・・・もうこんな時間ですから、明日また来てください。」
ト書き「そう言われたので、とりあえず家へと帰る3人と1匹。その帰り道・・・・・・・・」
黒沢カオル「ねぇ・・・てつ・・・・優・・・・・あのお医者さんが言ってた事・・・どう思う・・・・?」
村上てつや「そうだなぁ・・・・こっそり聞いてた陽一の話の事を考えると、倒れた理由はそうなるな。・・・・あの勉強量や最高3日の起きっぱなし、しかもその生活を1年とくれば、倒れない方が不思議だよ。」
安岡優「それとストレスは、陽一兄の様子や話で聞いた友達関係・・・・・・友達はわかるんだけど、問題は僕等の方なんだよねぇ。僕等のどこにストレスを感じているのか。・・・・陽一兄が僕等を避けてる事と、何か関係があるのかなぁ・・・・?」
村上てつや「今の時点じゃ何もわかんねーな。」
黒沢カオル「なんか、さみしーね・・・・」
安岡優「陽一兄は何も僕達に言ってくれないし・・・・。(そうつぶやいてうつむく)」
村上てつや「まぁ、とりあえずあいつが無事だったからいいじゃねぇか。明日には目ぇ覚ましてるだろうから、朝一で病院行って話聞いてみようぜ。」
酒井雄二「にゃぁ・・・(優殿・・・そんなに寂しそうな顔をしないでください。我輩が陽一の力になります!)」
ト書き「そうこう話しているうちに家へと着く。3人は着替えをすませると、明日のためにすぐ寝てしまった。そして次の日・・・・・・・」
黒沢カオル「う・・・頭が痛い・・・。昨日雨に濡れたからかな・・・・。」
村上てつや「お前までぶっ倒れるなんてやめてくれよ。・・・・優、準備できたか?」
黒沢カオル「ふわ.......(気を失う)」
村上てつや「おい!薫!!」
安岡優「薫兄!?(おでこに手を当てる)・・・熱があるみたい。てつ兄、このまま陽一兄のいる病院に連れてこう。」
村上てつや「そうだな。優、薫を見ててくれ。車出してくるから。(急いで外に出ていく)」
ト書き「あわてて車を出す村上。黒沢と安岡、それと酒井を乗せ、北山の入院している病院へと急ぐ。」
村上てつや「(病院到着)よし、着いた。(黒沢を抱え)俺は薫を先生んところ連れてく。お前はその猫を連れて陽一の病室に行っててくれ。終わったらすぐそっち行くから。」
安岡優「わかった。ユウジ、ちょっとの間ガマンしててね。(酒井をカバンの中へ隠す)」
ト書き「酒井のために、急いで北山の病室へと向かう安岡。北山の病室は個室なので、他の人に酒井がばれる事はまずない。(本当はそんな事したらダメですけど・・・・・)」
安岡優「コンコン!陽一兄、入るよ。(病室に入る)」
北山陽一「(顔色もよくなっており、もう起きている)・・・・・・・・・・・・・・(安岡を一見したがすぐ目をそらす)」
安岡優「陽一兄、もう大丈夫なんだね?・・・・見て見て、こっそり連れてきたんだ。(カバンから酒井を出す)」
酒井雄二「にゃ〜!!(陽一!元気になったんですね。)(ベッドを汚さないよう、すぐ横にあった椅子に乗る)」
北山陽一「・・・・・・・・・・・・・・・・(横目で酒井を見たがすぐ目をそらし俯く)」
安岡優「・・?陽一兄、どうしたの?一言も喋らないで。いつもみたいに、雄二に話しかけたりしないの?」
北山陽一「・・・・・・・・・・・・・・・(無表情のまま一言も喋らず俯いたまま)」
酒井雄二「うに〜・・・?(陽一・・・・どうして何も喋らないんですか?何か言ってくださいよ。「はい」でも「うん」でも何でもいいですから)」
北山陽一「・・・・・・・・・・・・・・・・・(俯いたまま少しだけ首を左右に動かす)」
安岡優「・・!!陽一兄・・・・まさか・・・・・・声出ないんじゃ・・・・・・・・僕、先生呼んでくる!!(あわてて病室を出ていく)」
酒井雄二「陽一・・・・お主そこまで追い詰められていたのか・・・・?声が出なくなるほど、精神的に追い詰められていたのか?」
北山陽一「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(やはり何も話さず俯いている。目にはうっすら涙が)」
ト書き「病室の中に沈黙が続く。すると・・・・・・」
黒沢カオル「(病室に飛び込んでくる)陽一!!声が出なくなったって本当!?」
村上てつや「(病室に入ってきて)薫、いくら点滴打ったって言っても、まだ熱あるんだぞ。少しは自分の事も心配しろよ。・・・・・なんて言ってる場合でもないな。陽一、本当なのか?声が出ないって。」
北山陽一「・・・・・・・・・・・・(コクンと軽く頷く)」
酒井雄二「うにゃ?(あれ?優殿は、先生を呼びに行ったのでは?)」
