-ゴスドラマ過去ログ:9601-9700-
ナレーション「そういうと二人はすごい勢いで食べ始めた。」
北山陽一「……食事、ちゃんと食べてます?」
安岡優「勿論。」
ト書き「二人の食事の勢いに飲まれて、3人の食べる手が止まってしまった」
黒沢カオル「てつ兄ちゃん相変わらず食うねえ〜。」
村上てつや「おう。食うぜ食うぜ。食わずにいられるかってんだあ。」
安岡優「てつはココ1週間で5kg太ったからねぇ、食べ過ぎなんだよ。」
村上てつや「ほっとけっ! こっちの飯は美味いんだよっ!!」
北山陽一「宮廷内の食事って美味しくないんですか?」
安岡優「カオルちゃん達が食べてる物は勿論高級品ばっかりの美味しい物だよ。」
酒井雄二「じゃ〜なんで??」
村上てつや「俺が入っていた護衛隊は自給自足。当番制のマズイ飯ばっかだ。」
安岡優「僕の居た情報処理・管理部は作ってくれる人が居たんだ、普通に美味しかったよ。」
村上てつや「護衛部には扱い悪いんだ。俺なんかがカオルと仲良くやってたなんて考えられないぐらいにな。」
黒沢カオル「最初大変だったもんね。てつ兄ちゃん大臣とかに呼び出しされて…」
安岡優「ボコボコにやられて…あの日だねカオルちゃんがお父さんと大臣にに反抗した日。」
黒沢カオル「だってさ、てつ兄ちゃんは悪くないんだよ!なのにお父様とかったら…」
村上てつや「冷や冷やしたぜ。ヤスから聞いて慌てて謝りに行って。」
酒井雄二「それで、可愛い娘の初の反抗に驚きを隠せなかった父さんは…」
北山陽一「村上さんをカオルくん護衛担当にさせたと?」
ト書き「5人は食べながら話を続けた。」
村上てつや「護衛担当、お兄ちゃん役、説得係…」
安岡優「僕は、教育・勉強担当、妹弟(きょうだい)役、理解者係」
北山陽一「父、母、大臣、乳母、先生…etc…はみんな村上さんと安岡さん?!」
酒井雄二「凄いなぁ…カオルくんの権力って…。」
安岡優「可愛いがられてたからね、念願の子供だったし。」
村上てつや「お姫様カオルが一言言ったら、1分でみんな変わるからなぁ態度、ムカツクだよなっ。」
安岡優「それのおかげで僕達今カオルちゃんと仲が良いんだから、文句言わないの。」
酒井雄二「しかしそんな愛娘をど〜して暗殺するのか…まだ疑問。」
北山陽一「酒井さん、まだあなた分らないんですか。そういうのには結構固いですね、頭。」
酒井雄二「北山くん、ウルサイよ!!ほっといてくれ。」
ト書き「北山をじろりと睨み、酒井は皿の中身を口に運んだ。」
安岡優「理由は…世継ぎが」
ト書き「言いかけて、安岡は村上に睨まれている事に気付いた。」
村上てつや「……ま、多分今頃国王に反旗を翻したって事で『政治犯』としてブラックリストに書き込まれてるだろ。」
ト書き「持っていたフォークを置いて、村上はコーヒーを口に運ぶ。」
北山陽一「腹ごしらえもすんだようですね。…どうします?」
村上てつや「とりあえずここを出るか。」
黒沢カオル「その前に僕ちょっとトイレに行ってくる。」
ト書き「そう言うと黒沢はひとり席を立って行ってしまった。」
村上てつや「ヤスっ!」
安岡優「ん?何?」
村上てつや「お前もトイレ行ってこい。」
安岡優「わ、わかった。」
ト書き「村上の厳しい表情を前に安岡はあわてて黒沢の後を追っていった。」
村上てつや「まったくお前たちもボディガードならそれくらいのこと気を払えよ〜。」
北山陽一「いや、大丈夫ですよ。」
ト書き「心配そうな村上とはうらはらに涼しい笑顔をしている北山。」
