-ゴスドラマ過去ログ:9701-9800-
安岡優「うわぁっ」
ト書き「村上が調理場の入り口付近の床に水を撒いていた。」
村上てつや「ほら、こっち来いよ。」
安岡優「何すんの…水張って。」
村上てつや「これは、『食塩水』だよ。でだ…」
ト書き「引き千切った電気コードを水の中に投入すると水の無い場所へ避難する。」
安岡優「…?」
ト書き「コンセントへ接続し村上は裏口のドアをあけると調理場の台の蔭へ隠れた。」
安岡優「どうなるの?」
ト書き「無言で、唇に指を当てて『静かにしろ』と村上が意思表示した。」
一般人(男)「ぎゃああああっ!!」
村上てつや「即席罠:スタンガン応用編。良い子は真似しないように。」
ト書き「水音が響いて、床に筋痙攣を起こした人間が数人倒れた。」
村上てつや「さって、お嬢の後を追うか。」
安岡優「て・・・てっちゃん・・・。」
村上てつや「ん?」
安岡優「コンセントは…抜いた方が良いよ。」
村上てつや「そか。」
安岡優「(何でこんな事知ってるのかな……。」
ト書き「裏口から出ると安岡はパソコンを立ち上げ、操作する傍らぼんやりとそんな事を思った。」
村上てつや「今なんでこんな事知ってるんだろうって思ったろ。」
安岡優「あ、ばれた?」
村上てつや「お前の頭脳で分かんないわきゃないだろが。」
安岡優「そういう人の心のことはよく分からないよ。感電させる原理ならいやというほどわかるけど。」
村上てつや「分んない言われてもなぁ。」
安岡優「ともかく三人のところへ早く行こうよ。」
村上てつや「おう。」
ト書き「パソコンの画面に模写したプログラムを元に造ったナノマシンの反応を追うナビを表示させて、二人は3人を追った。」
黒沢カオル「大丈夫かなぁ、てつ兄ちゃんとヤスくん…。」
北山陽一「彼等なら大丈夫ですよ。ところでカオルくんは2人が何処の位の人とか知っていたのですか?」
黒沢カオル「うん…。護衛軍の1番偉い人と、情報管理部の2番目に偉い人…。」
北山陽一「それだけですか?」
黒沢カオル「う、うん…。」
ト書き「黒沢はチョット自信なさ気に北山の顔を見た。」
酒井雄二「いきなりどうしたんだぁ?天才医者の北山くん。」
北山陽一「やめて下さい天才医者だなんて…。 イヤ実は私のパソコンで色々調べたところ…」
効果音「カチャ ピコピコ  カチャカチャ」
北山陽一「あの2人はこんな人なんですよ…。」
ト書き「酒井と黒沢は北山の出したパソコンの画面を覗き込んだ。」
酒井雄二「…『村上てつや』 護衛軍最高総司令官。 当たってるじゃないの。」
北山陽一「その下ですよ!その下!!よく読んでください。」
酒井雄二「えっと… 次期皇帝…候補者??!!」
黒沢カオル「まだ書いてあるよ、えっとぉ〜『貿易部最高指揮官でもあり、医療部副指揮官』」
酒井雄二「そんな凄い奴だったのか…??!」
北山陽一「では次に安岡さんのデータを……コレです。」
酒井雄二「次期大臣候補…??!『経済・政治部最高指揮官でもあり、医療部最高指揮官』」
黒沢カオル「どういう事なの?2人って凄い人なの??!」
酒井雄二「凄いも何も…。エリートじゃないの、そんな2人がどうしてこう??」
北山陽一「分りません。なぜ医療部の1番2番の2人が私にカオルくんの体内の”ナノマシン”を取るのを頼んだのか…」
酒井雄二「それに、皇帝・大臣の次期候補者がなんでカオルちゃんを殺す事を頼まれたのか…」
北山陽一「なぜ隠していたんでしょう2人は…。」
黒沢カオル「…(次期皇帝…次期大臣…私の許婚は…てつ兄ちゃん?)」
村上てつや「オーイッッ!酒井!北山!カオル!」
