-ゴスドラマ過去ログ:9901-10000-
村上てつや「形だけの協定結んでる…隣国のオジ様。とりあえずこの件が片付いたらあいつを頼ろうかと思ってる。」
安岡優「それって…。」
村上てつや「あいつをお嬢に紹介したのは誰か、忘れたみてぇだな。」
北山陽一「……仲悪いのに、協定結ばせたのはカオル君が居るから、ですか。」
村上てつや「確実な手段は保持しとくに限るだろ?」
ト書き「その時、車が屋内駐車場へ入って行った。」
酒井雄二「ここ…ですか。」
安岡優「うぅん?もうちょっとかかるよ。」
ト書き「パーキングチケット発行機からチケットを抜き取り、安岡は言った。」
北山陽一「はい?」
村上てつや「少し歩くけど…構わねぇよな?」
ト書き「眠る黒沢を抱き上げて酒井は車から降りた。」
北山陽一「一般…建築物ですよね、ここ。」
村上てつや「安岡名義の土地で、俺名義の建物だ。」
ト書き「『緊急連絡口』と書かれたドアを開けて村上が先に入った。」
安岡優「造った人でさえ何に使われるか理解してなかったもんね。」
酒井雄二「貴方がた以外、正式な用途を知る人物は居ないと言う事ですか」
村上てつや「まあな。」
ト書き「階段をひょいひょい下りながら村上はそう言った。」
黒沢カオル「んぅ……、すぅ〜すぅ〜……」
ト書き「酒井にしがみつきながら、再び黒沢は寝入ってしまった。」
ゴスペラーズ「酒井以外>(複雑な心境)」
村上てつや「え〜っ…と、4階だったっけ?」
岡優「違うよ、踊り場だって。」
北山陽一「何の話ですか。」
安岡優「入り口。地下4階と5階の間、つまり踊り場に造ったんだけど、時々移動するんだよねぇ…。」
効果音「こんこん。」
ト書き「村上と安岡がそれぞれ、壁を叩いている」
村上てつや「…駄目だ、こっちには無い。」
安岡優「ここにも無い。」
ト書き「安岡が得意げな顔で踊り場のプレートを叩くと、壁の一部が『扉』に変化した。」
安岡優「だぁかぁら、踊り場だって、言ったじゃん。」
ト書き「いっつも4階にしたがるんだから、と呟きながら安岡は扉をくぐった。」
酒井雄二「で、どこにつながってるんですか。」
安岡優「まあ、ついて来てみて。」
ト書き「安岡はみんなを誘導する。」
北山陽一「酒井さん大丈夫ですか?もしアレでしたら代わりますよ。」
酒井雄二「大丈夫…!少し重いけど、もっと重いの長時間持ってた事あるから。」
村上てつや「お嬢向こうに居た時よりチョットポッチャリしてるなぁ。」
安岡優「てつ!カオルちゃんだけじゃないけど、女の子の前でそういう事は言っちゃダメだよぉ!」
北山陽一「女の子はデリケートなんですからね、どんなに幼く見えても。」
村上てつや「へい、へい!以後気を付けますよッ!」
酒井雄二「それよりどこまで行くんですか。結構歩いた気がするんですが…?!」
北山陽一「そうですね。で、そこには一体何があるんですか?!」
安岡優「…なんで、僕らが協力要請したか、忘れちゃったんだねぇ。」
ト書き「軽い足取りで先を歩いていた安岡が、くるりと振り返りそう言った。」
酒井雄二「じゃあ、ここが…?」
村上てつや「ようこそ、『秘密基地』へ。」
ト書き「村上が、茶化すように言った。」
北山陽一「…へぇ…。」
ト書き「くるくる見回す北山の腕を引っ張って、村上は立ち止まった安岡の処へと足早に歩いた。」
安岡優「今、開けるね?」
ト書き「カードキーを出すかと思いきや、安岡が取り出したのは真鍮の金属製の鍵だった。」
酒井雄二「こりゃあ又…イイモン使ってますなぁ。」
ト書き「黒沢を抱き直し、酒井が呟いた。」
北山陽一「鍵穴は…見当たりませんが。」
ト書き「半信半疑の北山を前に安岡は得意げな表情を浮かべた。」
安岡優「ふふ、とくとご覧あれ♪」
酒井雄二「ひっ・・・!すっげーこんな事できんだあ、現代科学で。」
ト書き「安岡が人さし指と薬指で挟むようにして持っていた鍵が空中に浮き、壁に埋まる…というより同化してしまった。」
北山陽一「……何で出来てるんですか、ここの建物。」
安岡優「フツーの材料だけど?」
ト書き「壁がやや後ろへ下がると、そのまま横にスライドした。」
安岡優「じゃ、行こーか」
ト書き「薄暗く、漸く輪郭を確認できるだけの通路を4人は進んだ。」
村上てつや「っと、入り口閉めて来る。」
ト書き「最後尾を歩いていた村上が踵を返して今来た方へと戻り始めた。」
北山陽一「自動的に閉まってるみたいですよ、その壁。」
村上てつや「ばか、ちげーよ。」
ト書き「閉っている壁に手をかざすと、村上の手の中に鍵が出現し納まった。」
村上てつや「でもなー…物量戦になったら、ここも意味ねぇだろーなー…」
ト書き「呟いて、村上は再び4人の元へ戻った。」
安岡優「え〜っと、まず麻酔とぉ、切開用のメスでしょ〜?」
北山陽一「麻酔は全身と部分と、どっちにしますか。」
酒井雄二「怖ぇえよ〜…あの二人。」
ト書き「前方で必要物資の確認をしている二人からやや離れて酒井はカオルを抱き直しながら呟いた」
村上てつや「大丈夫、だろ?」
安岡優「全身麻酔のほうがいいかな、この場合。」
北山陽一「そうですね…周囲の音が聞こえると怯えると思いますし。」
ト書き「五人の前に大仰な扉が見えてきた。」
酒井雄二「っと、着いたぁ〜…。」
安岡優「そこ、違うよ。」
ト書き「扉を素通りして安岡は言い放つ。」
酒井雄二「何処まで歩くんです?」
村上てつや「一番奥。」
ト書き「細い通路はL字型に折れ、その先にエレベータがあった。」
北山陽一「……案外近かったですね。」
ト書き「乗り込むと、『C』のボタンを押し、五人の身体は強制的に上昇し始めた。」
効果音「ぐぅ〜〜〜………。」
北山陽一「空腹…なんですか?」
酒井雄二「……そうみたい。」
北山陽一「ずっとカオルくんを抱いてたからでしょ。」
酒井雄二「ん〜……けっこう食ったのにね、さっき。」
村上てつや「あんたら、飯作れる?」
北山陽一「自己満足程度に。」
村上てつや「キッチンがあるからなんか作れ!」
北山陽一「”作れ”って、あなた人にモノを頼むのにそれは頂けませんね。」
安岡優「ごめんね北山センセ…てつ、言い方考えなよぉ。」
村上てつや「…わりぃ…。 」
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