北山陽一「入る時に確認したんですがトイレはこの席から見える場所にあるんですよ。村上さんからは背中側だから見えないですけど。」
村上てつや「なんだ、そーゆーことか。」
北山陽一「それに男二人が連れだってトイレに行っているほうが不自然ですからね。」
村上てつや「しかしさっきから見られてるような気がして仕方ねえぜ。さっさと出ねえと。 」
北山陽一「俺は気づかなかったですけど。酒井さん気づいてました?」
酒井雄二「いや、直接は。ただ村上さんが気づいていて俺達が気づかないとなると。」
村上てつや「追手、か。こんなとこ見られたんじゃ俺達も追われる側だな。」「そういうことです。まずは俺達のみの安全の確保からですね。手術はそれからです。」
酒井雄二「あ、帰ってきた。」
ト書き「安岡に連れられてしょんぼりした黒沢が帰ってきた。3人はほっと胸をなで下ろす。」
安岡優「もぉ、カオルちゃんたら女子トイレ入ろうとしてるんだもん、ビックリしちゃったよ。」
黒沢カオル「だって、いつものクセで。」
村上てつや「安岡をつけといてよかったぜ。じゃ行くぜ。お前たち二人はどこか安全な場所を確保してくれ。俺と安岡は、追手を足止めする。」
黒沢カオル「てつ兄ちゃん大丈夫?」
村上てつや「なに寝ぼけたこと言ってんだよ、相手は俺の部下たちだぜ。こいつら二人を相手にするより簡単だぜ。」
ト書き「村上は北山と酒井を指差しながら言った。」
北山陽一「それは賞賛の言葉と受け取っていいんですか。」
村上てつや「お好きなように。念のため車は乗り捨てろ。別の車に移動しろ。」
酒井雄二「別の車?」
村上てつや「それくらい誰かから拝借しろよ。それじゃ行ってくれ。俺達は後から出る。」
酒井雄二「幸運を祈ってますよ。」
村上てつや「お前たちもな。俺達のお姫様をしっかり守ってくれよ。」
ト書き「酒井と北山は黒沢を挟むようにして並んでレストランを出ていった。」
村上てつや「さて…と。俺たちも行くか。」
安岡優「行きますか。」
ト書き「そう言って、二人は立ち上がると店の出口へと向かった。」
村上てつや「……ごっそさんでした、『いただきます』。」
安岡優「何言ってんの?」
ト書き「安岡が疑問を口にしたが、それには答えず村上が無言で裏拳を後ろへ放った。」
一般人(男)「がっ……。」
村上てつや「おぉ〜い、来てんぜ?」
安岡優「じゃあ……カオルちゃん達危ないじゃんっ!?」
村上てつや「カオル達『も』な。」
ト書き「村上は店内に居た数人が自分達の方へ向かって来るのを見て、呟いた。」
安岡優「あーもー、めんどいから電気落としてやるぅッ!」
ナレーション「安岡は一秒もかからない速さで拳銃ぬき引き金を引いた。」
安岡優「ヒュンッ」
村上てつや「おいっ、それごと投げてどうすんだっ!?」
効果音「ごつっ」
安岡優「ほら、こういうことさ。」
効果音「……どさ。」
ト書き「影に潜んで居た刺客が脳天へ落ちてきた拳銃によって気絶して居た。」
村上てつや「面倒くせーなー……ヤス、調理場行くぞ。」
安岡優「なんで?出入り口すぐそこなのに。」
村上てつや「おいおい、後ろから撃たれねぇとは限らねぇだろ?」
安岡優「背中無防備になっちゃうねー」
ト書き「確かに、と頷いて安岡は言った。」
村上てつや「…一網打尽にしねーと、な?」
ト書き「にやり、と笑って村上は調理場へ素早く移動した。」
安岡優「ちょっ…。」
ト書き「安岡も村上の後を追って調理場へ移動する。」
効果音「ばしゃっ」
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