-ゴスドラマ過去ログ:7101-7200- |
村上てつや「お嬢っ、まだ起きるなっ。」 ト書き「北山が酒井の腕を離して制止に走った。」 北山陽一「まだ、寝てて下さい。」 安岡優「北山先生…。」 ト書き「弱くない力で、北山は安岡をベッドに寝かせる。」 効果音「べち。」 村上てつや「あーあ…床に…。」 酒井雄二「……ん?…痛て〜〜……なにコレ。」 ト書き「床に倒れた痛みで、酒井の意識はやや明瞭になった。」 村上てつや「起きたんなら手っ取り早い、おい仮眠室行くぞ。」 酒井雄二「……?………あい。」 ト書き「やはりまだ目が冷め切っていないのか、用事言語で返事を返す酒井。」 安岡優「雄二お兄ちゃん、大丈夫?」 酒井雄二「すいへーおっけぇ〜……むぅ……」 ト書き「半ば引き摺られるように酒井は無菌室を出て行った。」 安岡優「お兄ちゃん…。」 北山陽一「安静にして、寝てないと駄目です。」 安岡優「でも、お兄ちゃんが…。」 北山陽一「大丈夫、寝たら元気になるさ。」 ト書き「そう言って、点滴の調節をする北山。」 安岡優「ホントに?」 北山陽一「俺は今まで君に嘘を付いた事あったかい?」 安岡優「……ううん、無い。」 北山陽一「優のお兄ちゃんは大丈夫だよ。だから優もちゃんと元気にならなきゃ駄目だぞ?」 安岡優「うん。」 北山陽一「この薬、ちょっと眠くなるから…。」 ト書き「安岡は既に瞼を閉じかけている。」 北山陽一「…おやすみ。」 ト書き「呼吸器の位置を直しながら、北山はそう言った。」 北山陽一「でも、本当に俺間違った事言ってないよなー…寝不足なんだし。」 ト書き「ドアに手をかけ、ぽつりと呟いてみる。」 北山陽一「あ。」 黒沢カオル「すぅ……すぅ……。」 北山陽一「…むらかみさーん…もう一人そっちに連行します。」 村上てつや「ぁあ?」 北山陽一「…あんたが寝てどうすんですか。」 村上てつや「寝てねーよ、…んじゃ、こっちのベッドに寝かせるか。」 ト書き「病室にあるようなものではなく、簡易ベッドに二人は寝かされた。」 北山陽一「あー…疲れた。」 村上てつや「お前も寝るか?」 北山陽一「いや……疲れているけれど目は冴えてるんで、いいです。」 村上てつや「あー、どろどろに疲れてるんだけど、妙に精神が昂ってるんだろ。」 北山陽一「えー…まあ。交代の方何時でしたっけ?」 村上てつや「あと2時間と30分丁度。」 ト書き「手巻きの腕時計を見て、村上は答えた。」 北山陽一「十分持ちますね。……コーヒーもういっぱいどうですか?」 村上てつや「グゥグゥ・・・・。」 北山陽一「……やっぱり寝てる……ま、お疲れだから仕方ないか。」 ト書き「私もお疲れなので、ちょっと仮眠を・・・。」 北山陽一「違うヒトと交代してきなよ、俺ら君が居ないと自分で説明しなきゃなんないし。」 ト書き「そうですか…。<ト書きの身体が一瞬消えて、再び現れた。」 北山陽一「あー…あと6日、6日なんだ…。」 ト書き「眼鏡を外して、北山は呟く。」 北山陽一「絶対に死なせないからな…。」 ト書き「眼鏡を外した北山の目に力が入る。」 北山陽一「……優……」 ト書き「《眠る安岡の深窓意識『夢』内》」 北山陽一「優ちゃん。」 村上てつや「お嬢?」 ト書き「暗い空間の中、安岡の前に二人が現れる。」 安岡優「北山先生っ、村上先生っ。」 ト書き「安岡が声をかけると、二人は安岡に背中を向けて歩き出した。」 安岡優「二人とも、待ってよぉっ!」 ト書き「二人はただ歩いているだけなのに、安岡は全く追いつけない。」 安岡優「……なんで?」 ト書き「村上と北山の姿が見えなくなると、今度は黒沢と酒井が現れた。」 酒井雄二「…優、ちゃん?」 黒沢カオル「優。」 安岡優「カオルっ、雄二お兄ちゃんっ。」 ト書き「安岡が駆け寄ろうとすると、やはり二人も背を向けて歩き出してしまう。」 安岡優「や、だ……みんな、置いていかないでよぉっ……」 ト書き「必死になって安岡は4人を追い掛ける。」 村上てつや「さよならだ、お嬢。」 北山陽一「サヨナラ…優ちゃん。」 酒井雄二「ばいばい。」 黒沢カオル「さようなら」 ト書き「口元に笑みを浮べ、4人は安岡にそう言い放った。」 安岡優「みん…な、どこ行くの?さよならって……」 ト書き「しかし、4人は振り向きもしない。」 安岡優「なん…で?」 ト書き「安岡の双氓から涙が零れた。」 安岡優「や、だぁっ……」 ト書き「ぼんやりと見えていた4人の影が、見えなくなってしまう。」 安岡優「ボクの事置いてかないで…一人にしないで…お願いだから。」 ト書き「と――そこで、目が覚めた。」 安岡優「えっ・・・。あれ?夢?」 ト書き「冷たいものが、こめかみを伝って耳へ向かう。」 効果音「つっー・・ポタ。」 安岡優「ひゃっ・・・!」 ト書き「慌てて、安岡はそれを拭った。」 安岡優「こっちでも泣いてたんだ。」 ト書き「冷静に、安岡は判断した。」 安岡優「子供じゃないんだから……って言っても今は子供か。しかも女の子だし。」 ト書き「自由な方の手で、前髪をちょっと弄りつつ呟いてみる。」 北山陽一「……目、覚めた?」 ト書き「北山が心配そうな顔をして覗き込む。」 北山陽一「どこか、痛い?」 安岡優「ううん、大丈夫。」 ト書き「優は流れた涙の跡を隠すように首を振った。」 北山陽一「(笑顔で)そう。よかった」 |
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