北山陽一「追いつきましたね…。ひとまずこの事は3人の中に留めておきましょう。」
ナレーション「そういうと、3人は向かってくる村上と安岡の方へ歩き始めた。」
酒井雄二「北山…後でさっきのデータもう1回見してくれ…。」
北山陽一「はい…分りました…。」
酒井雄二「大丈夫でしたか?」
村上てつや「あったり前よっ!!オチャノコサイサイだな。」
安岡優「てつ…古いよソレ。」
黒沢カオル「あははは。てつ兄ちゃん古いってさ。」
ト書き「黒沢は動揺を隠すかのようにわざと大きな声で笑った。」
村上てつや「一概に古いって言うんじゃねーよ…ったくよぉ。」
ト書き「ぼそぼそと、口の中で呟く村上。」
一般人(男)「だぁあああああっ!」
ナレーション「不意に、奇声を上げて復数人の一般人が五人を襲った。」
安岡優「こっちにも来た〜…いいカンジで働いてるね、僕ら。」
酒井雄二「あれも貴方の部下ですか?」
村上てつや「いいや?見た事ねーよ。あんな連中。」
北山陽一「色んな処に『仕事』の発注してますね、カオル君のおとーさん。」
ト書き「ベルトから素早く銃を出して北山は構えた。」
酒井雄二「奇襲かける時は声出しちゃやばいでしょう…しかも、持ってるのは拳銃ですか。」
村上てつや「う〜わ〜、あらゆる意味で『三流』だな。」
黒沢カオル「どうして?」
安岡優「カオルちゃん…顔出しちゃダメだって…。」
黒沢カオル「なんで?」
ト書き「物陰に引っ張り込まれ、黒沢は好奇心に目をキラキラさせながら安岡に訊ねた。」
安岡優「最初の質問は『テレビとかの見過ぎ』次の質問は『命狙われてるから』。納得した?」
黒沢カオル「うん、納得。やっぱり賢いね♪」
北山陽一「しかし…どうして三流なんですか。」
村上てつや「街中で暗殺するなら、遠距離射撃か接近して刺殺した方がアシがつき難いだろ?」
酒井雄二「大声出して、しかもあんな堂々と道具見せちゃあ…ねぇ、村上さん?」
村上てつや「なんで俺に話し振るかな〜…。」
北山陽一「あ〜、とりあえずサクッと行きましょう、サクッと。」
ト書き「酒井口調になっている北山は村上と酒井に合図を送る。」
効果音「バキューン!バキューン!!」
酒井雄二「本当にサクッとやっちゃったなぁ〜。」
村上てつや「拳銃だしな…呆気ないわ。 そんな事より早く行くぞ!」
ナレーション「いつのまにか手配してあった大きなキャンピングカーに乗り込む。安岡が運転席・助手席には村上、後ろには3人が座る。」
酒井雄二「北山くん、さっきのデーター出してくれる…。」
ト書き「北山は何も言わずパソコンを酒井に手渡す。横に居た黒沢は酒井と一緒に覗き込む。」
酒井雄二「村上てつや…次期皇帝候補者・護衛軍最高司令官・貿易部最高指揮官・医療部副指揮官…ココは読んだっと…。」
黒沢カオル「次期大臣候補経済・情報処理・管理部副指揮官・政治部最高指揮官・医療部最高指揮官…ココも読んだよ。」
北山陽一「その後です。安岡さんデーターの下に書いてあるでしょう。」
酒井雄二「…『村上・安岡、共に5歳の時孤児院より皇室内へ』…??!」
黒沢カオル「コ・ジ・インってなに?」
ト書き「慌てて北山は黒沢の口を抑え、人差し指を立てて”シーッ”とやった。」
酒井雄二「エリートの出身が孤児院とは…んん?王の愛娘”カオル”の許婚を”村上てつや”とするぅぅ??」
ト書き「酒井は唖然としただ画面を見つめるだけだった。」
北山陽一「つまり2人には深すぎる過去があるんですよ、特に『村上てつや』さんには深い深い何かが…。」
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