ト書き「酒井は不思議そうに首をかしげた。さっき安岡は「先生を呼んでくる」と言ったのに、何故か黒沢と村上が来たから無理もない。」
安岡優「はぁ、はぁ。先生連れてきたよ。でも一応この2人にも先に知らせておいた方がいいとおもって・・・(息切れ中)」
妹尾武「なんだっ!!猫が入ってるぞ!?・・・早く出してね・・・それより・・・(真剣な顔で北山を調べていく)」
村上てつや「・・・・・どうなんスか?先生」
一般人(女)「今はなんともいえないな。顔色も特には悪くないし・・・。声が出ないのは、何か精神的に辛いものがあったのかもしれませんし。」
BGM「忘れない〜、愛しさも〜、抱きしめたまま〜(夏風)」
妹尾武「(↑↑私のセリフね)・・・ここ最近、何かつらい事でもありましたか?(村上に尋ねる)」
村上てつや「それは・・・・・・・・(たくさん覚えがあるだけに、どこから話せばいいのかわからない)」
妹尾武「・・・・どうやら覚えがあるようですね。まぁ、他人である私には話せないでしょうけど・・・・。今の彼は、精神的に辛い事があったので、軽い自閉症みたいになってるんだと思います。それが声が出なくなるという形で現れた・・・・・。」
黒沢カオル「陽一は・・・・・陽一の声は元に戻るんですか?」
妹尾武「こればっかりは医者でも難しいです。病気ではなく、精神の問題ですから。彼が心を閉ざすきっかけになったのは何か・・・・それを見つけ出し、家族や周りの人が理解してあげる・・・・・だからといって無理に知ろうとすると、彼が余計に心を閉ざしてしまう・・・・・・長い期間をかけてゆっくりやっていくしか・・・・・」
黒沢カオル「そうですか・・・」
村上てつや「・・・陽一、俺達が声を絶対に戻して見せる。お前は俺らの大切な兄弟だもんな。たとえどんなに時間がかかっても・・・」
安岡優「…陽兄…。(心配そうに上目遣いで陽一を見上げる)」
酒井雄二「(うっうう・・・・なんていい家族なんだ・・・・陽一にはやはりわからないのだろうか・・・これ以上の家族はないというのに!!)」
北山陽一「・・・・・・・(俯き悲しそうな顔をしている)」
妹尾武「今はいいんですが、土、日を過ぎると学校があります。もし学校が心を閉ざす事に関係があると思うなら、しばらく休ませた方がいいと思います。少なくとも、自分から行くようになるまでは・・・・・・」
黒沢カオル「そっか・・・・・・わかりました。」
妹尾武「それと、彼の行動一つ一つに注意するように。じろじろ見ろってわけじゃないんですが、彼をよく見るような感じで。・・・・隠れて無理するかもしれませんし、どこに心を開かせるヒントがあるとも限りませんから・・・・。少しでいいです。彼に興味を持つようにしてください。」
村上てつや「はい・・・。」
黒沢カオル「(熱が上がったのか陽一を心配しつつ倒れる)」
村上てつや「薫・・・?大丈夫か?!」
黒沢カオル「う〜ん。ちょっと一眠りしてもいいかなぁ?陽一、細いから僕も入れるよね。・・・zzz。(天然)」
北山陽一「・・・・・・・(自分の隣で眠っている黒沢を見て微笑み頭をなでる)」
安岡優「!!・・・陽一兄が・・・・・微笑んだ・・・・・・?・・・さっきからずっと無表情だったのに・・・・・・・・・(これは・・・薫兄の天然のおかげ・・・・?)」
北山陽一「・・・・・・・・・・・・(微笑んだと思ったらすぐ寂しそうな顔になって俯いてしまい、頭を撫でるのもやめた)」
村上てつや「あああっ、心を閉ざしてるっ!?おい優、家族の中じゃ、オマエが一番まともに話してただろ。なんか、何でもいいから陽一の事知らないか?」
安岡優「えっ!?う〜ん・・・・・・・。」
ナレーション「一番まともに話しているとはいえ、陽一と腹を割って話した事などなかった優。」
安岡優「俺、いっつも陽一兄にくっついてただけなんだよなぁ。・・・だって一番相手にしてくれたの陽一兄だったし・・・。でも俺、かまってもらうばっかりで陽一兄の話聞かなかったよ・・。」
村上てつや「なんだよー俺達が相手してねーみたいじゃんかよぉ〜」
安岡優「年がこれだけ離れてんだからさぁ、兄さん達には話ずらい事や、話てもわかってもらえない事とかあるもん。そう考えるとやっぱり年の近い陽一兄と話す事が多くなるよ。」
村上てつや「そうだよな・・・。でも陽一がここまで心を閉ざしてしまうなんてきっと何か理由があるはずだしな・・・。陽一が小せぇときはこんなことなかったし・・・何かあったんだと思うんだけど見当もつかねぇし・・・・」
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