-ゴスドラマ過去ログ:9201-9300-
ト書き「連絡を取りようやく安岡の車を捕まえた村上。」
村上てつや「話が訳わかんなくなってきた。酒井はナニ者なんだ?」
安岡優「話したの?『サカイユージ』と。」
村上てつや「まあな……」
安岡優「で、どんな感じだった?」
村上てつや「雰囲気は一般人さ、でも。」
安岡優「でも?」
村上てつや「相当キれるぜ?あいつは。」
安岡優「………あのさ、てっちゃん。」
村上てつや「ん?」
安岡優「カオルちゃん……僕助けたい。」
ト書き「ハンドルに寄っかかっている安岡を、驚いたように村上は見た。」
村上てつや「何…言ってるんだよ。お前。」
安岡優「だって…彼女は…、殺したフリでも良いから出来ないの?」
村上てつや「そりゃお前…、出来ないこともないけど、もしものときは俺達がヤバくなるぜ?」
安岡優「カオルちゃんは可哀相だよ。俺達に殺される理由なんて全然ないじゃん。」
村上てつや「………」
安岡優「俺……あの子だけは絶対殺せない。それぐらいだったら、まだ死んだ方がマシだよ……」
ト書き「そう言って、安岡は顔を伏せた。」
村上てつや「事情話して分かって貰えるような身分じゃねーしな、俺ら。」
安岡優「国には戻れないし、戻った途端王女殺害の犯人に仕立て上がってるね。」
村上てつや「…だな?」
安岡優「どのみち殺されるんならカオルちゃん見のがした方が良くない?」
ト書き「村上は、窓の外を眺めながら黙ってしまった。」
村上てつや「(俺だってそうしたい気持ちは山々なんだよっ・・・)」
安岡優「ねぇ、てっちゃん…。今まで何人もの人を殺してきたよね?僕達。」
村上てつや「……あぁ……。」
安岡優「カオルちゃんに関わる人みんな…かおるちゃんその度に泣いてた。」
村上てつや「知ってるよ…。」
安岡優「いつかねカオルちゃんが『てつ兄ちゃん、ヤスくん私を助けて…みんなを助けて…』って言ってた事があるんだ。」
ト書き「村上、煙草を取り出し吸い始めた。」
安岡優「僕ね、あの時のカオルちゃんの顔、言葉、声、今でも忘れられないんだ。」
村上てつや「お前の言いたい事良く分るよでもな、仕方ねぇーんだよ。」
安岡優「…てつちゃん…?」
ト書き「安岡は村上の目が赤くなっていたのを見た。」
村上てつや「今やらなくちゃいけないのはカオルを…お嬢を殺す事だ…何も考えるな…いいか。」
安岡優「……(てっちゃん…やっぱりツライんだ…)。」
村上てつや「(どうして俺等がカオルを殺さなくちゃいけねぇーんだよ。)」
安岡優「てっ…」
村上てつや「くそぉっっ!!…っっっ…。」
ト書き「村上は壁を何回も殴った。」
ナレーション「安岡も村上もカオルの暗殺にはためらいがあったようだ。 そんな2人をカオルは事実を知っていながらも信じている。」
北山陽一「しかし何でまたあなたのお父様は仲の良かった2人に頼んだのでしょうね。」
酒井雄二「仲良かった3人が、その中の1人を殺す事はまず無いだろ?」
北山陽一「一緒に居る時殺せばすぐ分ります…。」
酒井雄二「鈍いなぁ〜暗殺だ。良いように殺せば、自殺や外部犯行と取る事が出来る。死んだ時点で親友達はまず疑われないだろう。」
黒沢カオル「(誰も信用できない…?酒井さんは?北山さんは?)」
ト書き「2人のやり取りを聞いていた黒沢は、ふと考えた。」
ナレーション「すると北山が優しい笑顔をカオルにむけた。」
北山陽一「何を考えているんですか?」
黒沢カオル「あっ…いえ、その…。」
ト書き「目を反らし、黒沢は俯いた。」
安岡優「あ"。」
村上てつや「ん?何だよ何か思い付いたのか?」
