-ゴスドラマ過去ログ:29601-29700-
北山陽一「(部屋のベッドに座って)はぁ〜・・・・。」
ト書き「留学は、自分にとって願ってもない事。しかも向こうは自分を必要としている。しかし、親から頼まれた下宿をやめてまで行く気にはどうしてもなれないし、弟達も心配・・・・・考えのまとまらない陽一は、そのままベッドに横になり天井を見つめている。」
北山陽一「ホントに困ったなぁ・・・・・」
効果音「こんこん」
酒井雄二「・・・陽一、入ってもいいか?(心配だったので様子を見に来た)」
北山陽一「(何故、酒井さんが?)構いませんよ・・・・お入りください・・・・」
酒井雄二「(陽一の隣に座り何か言いたそうにしている)」
北山陽一「どうしたの、雄二?留学の事ならさっき言ったとおりだよ。」
酒井雄二「・・・・・ほんとにそれでいいのか・・・・?」
安岡優「入るよ〜」
北山陽一「優も来たんだね・・・まぁ、入りなよ。」
安岡優「うん、お邪魔します。・・・・・もしかして、本当にお邪魔だったかな?」
北山陽一「別に大丈夫。・・・まぁ、一人になりたいって気持ちは無きにしも非ずだけど・・・てつと薫さえ来なければ・・・・。」
安岡優「(陽一の一言を聞いて)だそうで〜す。二人とも下行って〜」
村上てつや「(部屋に入るのも・・・と思ったので、こっそり盗み聞きしようとしていた) うわっ・・・バレてるし・・・・・行くぞ、薫。俺等はいない方がいいみたいだ。ここはあの2人に任せよう。」
黒沢カオル「なんかさ・・・なんか俺達すっごい邪魔者みたいだよね・・・・」
安岡優「話が進まないでしょ!早く下に行きなさい!わかったぁ?!」
村上てつや「わ〜ったって!ほら薫、夕飯の準備しろ。俺も出来る限り手伝ってやるから。(と言いながら黒沢を下に引っ張っていく)」
黒沢カオル「(てつやの腕を振り切って2階に上がっていく)お兄ちゃん!!留学してよ!!ここの事は僕達がダメなら「休止」だっていい!ちゃんと掃除とかしておけば大丈夫だし、そんなの言い訳にしないでよ!!僕達が心配だからなんていわないでよ!!」
北山陽一「…弟の卒業式くらい、出たいんだって。俺の勝手な気持ちだけどさ。…誰にも見てもらえないで卒業するのって、俺は辛かったから。…」
黒沢カオル「お兄ちゃん・・・・・。(涙を浮かべる)」
村上てつや「ばっかじゃねぇの?結局俺達の事理由にしてんじゃん。」
北山陽一「(だって……)これは俺が決めた事なんだ。」
村上てつや「正直うざいんだよ」
黒沢カオル「てつぅ、それはひどいんじゃないのぉ?お兄ちゃんだっていろいろと…」
村上てつや「何が色々だよ、最初は2人が心配だから、ここを続けたいから。じゃあ俺達がこうすればいいって言ったら今度は「卒業式に出たいから」だ?冗談じゃねぇよ」
北山陽一「……もう、良い。どう言ったって。揚げ足取られて、そんなに言われるなら沢山だ。行かないのは俺の意志だ。お前らの責任じゃない。『あの時行ってればなぁ』なんて、お前らの所為にするとでも思ってるかもしれないけど。今回は本当に乗り気じゃないんだ。……これで良いか?」
黒沢カオル「(むぅ)「行きたいけど・・・でも、2人が・・・」とか言ってて、結局それなの?お兄ちゃんすっごいかっちょわるいぃ。」
北山陽一「別に?格好良いも格好悪いも関係ないだろ。そんなの今必要じゃない。邪魔だ、行けよ(顎で階下を指す)」
ト書き「射るような視線で、二人を交互に見る北山。…それを見ていた安岡も、出て行く機会を失う。」
