-ゴスドラマ過去ログ:18201-18300-
ト書き「そう呟きながら、酒井は黒沢の背中越しに、床に転がっていた指輪の一つを手渡す。それを受け取って黒沢は、日焼け跡の残る指に嵌めた。」
村上てつや「(「頭が…子供のとき…」…どういうことだ…?北山と優は…)」
ト書き「北山のさっきの一言が気にかかるのか、難しい表情で考え込んでいる村上。黒沢がその顔を覗き込んでも、何の反応もない。」
黒沢カオル「村上?どうしたんだよ・・・(村上の肩にぽんっと手をおく)」
村上てつや「あっ!ゴメン。・・・なぁ黒沢、お前今回復術使ったのか?」
黒沢カオル「さぁ・・・?・・・でも、酒井がそう言ってるんならそうなんじゃない?無意識のうちに使ってたのかも・・・・・。」
村上てつや「そうか・・・。(あの時、黒沢の片手を優が握っていた。もしかしたら、回復術を使ったのは黒沢じゃなくて・・・・・・)」
安岡優「黒沢さん、酒井さん。僕の頭変だっ………。北山さんの子供の記憶が…僕の中に……。(2人に助けを求める安岡)」
ト書き「安岡の異変に、村上の安岡に対する疑問がかき消されてしまう。」
酒井雄二「(頭を抱え込む安岡に)ちょっと手をどけてください!!村上さん、黒沢さん!優君の両手を握ってくださいっっ!!!」
黒沢カオル「もしかして記憶に介入するの!?大丈夫なの、酒井。この技危険なんだろ?」
酒井雄二「危険です。危険ですけど・・・・・優君を助ける方法はこれしか・・・」
黒沢カオル「分かった・・・。(安岡の手を握って)じゃあ・・・始めよう!」
村上てつや「おう。」
北山陽一「ゆ、優・・・」
ト書き「術の最中に北山も安岡の肩を掴む」
酒井雄二「きっ北山さん!?だめです!そんな体で入ったら……うわっ!?記憶の渦に引き込まれる!?どうしてこんな急激にっ!うわ〜〜っっっ!!!!」
ト書き「もの凄い早さで5人が記憶の渦に引き込まれていく」
村上てつや「すっげ〜!!安岡の頭の中ウニだらけじゃねぇか(笑)」
黒沢カオル「(右側を指差し)こっちはサッカーだよ。」
ナレーション「こらこら!そこぉ!脱線しないように。村上君サッカー観賞してると置いて行きますよ!」
村上てつや「あいむそぉ〜りぃ〜^^;」
酒井雄二「皆さ〜ん、いますかぁ?黒沢さんいますね。村上さんも。北山さん?北山さんっどこ行くんですか!?」
北山陽一「ちょっとそこまで。(^^)」
酒井雄二「ちょっとそこまでじゃありませんよ。優くんは、あなたの子供の頃の記憶が流れ込んできてるって言ってたんですから。」
村上てつや「「でも何でこんなことが・・・」」
酒井雄二「とにかく、今は行くしかありませんよ。」
ト書き「酒井はそう言うと、すたすたと行ってしまった。よそ見をしていた他のメンバーも、酒井の後に続く。」
黒沢カオル「あぁっ!待ってよ酒井〜!」
村上てつや「(歩きながら酒井に)・・・その・・・何?‘子供の頃の記憶’が流れ込む・・・って、どのあたりなわけ?」
酒井雄二「正確には”子供の頃の嫌な記憶”とでもいいましょうか。まあ・・・トラウマとでも。・・・前回は5,6歳のあたりでしたね。確か・・・周りの色が黒くなっていたところ・・・・」
北山陽一「あ・・・あそこ見てください・・・」
村上てつや「なんだよ、北山?」
北山陽一「子供が・・・・子供がいます・・・。」
黒沢カオル「あっ、ほんとだ・・・酒井、あの子って…」
酒井雄二「はい。・・・・ここは、優くんに流れ込んだ記憶の中。流れ込んだ記憶は北山さんが子供の頃のもの・・・・・・あそこにいる子供はあなたですよ、北山さん。」
北山陽一「えっ?…俺ですか。」
黒沢カオル「何してるんだろう??」
村上てつや「声、掛けちゃだめ?」
酒井雄二「ダメに決まってるじゃないですか!!(怒)」
黒沢カオル「なんで?」
村上てつや「なんで??」
酒井雄二「ここは記憶の中なんですよ!記憶をいじるという事は、今の北山さんを壊してしまう事にも繋がってしまうんです!!・・・・・というか、記憶の中なので、触る事も話しかける事も出来ませんけどね。一種の映像みたいなものですから。」
黒沢カオル「な〜んだ・・・・よかったぁ・・・・・・(安心)。・・・そういえばそうだよね。記憶操作と同じような事になるんだから・・・・・。(反省)」
村上てつや「危ねぇ危ねぇ。(ボソッと)・・・・酒井はあー言ってるけど、もし何かのはずみで出来ちまったらやべぇなぁ・・・・・・ちゃんと気を付けてよ・・・・。」
酒井雄二「・・・・・さて、北山さん。優くんに流れ込んだこの記憶は、いつぐらいのものですか?・・・あの雰囲気から察するに、小学校低学年ぐらいだと思いますけど・・・・。」
北山陽一「実は・・・・僕にもわからないんです・・・・・。」
村上てつや「なんでぇ?あれお前だろ!?」
黒沢カオル「しかたないよ。彼には記憶ないんだから………。」
安岡優「(陽炎のように安岡登場)そうだよ!記憶がないから聞かれてもわからないものは分からないよ!」
村上てつや「うわっ!なんでお前がここにいんだよ!」
