-ゴスドラマ過去ログ:8801-8900-
黒沢カオル「うん!それでも・・うれしいな。」
酒井雄二「なんか君ら『ラブラブファイヤー」
ト書き「っぽいな、等と酒井は呟いた。」
酒井雄二「そういやあ、お台場って言えば、あれだよなあ。」
北山陽一「はい?」
黒沢カオル「そうです!あれです!多分そこに行けばどうにかなると思うんです。」
北山陽一「なんか、いきなり『どーもくん』口調だね、カオル君。」
黒沢カオル「はは・・・どーもくんて・・・。それより早く行かなくちゃ!この車もっとスピード出ないんですか!」
北山陽一「……結構無茶言うね……(苦笑)」
酒井雄二「空でも飛べなきゃ無理だね。ちょっとばかり渋滞してきてるし。」
ト書き「胸元からガムを取り出して、酒井は包装紙を剥がした。」
酒井雄二「食べる?『歯磨きがむ』。」
黒沢カオル「はい。食べます。すみません。・・・空か・・・思いつかなかったな・・・空を飛んでいきましょう!」
酒井雄二「…カオル君…無理だって…。」
ナレーション「いっぽう、お台場のアジトの、村上と安岡は…」
安岡優「ぁあ゛ー!!なんかもう、イライラしてきたぁ。」
村上てつや「ビール、ビールっと…あった!」
安岡優「てっちゃん!僕がやってるんだから手伝うとかしてよぉ。」
村上てつや「だって、見つかんねぇーんだぜ。大体さ奴等ナンナンダヨ!?」
安岡優「軍人、かな…『元』が付くけど。」
ト書き「一枚のA4紙を取り出して、安岡は言った。」
村上てつや「軍人?」
安岡優「うん、サカイユージの方はね少人数の部隊に居たみたいでさ。」
村上てつや「兵器とか持ってねぇーだろうなぁ??」
安岡優「たぶんね…キタヤマヨーイチの方は、軍医だったみたいだよぉ。」
村上てつや「ん〜ん、そうかぁ。他にはなんかねぇーのか?」
安岡優「色々当たってるけど…全然。情報少なくてさぁ。」
村上てつや「ちっ。なにヤッテンダヨ…奴等、今何処だぁ?あてもねぇーしよ。」
安岡優「こう情報が少ないと下手に動けないからなぁ、こっちも。」
ト書き「安岡はまたパソコンに向かい、村上はビールを飲みながら外を眺めた。」
北山陽一「ひとつ聞きたいんですが…カオル君。」
黒沢カオル「はい。なんですか。」
北山陽一「あなたを追っている2人はの事、なにか知りませんか?」
黒沢カオル「いえ…只…」
酒井雄二「只??!」
黒沢カオル「2人は今までに何人の人を殺してます。僕の知っている限りでは…90%の確立でみんな…。」
酒井雄二「かなりのやり手ってわけ?」
北山陽一「少し気を引き締めなくてはいけませんね…。」
酒井雄二「10%は平気なんだろ?10%に入ろうぜ、俺等も。」
黒沢カオル「…その10%は…全部自殺とか事故とかで…。」
北山陽一「これは頭をかなり使わなくては…不可能と…。」
酒井雄二「弱気になるなって。こっちだってプロなんだぜ。こんなシチュエーションだって何度か経験ずみさ。はっはっは。」
北山陽一「はっはっはっ・・・ねぇ〜…。(本当にこの人適当だなぁ)」
ト書き「頬杖をついて、北山はとっくりと酒井を見た。」
黒沢カオル「以外ときれるんじゃないですか?」
酒井雄二「ん?何がだい?」
黒沢カオル「お二人とも。バスの時だって…あのまま乗ってたら先回りされて、捕まった可能性もありました。」
酒井雄二「いやぁ、旅費は少なくするに限るよ。」
ト書き「その言葉に、目を剥いて黒沢は酒井を見た。」
北山陽一「こういう小さい引っ掛けにかかると、相手は不機嫌になるか相当怒るかのどっちかですね。」
