-ゴスドラマ過去ログ:9401-9500-
ト書き「後ろを振り返ると村上と安岡が走っている。」
黒沢カオル「…てつ…兄ちゃん…? 」
酒井雄二「オッ…もうチョットの間、脱力しててくれるカオルくん?」
黒沢カオル「てつ…てつ兄ちゃん!!?」
ト書き「すっかり目を覚ました黒沢は酒井の方から顔を出す。」
北山陽一「酒井さん、ヤバイんじゃ??」
酒井雄二「なんだけど…仕方ない。」
ト書き「酒井は立ち止まり、カオルを降ろし北山に渡した。」
酒井雄二「足留め、するよ。」
ト書き「酒井は二人を背後に庇うように、村上の前に立った。」
酒井雄二「二人に手出しするようなら・・・容赦しないよ。」
村上てつや「…手出しはしない。信用して貰えるかどうか分からないが。」
ト書き「両手をひらひら振って、何も持っていない事を強調した上で」
ナレーション「村上は3人に言った。」
黒沢カオル「てっちゃん……、俺の事殺しに来たんだね。」
ト書き「北山の腕をほどいて、黒沢が村上を見据えた。」
安岡優「それは、違うよ。カオルちゃん。」
ト書き「背後から現れた安岡に、酒井と北山が驚いてそちらを見た。」
安岡優「俺達二人は…君の存在を消しに来ただけだよ。」
ト書き「安岡も素手である事を証明するように、手を自由にさせている。」
安岡優「…君の命を奪いに来たんじゃないんだ。」
北山陽一「どういうことだ?」
村上てつや「話し、聴いてくれるか?何の先入観もとっぱらった上で。」
ト書き「酒井と、北山は警戒体制を解いた。」
村上てつや「感謝する、酒井雄二と…キタヤマヨウイチ。」
北山陽一「あ、俺は『北山陽一』ですんで、そこんとこ宜しくお願いします。」
ト書き「冷静に指摘する北山であった。」
酒井雄二「では、説明してくれ。」
ト書き「村上はゆっくりと説明を始めた。」
村上てつや「・・・つまり、俺達には腕のいい医者が必要ってことだ。相当腕のいいな・・・」
ト書き「村上と、安岡の視線が北山に向けられる。それを見て酒井と黒沢も北山を見た」
北山陽一「……はい?」
安岡優「機械を騙す事が出来れば、カオルちゃんは『死んだ』事になるんだ。でも。」
酒井雄二「本人は生きてて、どこか知らない場所で生き続けるってことか……。」
村上てつや「これが今の処、俺が考え付く最善の策でね。あんたら二人に協力してもらいたいと思ってる。」
黒沢カオル「…てっちゃん。」
北山陽一「どうします?酒井さん。」
酒井雄二「これは罠じゃないって、証明も出来ないけど疑問にも思えない。」
村上てつや「ああ、自分を殺そうとしてた相手を信用しろって云う方が無理だろ。」
安岡優「てっちゃんっ!」
村上てつや「話を聴いてくれたってことは、少しは期待しても良いって事なんじゃないのか?」
ト書き「黒沢は、4人の顔を順繰りに見て、ふと呟いた。」
黒沢カオル「てっちゃん、ヤス…お父様は幾らで二人を雇ったの?」
酒井雄二「はぁ!?何をいきなり…。」
黒沢カオル「その倍額で、俺は二人を雇い直すよ。良いでしょ?」
北山陽一「随分と大振りな行動に出ますね、カオル君。」
黒沢カオル「だって…二人は、『俺』を好きになってくれたんだよ?『王女』じゃなくて」
酒井雄二「あのね、カオル君。金で近くに置くんなら、君のお父さんとやってる事はおんなじって事に気付いてる?」
ト書き「黒沢は、酒井の言葉を聴いて口を噤んだ。」
酒井雄二「君は頭が良いからちゃんと分かるよね。…百科事典背負った猿と、同じ人種にはならないで欲しいんだ。」
村上てつや「……とにかくだ、お前ら二人はどうする?どの道追っ手が来る事は間違い無いが本人の死亡が確認されれば即座に命令は解除されて、移動は楽になるだろう…と予測するが。」
北山陽一「聞くまでもないでしょう。答えはもう出たも同然です。」
酒井雄二「そうだな。」
ナレーション「それを聞いて安心したのかカオルは初めて笑顔を見せた。」
酒井雄二「共同戦線張ろうじゃありませんか。」
北山陽一「ええ。」
酒井雄二「俺達もカオルくんを自由にすることに異議はなし。」
ト書き「唖然としているカオル。」
酒井雄二「そういうわけだ。」
北山陽一「設備とか、必要な物は揃ってます?」
安岡優「うん、手術出来るぐらいなら大丈夫だよ。」
村上てつや「a,」
酒井雄二「はい?」
村上てつや「とりあえず、こいつら始末しちゃおうか。」
ト書き「後ろを向いて、ブラック達にガンを飛ばす村上。」
北山陽一「ああ、いたんですねぇ……片しちゃった方が、いいでしょう。」
効果音「コツ…コツ…ジャリ。」
ト書き「アスファルトの路面を蹴る音が、嫌に大きく響く。」
酒井雄二「今度は…ちゃんとヒットさせるから。」
ト書き「酒井がそう云って拳を握り込むと、関節が鳴った。」
安岡優「あ、俺も混ざるーっ!というわけで、北山センセはカオルちゃんをお願いしますっ。」
村上てつや「酒井は、接近戦は得意か?」
酒井雄二「五分五分、ですね。」
村上てつや「あいつらはいちおう王宮の特別警備隊だからあまりナメてかかると痛い目にあうぜ。」
酒井雄二「そうですか。じゃ接近戦は避けた方が良いですね。」
村上てつや「まあ元軍人のお前にしたら大した相手でもないだろうがよ。」
酒井雄二「それはあなたも同じなんじゃないですか。警備隊の隊長だったんでしょ?」
村上てつや「まあな。」
ト書き「村上は不敵な笑みを浮かべた。」
安岡優「もおぉっ!二人だけで男の会話しないで俺も混ぜてくれよぉ!!こう見えたってIQだけじゃないんだからね、俺だって!!!」
村上てつや「へいへい。」
ゴスペラーズブラック「お前ら俺達の存在を忘れていないか!!」
酒井雄二「忘れちゃーいないさ。」
村上てつや「ま……思い出したくもないんだが、な。」
酒井雄二「やっぱりここは戦っとかなきゃいかんのかな。」
村上てつや「手段は二つ、でも………。」
ト書き「村上は、横目でブラックを見た。」
村上てつや「向こうは『やる気満々』って状態だけど?」
酒井雄二「はぁ、至って俺は平和主義者なんですけど。正当防衛って事で、頑張りましょうか。」
ト書き「痺れをきらしたブラック達が、3人に殴りかかって来た。」
酒井雄二「うわぁっとぉっ!」
ト書き「各々、軽く避けると反撃を開始した。」
黒沢カオル「……やっぱり強いなぁ…。」
安岡優「感心してる場合じゃないんだよ、カオルちゃん!!」
北山陽一「カオル君、あなたは僕と一緒にココに居るんです。」
ト書き「そういうと北山は黒沢を連れて物陰に身を潜めた。」
村上てつや「お前の力ってその程度のものだったんだなっ!!」
ゴスペラーズブラック「なんだとォォォ〜〜〜ッッッ!!!!!」
酒井雄二「もて遊んでないでさっさとかたずけますよ、村上さん。」
村上てつや「ヘイへイっと!!」
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