-ゴスドラマ過去ログ:8301-8400-
北山陽一「こんにちわ……待ち合わせ、してるんですか?」
酒井雄二「ええ…まぁ。」
北山陽一「俺も『待ち合わせ』してるんですけど、相手が来なくて…。」
酒井雄二「はぁ……待ち合わせしてるのは女性の方ですか?」
北山陽一「いや、判らないんですよ。それが。」
酒井雄二「…判らない?」
ト書き「疑問を含んだ響きで酒井が言ったとき、遠くから二人の人影が噴水へ向かってきました」
ナレーション「なんでこのト書き丁寧口調なのかしら……。」
佐々木真理「どうも、お待たせしまして…。」
平見文生「こんにちわ。」
ト書き「酒井と北山の二人に喋ったため、どちらにどう対応して良いか判らず無言のまま現れた二人を観察している。」
平見文生「酒井雄二…さんですよね?」
佐々木真理「北山陽一さん…で宜しいですか?」
酒井雄二「はい。」
北山陽一「…ええ、と?もしかして依頼人の方です…か?」
ト書き「平見氏と佐々木女史は同時に頷いた。」
佐々木真理「『依頼』…の御説明にあがりました。」
北山陽一「ああ、それでは……。」
酒井雄二「なに?君も同業者な訳?」
北山陽一「貴方の職種が判らないんで頷けませんけど、同じ系統なんでしょう。」
ト書き「北山が、佐々木女史と平見氏を見て続きをどうぞ、と促した。」
佐々木真理「え〜……とある人物を護衛兼移動して頂きたいんです。」
平見文生「そう。」
酒井雄二「あの、別々の人間を護衛するんですか?」
佐々木真理「一人、ですよ。」
北山陽一「本来頼むべき人員は一人なのに連絡が取れなくて、各々頼んで二人になった……って事じゃないんですよね?」
平見文生「うん、それは大丈夫。」
酒井雄二「で?仕事は何時からになるんですか?」
ト書き「真理さんと平見さんは二人同時に言った。」
平見文生「今日からです。」
佐々木真理「今からです。」
酒井雄二「今日からですか…。」
北山陽一「今からですか…。」
ナレーション「酒井と北山はリピートをした。」
平見文生「早速なんですが・・・」
ト書き「真理さんが、公園の入り口へと消えて、一人の青年を連れて来る。」
佐々木真理「お金はこちらのカードでお願いします。」
ト書き「目深に帽子をかぶり、ぶかぶかの服を着せられている人物の横で二人にカードが手渡された。」
酒井雄二「目的地は…?」
平見文生「全部、『彼』が知ってます。追々聞いて下さい。」
佐々木真理「では、これで。」
ト書き「二人はそう言い、公園から出ていった。」
北山陽一「……とりあえず自己紹介しますか?聴こえたと思いますけど、北山陽一っていいます。」
酒井雄二「俺は酒井雄二。 でっ、君は??!」
黒沢カオル「……カオル。」
ト書き「小さく、細い声が答えた。」
北山陽一「カオルだね…。よろしく。」
ト書き「カオルは”こくん”と頷いた」
酒井雄二「よろしく、カオル君。早速だけど…どこに行こうか?」
黒沢カオル「え…?」
北山陽一「知ってるんだよね?目的地…」
黒沢カオル「う…ぅん。」
ト書き「俯いてしまった黒沢に、酒井と北山は顔を見合わせた。」
酒井雄二「よし、まずは飯を喰おうっ!」
北山陽一「はい?」
黒沢カオル「な・・・?」
酒井雄二「和食?洋食?中華?何喰いたい?それによって店をチョイスするけど。」
黒沢カオル「・・・えすにっく。」
酒井雄二「あ〜あ。それならあそこがいいなっ。」
ト書き「そういうと、酒井は公園の出入り口へ向かった。」
北山陽一「ねぇ…・・・俺は構わないんだけど、丁度お腹減ってたし。カオル君は大丈夫?」
黒沢カオル「大丈夫って…どうして?」
北山陽一「俺の知ってるエスニック屋に行くんだとしたら…胃袋の心配したほうが良いかも。」
黒沢カオル「え……」
酒井雄二「んんん〜?な〜にをだべっているのかね〜?」
北山陽一「いや、これから食事をするにあたっての心がけというか、ね。」
黒沢カオル「…久々だなぁ、他人の作る御飯食べるの。」
北山陽一「結構外食とかしない御家庭なんですね…。」
黒沢カオル「うん…。」
ト書き「頭を縦に振って頷く黒沢に、北山はやや苦笑する。」
北山陽一「(手強いなぁ……。」
黒沢カオル「…俺の為に人が死ぬのは見たくなかったから…。」
北山陽一「え?」
酒井雄二「なに?どしたいっ。」
ト書き「先を歩いていた酒井が、二人の元へ戻ってきた。」
黒沢カオル「…毒味役の人がね、倒れて…もうそういうの見たくなかったから、自分の分は自分で作ってたんだ。」
北山陽一「はぁ〜……なる、ほど」
酒井雄二「んじゃあ一杯食べないとなっ、お腹一杯になったら少なくとも悲しくはならないんじゃない?」
北山陽一「他人の金・・・ですしねぇ。」
酒井雄二「は?どういう意味だ?」
北山陽一「いや、依頼主の方から、結構貰ってるんですよ。」
ト書き「カードの他に、手数料として現金を受け取っていた北山。」
酒井雄二「別に、そんな高いトコじゃないから良いけどさ…何で北山だけ…。」
北山陽一「さぁ?で、どこの料理店へ行くんです?」
酒井雄二「この近く、あんま歩く心配はしなくてOKっすよ?」
北山陽一「……そこの料理って、量多くないですか?」
酒井雄二「お腹一杯にはなるねぇ。」
北山陽一「カオル君にはちょっとキツイんじゃないですか?」
酒井雄二「大丈夫でしょお、男の子は一杯喰って一杯寝て、おおーきく育つっ!」
黒沢カオル「あ、あの・・・。僕・・・。」
酒井雄二「ん、何かね?」
黒沢カオル「あの…・・・その・・・。」
北山陽一「あれ…珍しく今日は混んでるんですね、あの店。」
ト書き「自分の手を握って筒状にし、それを覗きながら北山は言った。」
酒井雄二「嘘っ?ごめん、先行って席取りしてくるっ。」
ト書き「そう言って、酒井が駆け出すのを見送り、北山は」
北山陽一「すいません、一つカオル君に尋ねたいんですが。」
ト書き「そう言って黒沢に視線を合わせた。」
北山陽一「女の子なのにどうして男の子の格好してるの?…君の中での流行り?」
ト書き「やや、被っていた帽子を持ち上げ黒沢は北山を見ます。」
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