酒井雄二「だから良いんじゃないっすか……相手が冷静さ失ったらそれすなわち隙だらけ、その隙ついて逃飛行としゃれこむ訳さ。」
北山陽一「うわ〜…なんか昔そういう人居たなぁ……、どっかの部隊で。」
酒井雄二「ん・・・?部隊?もしかしてお前・・・」
北山陽一「さっき軍医の真似事してたって、言ったでしょう?」
酒井雄二「お前と・・・どっかで会った事あるかも、な。」
北山陽一「はぁ?なんか昔のナンパ手口みたいですね、それって。」
黒沢カオル「二人とも・・・この仕事やる前って何やってたの?」
酒井雄二「鉄砲持って、裏仕事。」
北山陽一「軍人さんの手当て。」
ト書き「二人の言葉を聴いて、黒沢は後部座席から前へと身を乗り出した。」
北山陽一「危ないですよ、本当に『10%』になっちゃうじゃないですか。」
黒沢カオル「二人とも…軍人さん?」
ト書き「期待と疑問を含ませて、黒沢は尋ねた。」
酒井雄二「軍人だったらこんなトコで運転手してないで筋トレに励んでますって。」
黒沢カオル「違うの?」
北山陽一「ようするに、上に『元』って付くんですよ。俺も…酒井さんも、ですか。」
ト書き「酒井は無言で頷いた。」
黒沢カオル「でも・・・ホントに、初めてこんな・・・。」
ト書き「酒井は腕時計を確認すると、やにわに鞄を引き寄せた。」
北山陽一「なにか?」
酒井雄二「15時だよ、PM3:00っつーことは、お茶の時間じゃん。」
黒沢カオル「は?」
酒井雄二「俺の居た部隊はさ、3時になると隊員全員でお茶会するわけ。その癖がね、ま〜抜けない抜けない。」
北山陽一「お茶って……あ――――っ!」
ト書き「北山は大声を上げて、酒井の方を向く。」
酒井雄二「なに?結構俺の居たトコも有名なの?」
北山陽一「破天荒な規律が多いとか…給料を無駄に支払ってるとか…。」
ト書き「缶紅茶に手をかけていた酒井が、うんうんと頷いた。」
北山陽一「そうだったんだですかあ!?(どうも変わった人だと思った・・・)」
酒井雄二「意外だった?」
北山陽一「いや…(合ってるなぁ…と。)」
黒沢カオル「どうして軍隊から出たのぉ?カッコイイよ。」
ト書き「黒沢は2人の顔を覗き込み首を傾げた。」
酒井雄二「俺はどうも居場所がわからなくなったからだな、軍隊の。」
黒沢カオル「居場所?軍隊の中の?」
酒井雄二「そう。隊長まで行ったんだけどさぁ、先が見えなくなったというか…なんというか…。」
黒沢カオル「…北山さんは?どうして軍隊辞めちゃったの?」
北山陽一「疲れたからです…。」
ト書き「北山はそう言うと空を見上げた。」
北山陽一「医者になるのは夢でした。しかし違った…軍隊は。」
黒沢カオル「何が違ったの?お医者さんには変わりないでしょう。」
北山陽一「なんだろうね、俺も軍医としてのの居場所がわからなくなったからかな。」
酒井雄二「結構腕利きの医者だったんじゃないのぉ?」
北山陽一「身体の傷を治せても、精神の傷は癒せなかった…。」
ト書き「北山はコーヒーを飲みながら酒井と黒沢に笑いかけた。」
北山陽一「俺に軍医」
ト書き「そう言うと北山はコーヒーの缶を投げ捨てた。」
北山陽一「…向いてなかったんだな。 もう止めようこの話…。」
酒井雄二「おい、公衆道徳を知らないのか?」
ト書き「酒井が、缶の軌跡を眺めながら呟いた。」
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