-ゴスドラマ過去ログ:9001-9100-
安岡優「ったくぅ、てっちゃんはいつもそうなんだからぁ…。」
ト書き「安岡パソコンを見ながらボソッと呟く。」
村上てつや「ぁんっ??なんか言ったか?!」
安岡優「べぇ〜つにぃ」
ト書き「白々しく言う安岡。」
酒井雄二「…カオル…一体何もんなんだぁ?」
ト書き「酒井はふと後ろを振り向いた。」
酒井雄二「…普通の子ではなさそうだし…かと言ってそんなに凄そうにも見えないし…。何も言ってなかったからなぁ、依頼人の人は。」
ト書き「酒井はカバンの中から依頼人からあらかじめ渡されていた資料を出した。」
酒井雄二「…生まれたところも分らなけりゃ、狙われている理由も分らない。目的はなんなんだ?」
北山陽一「……悩んでますね……。」
酒井雄二「ぅぅぅぅうわわわわっっっっ!!ナンダよ急にっっ!」
北山陽一「…起きちゃいけないんですか…??!」
酒井雄二「そうじゃないけどよぉ、コワイじゃんやっぱり。」
北山陽一「もう深夜の3時ですかぁ…4時間寝ましたね。」
酒井雄二「もう良いのか?まだ寝てても良いぞ、俺は別に寂しくないし。」
北山陽一「あなたの寂しさなんて知りませんよ、もう大丈夫です。」
ト書き「きっぱりと」
ナレーション「北山は言い放った。」
酒井雄二「そんな、つれないなぁ…。」
ト書き「フロントガラスから見える風景を見ながら、酒井はふざけたように言った。」
酒井雄二「ん?」
北山陽一「どうしました……アサシン、ですか?」
酒井雄二「いや、ちょっとトイレ。」
北山陽一「・・・緊張感ないっすね・・・。」
ト書き「酒井は鞄を片手に、車から降りて闇の中へ消えてしまった。」
北山陽一「どうして、鞄も持っていったんだろ。」
ト書き「酒井は十分に車から離れると、鞄を足元へ置いて目を細めた。」
安岡優「…あっ!」
村上てつや「んー?どした?」
安岡優「てっちゃん…酒井雄二が、居たよ」
ト書き「安岡の言葉を聴いて、村上は急ブレーキを踏んだ」
村上てつや「何っ!?……おい、ヤス。」
安岡優「なに?」
村上てつや「こっから別れよう…」
ト書き「村上の口元がにやりと歪む。」
村上てつや「あいつ、潰す。」
安岡優「あ、ちょっとぉっ!?」
ト書き「村上は車から降りて、今来た道を戻り始めた。」
安岡優「ったくぅ…しょうがないなぁ…。」
ト書き「運転席に移動して、安岡が再び車を発進させた。」
村上てつや「こんばんわ。」
酒井雄二「…はい?」
ナレーション「自販機の横で酒井がとっくりと視線を上げて、話し掛けた人物を見た。」
酒井雄二「あっ、どうも、こんばんは。」
村上てつや「すいません、サカイユージさん、ですか?」
酒井雄二「……違いますよ、ムラカミテツヤさん?」
ト書き「その言葉を聞いて、反射的に村上は銃を取り出そうとする。」
酒井雄二「違うって、言ってるでしょ?」
ト書き「それよりも先に、酒井は隠し持っていた刃物を村上の口元へ差し込んだ。」
酒井雄二「一般市民に何しようとしてるんですか。」
村上てつや「(…『一般市民』がナイフ口ん中突っ込むかっつーの。」
酒井雄二「このまま力込めて突いたら、死ぬけど。御希望する?」
ト書き「村上は力を抜き、自然体をとる。」
酒井雄二「はい、どうも。」
村上てつや「…っかはぁっ。」
ト書き「口からナイフを抜くと、酒井は片手でそれを玩び始めた。」
酒井雄二「『サカイユージ』じゃなくて、『酒井雄二』ね?」
ナレーション「眉間にしわを寄せ、歪んだ笑いを浮かべた村上は言った。」
村上てつや「はぁ〜ん、君が酒井雄二ねぇ。」
酒井雄二「何かご用事ですか?」
村上てつや「今ナニやってんだ?!言ってみろよ。」
酒井雄二「ナニってねぇ、見ればわかるでしょう?!」
村上てつや「誰もお前の今の状態指してんじゃねぇーよ。」
酒井雄二「お前じゃなくて、酒井雄二です。さ・か・い・ゆ・う・じ!!」
村上てつや「てめぇっっ!(怒)」
ト書き「村上は酒井の胸ぐらを掴み睨みつけた。」
酒井雄二「まぁまぁ〜そんなに怒らないで。それよりなんですか?用件は?」
村上てつや「お嬢はドコだ?ドコに居んだよッ!」
ト書き「胸ぐらを掴みながら大きな声で村上は言った。」
酒井雄二「いきなり何なんですか失礼ですよ!人にモノを聞く態度じゃないでしょう。」
ト書き「酒井は村上をおもいっきり突き飛ばした。」
北山陽一「(酒井さん遅いなぁ…何やって…まさかっ!?)」
ト書き「北山は外の方を眺めた。」
ナレーション「目にしたのは酒井と村上が話している姿だった。」
酒井雄二「お嬢って…誰のことです?」
村上てつや「惚けんじゃねぇー!分ってんだろ!」
酒井雄二「はい?」
村上てつや「お前らが守ってやってる女の事だ。」
ト書き「酒井は努めて驚いた表情をとった。」
酒井雄二「あの子、女の子だったんですか?」
村上てつや「……はぁ?」
ト書き「村上が『素』で、苦虫を噛み潰したような表情になった。」
酒井雄二「ここに来る前に、一緒にトイレ入ってきましたけど…男の子でしたよ?」
ト書き「酒井はホラを吹いた。」
酒井雄二「(一緒にトイレ入ったとこまでは嘘付いてねーぞ、俺。」
村上てつや「んなわけッ…ねぇーだろ…??!」
酒井雄二「本当ですよ…。あの子は立派な男の子です!!」
ト書き「(立派の意味は別として)酒井はきっぱりと村上に言った。」
酒井雄二「まだ何かご不満でも?他に言いたい事は?」
村上てつや「(人違いじゃないはずなんだが…まさか撒かれたか?!)」
酒井雄二「もう良いですか?車に友達待たせてるんですよ。」
ト書き「酒井はまたホラを吹いた。」
酒井雄二「【また】とはナンダ!失礼なっ。 では失礼します村上さん。」
ト書き「そういうと酒井はとっとと車に向かった。」
村上てつや「いやッ、オッオイ!!待て!!!酒井雄二!!」
効果音「バタン!!  ブロロロロッッッッー―――!!」
ト書き「酒井たちの車は村上を無視して猛スピードで走り去った。」
北山陽一「誰と話してたんですか、酒井さん?」
酒井雄二「村上てつや・・・。」
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