北山陽一「・・(溜め息)・・俺が出て行けば良いんだな。お互い、不愉快にならなくても済むし(着替えと教科書と通帳・印鑑をバッグに詰め込みさっさと部屋を出ていく)」
酒井雄二「おい、ちょっと待てって!」
黒沢カオル「いいもん!出てっていいもん!!(ぷっくーーーーーーー)」
酒井雄二「何が揚げ足取りだよ。自分がコロコロ意見変えたくせによーたくやってらんね、兄貴の好きにすればいいさ、おい薫、メシつくっぞ。」
村上てつや「↑俺」
黒沢カオル「出て行ったら結局一緒じゃんね。いい、もう御飯作る!」
酒井雄二「あ〜もう!!優、俺は陽一を追いかける。2人の事頼んだぞ。(それだけ言って陽一の後を追う)」
安岡優「うん、わかった。(見送る)・・・・ねぇ、二人ともさっき陽一に言ったこと、本心じゃないんでしょ?」
村上てつや「・・・腹立つんだよ・・・・俺等に遠慮して自分の事諦めてる兄貴がさ・・・・・今まで俺等のために嫌ってほど断念してきたんだから、もうそろそろ俺らの事関係なくやってもらいたいんだって・・・。」
黒沢カオル「でもお兄ちゃんのいってたことわかるかも。お兄ちゃんほんとに出ていちゃった・・・ぐすん」
安岡優「陽一の場合は『遠慮』と言うより『心配』だね。二人が見た目も中身もふらふらしてるから留学も出来ないんだよね。・・・・二人が「兄貴がいなくてもやっていける!」ってアピールすれば留学する決心も出来ると思うけど・・・ま、今の二人じゃ無理か・・クスクス(挑発する優)」
村上てつや「本気で言ってる?まぁそれならそれでかまわないけど?」
黒沢カオル「何てつすねてるの?図星だったの?(自分も含まれている事が分かっていない)」
村上てつや「あほ、そうじゃねー(脱力)まぁいいや、うら、仕度すっぞ、夕飯の。」
黒沢カオル「は〜い。(陽一兄ちゃん、早く帰ってきて・・・)」
ト書き「その頃家を出てった陽一は、近くの川原に腰を下ろしていた。ぼんやり空や川を眺める陽一の後ろから、雄二がそっと近付く。」
北山陽一「はあ・・・・。ん?雄二・・・。」
酒井雄二「どうも。」
北山陽一「・・・俺・・・俺さ・・・ずっと頼れる兄貴でいたいんだよな・・・」
酒井雄二「(隣に立つ)意見がころころ変わる、なんて言われたってねぇ。ずーっと見続けてる人には悪いんだけど。見てない人が何か言う時は判らないまま発言するんであって自分の状況を基本にされると困るよなー。独り言終了。 まぁ、『頼れる兄貴』が如何様なものか判りませんからねぇ、俺は。実兄とは歳が離れてますし。」
北山陽一「わかってるんだ・・・あの2人はもう俺に見せてる部分だけじゃない、大人の部分があるって事も。心配だけど、下宿を一旦休止とかすれば、離れたって2人でなんとかできるだろうってことも・・・でも、でもそれは嫌なんだよ・・・・」
酒井雄二「親と子供の関係にちょっと似た部分はありますな。…親から見れば子供は一生子供だし。兄から見たら弟は一生弟ですしね。」
北山陽一「いつまでもさ・・・頼りない、俺に迷惑ばっかりかける弟達のままでいて欲しいんだよ・・・(ぐずっ)」
酒井雄二「・・・陽一・・・・。はい、ハンカチ・・・。涙拭けよ・・・・。」
北山陽一「ありがと・・・・(涙を拭いてからずびーーと鼻をかむ(笑))」
酒井雄二「・・・・・(涙)」
北山陽一「(もう泣き出したら止まらない)」
酒井雄二「たく・・・ま、好きなだけ泣きなされ(笑)しかし、俺の独り言も今言う事じゃなかったな(笑)ドラマの中の話し、誰かが被害者というわけではあるまいに(笑)」
