-ゴスドラマ過去ログ:10001-10100-
ト書き「頭をかきながら村上が北山に謝った。」
北山陽一「いいですよ、気にしないで下さい。心配し過ぎて気が立ってるんですよね、村上さんは。」
酒井雄二「おおっとぉぉ!!」
ト書き「黒沢が不意に動き落ちそうだったので、酒井は慌てて黒沢を抱きなおした。」
酒井雄二「うむ……やはり腹が減ると集中力が欠けていかんね……」
北山陽一「そうですね。」
村上てつや「じゃあ交代で飯食えばいいんじゃねぇか?一度に食うのもまずいし。」
効果音「がこん…。」
ト書き「扉が開いて、五人は『秘密基地』内へと現れた。」
酒井雄二「さぁ、頑張れよ・・・」
ト書き「酒井は、眠っているカオルに囁くようにして言った。」
安岡優「麻酔は右から二番目の棚だから。ちょっと準備してくれる?俺その間に器具の準備するし。」
北山陽一「わかりました。メスはレーザーですか?」
安岡優「とりあえず…用意しておく。」
ト書き「黒沢の背骨にそって薬品を注射すると、北山は鞄の中から一つの箱を取り出す。」
安岡優「それは?」
北山陽一「マニピュレーター、ですよ。」
酒井雄二「……持ち歩いてんの?」
北山陽一「酒井さんのお茶じゃないんですけど、持ち歩く癖がついてるんですよね。」
酒井雄二「それはそれは。」
ト書き「軽い仕種で手を上げて酒井は言った。」
安岡優「んじゃ、二人ともどっかで待っててよ。消毒とか済ませちゃうから。」
酒井雄二「じゃ、後はお任せするよ。その間に腹ごしらえでもしますかね。」
北山陽一「それではお願いします。」
ト書き「2人は奥の方にある部屋へと向かった。」
安岡優「……(これでもう殺されたりしないよね、カオルちゃん…)。」
黒沢カオル「……すぅーすぅー……」
ト書き「安岡は麻酔がかかった黒沢の頬に手を当てた。」
酒井雄二「北山、大丈夫なのか手術は…。」
北山陽一「研修医の時も、軍医の時もやってましたからね…なんとか。」
酒井雄二「…!!」
ト書き「酒井は北山の手が少し震えている事に気が付いた。」
北山陽一「……はぁ……。」
村上てつや「溜息なんかつくなよ、心配になるじゃねぇか。」
北山陽一「あぁ…すいません。」
村上てつや「さてと腹減ったなぁ、飯食おうぜ!」
北山陽一「私は少し仮眠させていたたきます。 すみませんが酒井さん…。」
酒井雄二「はいよ! 台所は何処ですか??!」
村上てつや「こっち! (北山に)寝るならそこの奥の部屋にベットあるぜ。」
北山陽一「スミマセン、お借りします。」
ト書き「そういうと北山は奥の部屋へと向かった。」
効果音「バタン」
北山陽一「はぁ…(本当に大丈夫なのか?北山。カオル君を助ける自信はあるのか?…逃げるなよ…自分から逃げるなよ…北山陽一…同じ事は繰り返すな…)…。」
ナレーション「北山は震える手を必死に抑え、自分に言い聞かせながらベットへ倒れこんだ。」
ト書き「北山、ポケットから何かを取り出す。」
北山陽一「きっと…いや、絶対大丈夫だ…。」
ト書き「ポケットから出した物は銀色の軍医のバッチだった。」
北山陽一「誰かを救う…カオル君を救う…それが俺の夢なんだ…。」
ト書き「北山はバッチを震える手で固く握り締めた。」
北山陽一「後悔しない為に、……自分の為に。」
ト書き「北山は握った手の甲を額に押し付けた。」
村上てつや「なぁ、酒井…サンはパソコン扱えるか?」
酒井雄二「酒井で結構です。…パソコンは相応に扱えるけど、それが?」
村上てつや「ちょっくら、手伝って欲しいのさ。……国王の目ぇひん向いた姿見てぇんだ。」
ト書き「村上は不敵に笑って、その長い脚を組んだ。」
安岡優「…っと、あれ?北山さんは?」
村上てつや「ベッドルームにいる。」
安岡優「そっか…30分くらいしたら起こしてくんない?完全に回るまで時間かかるし。」
酒井雄二「あぁ、あの緑色のやつに着替えるんだろ。」
村上てつや「オペ着って云えよ……。」
酒井雄二「ものが分かるからいいでしょ。」
安岡優「『緑色のやつ』じゃアオミドロとか青汁とか色んな違うモノ想像しちゃうけど。葉緑素とかさぁ。」
酒井雄二「そうそう。クロロフィルね。」
村上てつや「『葉緑素』ってったらさ、こういうハナシ知ってる?」
安岡優「…なに?」
村上てつや「とある生物のセンセイに三つ子の女の子が出来ちゃった訳よ。」
酒井雄二「出来ちゃったって、なんだかなー。」
村上てつや「でだ、名前が上から『葉子』『緑』『素子』っていうんだ。」
安岡優「うわー…葉緑素じゃん。」
酒井雄二「なんだか”生物マニア”って感じだなぁ。」
安岡優「ちょっと可哀想だよね…中学になって生物とか習った時には。」
村上てつや「ショック受けるか、親父を恨むだろうな。」
酒井雄二「さて、簡単にオムライスですけど、どうぞ!」
安岡優「うわぁ〜美味しそう♪ ありがとう、酒井さん!」
村上てつや「サンキュ! 」
ト書き「酒井の手からお皿を取ると2人は勢いよく食べ始めた。」
酒井雄二「お腹空いてたんですか?」
村上てつや「メチャメチャ空いてた!!」
安岡優「てつ、胃が大きくなったねやっぱり太るよ。」
ト書き「口にスプーンを銜えたまま、村上は安岡を見据える。」
安岡優「…なに?」
村上てつや「肉体労働したから良いだろうよ。」
安岡優「……そだね。」
ト書き「ケチャップ味の炒飯を皿を抱くようにして頬張りながら、酒井は二人の様子を見ていた。」
酒井雄二「あれ?今何時?」
村上てつや「え?」
安岡優「あっ、もうそろそろ時間じゃんっ。センセ起こしてくるっ。」
北山陽一「あぁ、ごめんね。」
酒井雄二「俺のセリフ…。」
ト書き「『北山さんもうチョット待っててね。』…安岡は北山を起こしに行った」
村上てつや「……。」
ト書き「スプーンを口に銜えて安岡の出て行ったドアの方を眺める」
酒井雄二「心配ですか?」
村上てつや「まぁな、どうなるかわかんねぇーし。」
酒井雄二「実は私も本当は心配なんですよ…。」
ト書き「酒井は最後の一口を食べると立ち上がり食器を片付け始めた。」
村上てつや「オイ…!!」
酒井雄二「見ませんでしたか?北山さんの手が震えてるのを…。」
村上てつや「見たよ。だから心配してんのに、お前まで心配してんのかよ。」
ト書き「村上は食器を酒井に渡すと煙草を吸い始めた。」
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