安岡優「何で気が付かなかったんだろ、『王宮御用達』の事」
村上てつや「……あぁ〜…、生まれた時から体内にナノマシン埋め込んで生死の確認をとるって奴か?」
ト書き「通称のみを記憶しているだけで、二人とも正式名称を忘れている。」
安岡優「俺らが見逃しても、カオルちゃんの生死が判明してるんじゃ又狙われるんじゃないの?」
村上てつや「見逃すって、決め手ねーだろ。」
ト書き「説得力のない言動の村上を無視して、安岡はシートベルトを引き出したりしながら考え始めた。」
村上てつや「ヤス…。」
安岡優「なにぃっ!?今考えてるんだから邪魔しないでよぉっ!」
村上てつや「……独り言言うけどよー…、いちー・手術、並み大抵の医者じゃあ無理だが、にナノマシンをとってもらう」
安岡優「へっ?」
村上てつや「にー・監理してる機械のプログラムに、ウィルス送る…この場合はお嬢の身の安全も確保できねぇ。」
ト書き「安岡は、助ける事は無理なのか、と思い始めた。」
村上てつや「さーん・信じて貰えるかどうか分からない元軍医と元軍人に助けを求める。摘出手術とハッキングで機械も再起不能にするー、っと。」
安岡優「それって……。」
村上てつや「よーん・俺らが任務失敗って事で自殺(他殺)されるもしくはする、さて俺の考えはこんな処だが、お前の考えは?」
安岡優「俺はカオルちゃんのためだったら死んでもいいけど、でもできればもう少し生きてたい。」
ト書き「安岡は照れ笑いをしながら言った。」
安岡優「俺達がただ死んだって替わりがいくらでもいるだろうし、それに…。」
村上てつや「それに?」
安岡優「俺達が死んだら、きっとカオルちゃんはまた悲しむよ。」
村上てつや「……そうだな。」
ト書き「村上はまるで自分に言い聞かせるように呟いた。」
村上てつや「んじゃ、お前のお仕事。」
ト書き「そう言って、村上は安岡へパソコンを手渡した。」
村上てつや「お嬢の居場所を探ってくれ。」
安岡優「了解!」
ト書き「黒沢の居た国で使用されているコンピュータよりも難易度の高いものに挑戦した事の有る安岡は、ものの数分も経たずに王宮のコンピュータへと」
ナレーション「潜入した。」
安岡優「OK!問題はここから・・・と・・・」
村上てつや「できそうか?」
安岡優「俺を誰だと思ってんの?」
村上てつや「はいはい。IQ280の天才さんよっ!」
ト書き「安岡の瞳が、さも愉快そうに細められた。」
村上てつや「もしも・・・」
安岡優「え?」
ト書き「安岡が画面から顔を逸らさずに、村上に聞き返した。」
村上てつや「もしもカオルちゃんを助けられたら、もう一度あの頃みたいに戻れるのかな。」
安岡優「きっとね。カオルちゃんも分ってくれるよ、そうしたら前みたいに戻れる。」
ト書き「少し弱気な村上を見て安岡は苦笑いをしながら言った。」
北山陽一「カオルくん、あなたの知っている限りでいいのですが…」
酒井雄二「もうチョットこれからの鍵になるようなもの思い出せないか?」
ト書き「結局『カオルちゃん』に慣れず『カオル君』と呼ぶ事にした酒井と北山。」
黒沢カオル「うん…ヤスくんは宮廷内で1番の天才でIQ280なんだ」
北山陽一「280!!?凄い人ですね。(生身の安岡とは大違いだ。)」
酒井雄二「(良かったなぁ〜、少しでもそういう奴に変身出来て)…他に?」
黒沢カオル「てつ兄ちゃんは護衛軍の総司令官。宮廷内で1番の腕利きの2人だったの。」
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