酒井雄二「記憶を思い出す時、それを引き出すのは誰です?それを考えるその人自身でしょう。…まぁ、覗かれてる人間がやれるかどうかってのは疑問ですが。幾らでも詭弁を振るおうと思えばやれますしね…」
安岡優「ふ〜ん。そうなんだ。(村上に答えたのに、なぜか安岡がうなずく)」
村上てつや「なんでお前が答えんだよ!」
酒井雄二「あ〜!そこ!!いがみ合わないの!!ったく・・・さてここからですよ。これから起こることが大事なんでしょうから。」
村上てつや「これ以上大事なことがまだあるのかよ。」
北山陽一「・・・」
ナレーション「とその時、記憶の中の北山の近くに、同じ年齢くらいの子供が数人現れる。」
一般人(男)「(子供)僕のお母さんが言ってたぞ。お前が来てからここら辺ではおかしな事ばっかり起こるって。」
北山陽一「(子供の北山)そ、そんな事・・・・・・・・」
一般人(男)「(別の子供)お前、幽霊が見えるんだろ?お前が悪い幽霊を連れてきたんだ。(北山を押し倒す)」
北山陽一「(現在の北山)……この光景って今の僕が見るとすごく腹が立ちますよね。」
酒井雄二「まぁ確かに・・・・。どうですか?この記憶の事について。何か憶えや、優君に流れ込んだ理由・思い当たるふしとか?」
北山陽一「・・・微妙にあります・・・・。」
一般人(男)「()」
酒井雄二「教えてください。」
北山陽一「あのガキ共にイロイロされました。倉庫に閉じ込められたり、半・火あぶりの刑にされたり…」
村上てつや「うお・・・・っ・・・ひでぇなあそりゃ。(それを語ってる北山の眼もどこか憎しみに満ちてるしな・・・)で?そっから安岡とどうつながってくんだ・・・・?(あ、いつの間にか子供の頃の場面が変わってる)」
黒沢カオル「おい、あそこにいるの優くんじゃないの?(向こうのほうを指差す)」
村上てつや「おい、泣いてるぞ!」
安岡優「なんで僕泣いてるの!?」
酒井雄二「どうしたの??」
北山陽一「あれ・・・?僕もいる・・・・・・。」
酒井雄二「さっきの記憶で、北山さんをいじめてた子供達もいますよ。」
北山陽一「あっ・・・・なんか憶えあるかも・・・・・・・・」
酒井雄二「えっ・・・・覚えてる限りのことでいいので言ってくれますか・・・・?」
北山陽一「・・・・あのガキ共にいじめられてた記憶の中に、名前も知らない男の子がいるんです。その子とどこでどう出会ったかは憶えてませんけど・・・・・・。」
ト書き「北山は一呼吸置き、「その子といた時、ちょうどこんな感じの事があったんですよ・・・・。」と悲しそうに言った。」
北山陽一「まだ、引っ越してきて1ヶ月とならないのに僕はあいつらにいじめられたりしてたんです。で、いつからかその子が僕がいじめられてるのを遠くから眺めてて・・・」
酒井雄二「なるほど・・・。もしかしたらその名前も知らない子供は、優君だったのかもしれませんな。・・・・・絶対そうだとは言えませんけど。」
黒沢カオル「こういう記憶の映像は、知ってる物や人で補われたりするからね。・・・・・名前も知らないその子が優君に置き換えられてるのか、それとも本当に優君だったのか。・・・そこに何かがありそうだね。」
安岡優「どうなのかな・・・大切なことっぽいけど・・・」
酒井雄二「優君自身は憶えないんですか?」
安岡優「全くないんだ・・・思い出そうとしてもだめで・・・」
村上てつや「おめぇ、本当に考えてるか?覚えていないじゃなく思い出したくないんじゃねぇのか!?」
黒沢カオル「(安岡の肩を掴んで揺さぶる村上)まま、おさえて!(村上を引き剥がす)どうしたの、村上。お前記憶介入前からおかしいよ。何か疑問があるんじゃない?」
村上てつや「なっなんだよ。なっ、何でそう思うわけ??」
酒井雄二「明らかに動揺してますね。」
村上てつや「あー、いや、うー。あ゛ーもうわかったよ!!北山回復させたの黒沢じゃなく手ぇ握ってた安岡じゃねぇのかとおもってな。」
安岡優「えぇ!?僕ぅ〜!?」
黒沢カオル「………村上が言ってることは正しいかもしれない。だって俺回復術使った覚えなかったし。酒井が言ったから『そうかぁ、使ったのか』と勝手に思い込んでた。………酒井はどうだと思う?」
酒井雄二「そうですなぁ・・・・・私もそうだと思います。」
村上てつや「ついでにも1つ言うと、北山と安岡は兄弟じゃねぇのかとも思ってたんだよ!!」
ト書き「「ありえねぇだろ?笑いたきゃ笑え」と言わんばかりに怒鳴る村上。」
酒井雄二「いや・・・・・その可能性は否定しきれないと思いますよ・・・・」
安岡優「えっ!!僕と北山さんが…兄弟?」
酒井雄二「絶対とは言えませんがね。やっぱり北山さんの記憶がカギですね。」
北山陽一「僕の記憶が・・・・・・・・・」
黒沢カオル「そして優君。君も恐れず出来るだけ思い出すようにして。」
安岡優「僕、過去のなにかに怯えてるのかなぁ。何があったんだろう。(考え込む。小声で)ウニ食べ過ぎても恐怖にはならないし。ウニにジェット噴射がついてても怖くないし………(ウニしか出てこない安岡)」
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