黒沢カオル「(もうそろそろいいかなぁ?)てつー迎えいってきてぇ?」
村上てつや「あ〜わかった。」
黒沢カオル「気を付けてねー?」
村上てつや「お前じゃねぇから大丈夫だよ。んじゃあな。」
北山陽一「さて、帰ろっか、雄二。」
酒井雄二「熱くなるのに長い癖に、冷めるのは早いですな。一発泣いたらすっきりしましたか。」
北山陽一「うんまぁね?そのうちてつがむかえにくるだろうし、いつもそんなもんだから。あっ、荷物持って?(1人でてくてく歩いて行っちゃう)」
村上てつや「おい、迎えにきてやったぞ。・・・・ったく、世話の焼ける兄弟(陽一&薫)もつと苦労するぜ。(とか何とか言いながらも、ちょっと嬉しかったりもする)」
北山陽一「ありがとね…てつ…」
酒井雄二「よかった・・・。仲直りして。」
村上てつや「行くぞ。」
北山陽一「え?どこに?(薫並みのボケっっぷり)」
村上てつや「おい、涙と一緒に知能まで流しちまったのか?」
北山陽一「冗談だよ、冗談。俺は薫ほど天然じゃないって。・・・さぁ、早く帰ろう。噂の薫が夕飯の準備して待ってるんだろ?」
酒井雄二「そうでした、そうでした!早く帰って薫くんの手作りの夕飯を食べましょう!」
村上てつや「腹の虫が鳴いてるぞ〜(酒井のお腹を見てニヤリ)」
酒井雄二「う…ウルサイ!!(叫)そういうてつくんだって鳴いてるじゃないか!!」
北山陽一「ほら、てつも雄二もけんかしないで行くよ?」
ゴスペラーズ「(酒・村) おう!」
ナレーション「そして3人は日が暮れかかった中を我が家に向かって歩き出した。」
酒井雄二「♪つよーくなれてたぁといいきーかせて、よーわさのぶんをなみだーにするぅ♪(口づさむ)」
村上てつや「へぇ〜。雄二、はじめて聞いたけど歌うまいじゃん。」
酒井雄二「どうも(*^^*)」
村上てつや「・・・・・お前が照れても可愛くねー・・あっ、兄貴ぃ、俺たこ焼き食いたい。」
北山陽一「俺じゃなくて、薫に言いなさい。」
村上てつや「買ってよ。」
北山陽一「それぐらい自分で買え。・・・それとも何か?やっぱり俺がいないとダメなのか?ん?」
村上てつや「いなくなったら薫に言うから、いる間は買ってよ。」
北山陽一「…俺は財布か。……しょうがない、鯛焼きなら買っても良いよ」
村上てつや「鯛焼きかぁ。まぁいいや!兄貴、サンキュ〜♪(屋台へ走っていく)」
北山陽一「雄二も一緒に選んでくる?お土産で皆の分買って行く事になりそうだし。」
酒井雄二「そうするか。・・・なんだかんだ言って、てつも陽一に甘えてるよな。(苦笑)いい兄貴だよ、お前は。」
北山陽一「サンキュ。」
ナレーション「その頃薫は・・・みんなの帰りが遅いので怒っていた。」
黒沢カオル「むぅ〜!!」
効果音「バリ〜ンっっ!!」
ト書き「業者に頼んだものの、いまだ張り替えられていなかった割れたガラスにマグを投げ付け、粉砕してしまった。」
安岡優「ちょ、ちょっと薫君!!ダメじゃん、そんな事しちゃ!」
黒沢カオル「だって!夕飯作ったのに皆帰ってこないんだもん!」
北山陽一「か、薫!!」
黒沢カオル「遅いわぼけぇ〜!!どこまで行ってたんだよ〜!御飯冷めちゃうじゃんじゃんじゃん!!(じたばた)」
北山陽一「あー!もう分かったからッ!少し落ち着きなさいッ!!」
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