-ゴスドラマ過去ログ:10101-10200- |
酒井雄二「過去が過去ですからね…。過去は書き換えられません。」 村上てつや「でもよ、未来は切り開けるんじゃねぇか!?」 酒井雄二「それは彼次第ですけどね…。」 村上てつや「北山を信じてねぇのか?」 酒井雄二「いいえ。北山さんなら大丈夫だとは思いますが。」 村上てつや「100%信じれねぇ、そういう訳か。」 酒井雄二「えぇ。でもいまは北山さんしかいないですからね、カオル君を助けてあげられるのは。」 村上てつや「だな。 アイツならきっとやってくれるさ…きっとな…。」 ト書き「村上は煙草を消すと安岡の行った部屋に向かった。」 酒井雄二「……はぁ。」 ト書き「流し台に立って、酒井は複雑な面持ちで食器を洗いはじめる。」 安岡優「北山センセ!そろそろ準備してもらいたいんだけど。」 ト書き「北山の身体を揺すりながら安岡は言った。」 安岡優「センセってばぁ〜〜!!起きてよぉ〜〜!!」 北山陽一「ぅんん??…あぁ…もう時間なんですか…。」 安岡優「麻酔はもう完全に回ってると思うよ。」 北山陽一「わかりました…。」 ト書き「眼鏡を掛けると北山はゆっくりとベットから起き上がった。」 ナレーション「オペ着に着替え手術室に向かう。安岡は助手として北山に付く事になった。」 酒井雄二「村上さんは付かないんですか?」 村上てつや「ナニに??」 酒井雄二「オペの助手とかとして…医療部の副指揮官だったんでしょう?」 村上てつや「手術の事はしらねぇよ、全部ヤスがやってたしな。」 酒井雄二「でもそれなりの知識はあるのでは?」 村上てつや「俺は内科担当。風邪の治療とかしかしらねぇよ。」 ト書き「村上はガラス越しに見える黒沢を見た。」 酒井雄二「好きですか?カオル君のこと…今でも。」 村上てつや「あぁ…本当はな2人で死のうかと思ったんだよ…。」 酒井雄二「心中…ですか…。」 村上てつや「けどよ…カオルが…アイツが可哀想でよ…。」 酒井雄二「この後はどうするつもりなんですか?」 村上てつや「3人で暮らせたら…1番幸せだけどな。」 酒井雄二「3人で……」 ト書き「酒井は村上を一瞥すると、村上と同じ方向を見た。」 安岡優「緊張してる?」 北山陽一「してる……そういうヤスは?」 安岡優「まあ、ねえ。しないほうが、おかしいでしょ?」 ト書き「安岡は軽く笑い飛ばそうとしたが、その顔は引きつっていた。」 北山陽一「………」 ト書き「北山は」 ナレーション「(ト書きさんシッカリして!) 北山は手をかざすし、こぶしを握り額に当てた。」 安岡優「センセ、なにしてるの??」 北山陽一「おまじない…。」 安岡優「古風なことするんだね、なんのおまじない?」 北山陽一「ヒ・ミ・ツ…。」 安岡優「『ヒ・ミ・ツ』ねぇ〜…。」 ト書き「北山の怪しい姿を見て安岡はまた引きつった笑顔を見せた。」 北山陽一「…すぅ〜はぁ〜…よし、はじめよう。」 安岡優「う、うん。 (頑張ってね、カオルちゃん!みんなそばに居るからね。)」 ト書き「安岡は黒沢を見て、ガラス越しの村上を見た。」 村上てつや「よし…警護に回んぞ。」 ト書き「村上は懐から銃を取り出して弾数を確認し、言った。」 酒井雄二「殴り込みでもかけられるんですか?」 村上てつや「そのうち、こっちの方に来るだろーからよ、少しでも叩きてぇんだわ。」 酒井雄二「二手に分かれますか。」 村上てつや「オメーの役目ははプログラム無事に送りつけるこったよ。雑魚なら俺一人でもじゅーぶんさね。」 酒井雄二「ほーい。」 ト書き「ドアを開けて、村上は何も言わずに酒井と手術室を一瞥すると部屋から出ていった。」 酒井雄二「…重いなぁ、今回も。」 ナレーション「そうですねぇ…」 ト書き「酒井も無言のまま、鞄の中からPCを取り出すと机の上に置いた。」 ナレーション「(むっ、無視しなくてもぉっ!」 酒井雄二「さて…ワルモノ君に一泡吹かせようか?」 ト書き「指の関節を鳴らして、酒井は独り言を呟いた。」 効果音「がっ。」 ト書き「村上が再び車を駐車した建物に戻ると、『いかにも』な風体・雰囲気の方々がうろついていた。」 村上てつや「わざわざ…御苦労なこったね、国王もさ。質より量で来る考えが良く判らんってえーの。」 ト書き「口に出して呟き、ああ、と思い当たった。」 村上てつや「(一流の方々は、賢いから金で動かねぇって事かい。」 ト書き「サイレンサー付きロングレンチの銃を構え、村上は引き金を引いた。」 安岡優「見え…る訳ないか。」 北山陽一「肉眼で確認出来たら怖いよ。」 ト書き「ナノマシンの位置を示す画面を表示させていた安岡が機械が移動を始めた事に気付いた。」 安岡優「せっ、センセ。機械が移動してるっ!」 北山陽一「え?」 ト書き「北山が手にしたマニピュレーターの総括を放り出して画面を見た。」 安岡優「な、これって…」 北山陽一「血管、だな。」 安岡優「なんで今まで移動してなかったのが血管に…っ!?」 北山陽一「ゴキブリみたいな機械だな、自分を排除しようとしてる気配を読んで逃げやがった。」 ト書き「ほけほけと呟いて北山は不敵な笑みを浮かべる。」 安岡優「どっ…どうするの?血管じゃ摘出出来ないんじゃあ?」 ト書き「慌てふためく安岡を横目に、北山は身体をくの字にして笑っていた。」 安岡優「……壊れた?」 ト書き「安岡は、北山が天才となんとかの境を越えてしまったのかと本気で心配してしまった。」 北山陽一「殺す為に心臓に入れるか…莫迦だなぁ。」 安岡優「ばっ莫迦ぁっ?」 北山陽一「一気に方法が簡単になったよ…これで、血液ごと外に出せる。」 ト書き「採血用のチューブと針を取り出すと、北山は迷いもせずに黒沢の背中に針を刺した。」 北山陽一「輸血用パックある?抜いた分入れないと。」 安岡優「あ…うん、酒井さんに通達がてら持ってくる。」 ト書き「パック内にナノマシンが移動したのを確認すると、北山は慎重に針を抜いて止血をした。」 北山陽一「『術式』…じゃあなくて、『摘出』…でもないな。まぁいいか、終了。」 ト書き「そう呟いて北山は手術用手袋を脱いだ。」 安岡優「酒井さ〜んっ。」 酒井雄二「あ…ヤス?」 安岡優「プログラムの転送始めてっ!?」 酒井雄二「早いな〜…ま、こした事はないが。水平OKさ。」 ト書き「端末機械のキィボードを酒井の指が素早く叩き、操作を始める。」 北山陽一「そんな急がなくても良いよ、血ごと抜いてるから多少なら時間に余裕がある。」 |
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