『 週刊 Hanko 』 735号

教育実習生◆維管束(道管と師管)の観察◆液体窒素で遊ぼう!

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 果てがないのでは…と思われた暑さが急にひんやりした空気に変わりました。
本当に「暑さ寒さも彼岸まで」ですね。爽やかな風も吹きますが、日中はまだ暑く、寒暖の激しい時期でもあります。皆さん、気をつけて下さいね。
 私の9月は予定通り、会議だ練習だ訓練だ…!と怒濤の毎日。「今日は家にいてよ〜〜」と騒ぐ真希に後ろ髪を引かれつつ、今日も明日も……ごめんよ〜〜〜!!(+_+)

◆教育実習生◆
 9月は教育実習の季節。N学園にも毎年卒業生が戻って来るのですが、今年の実習生は私が初めてN学園に来た年の高校3年生。選択生物で11人だけのクラスを担当したのですが、その中の一人が実習生としてやってきました。文系の生徒で専門は社会ですが、私にとっては初!の教え子登場に、ちょっと感激しました。(^^)

◆維管束(道管と師管)の観察◆
 中学1年の理科2では、植物を扱い、根から吸い上げた水がどこを通っていくのか観察する授業があります。
 単子葉植物と双子葉植物(単子葉は葉脈が平行なトウモロコシやイネの仲間、双子葉は葉脈が網目状のアサガオやヒマワリの仲間)を色水につけて、道管(水が通る道)を染めてから、茎を輪切りにして違いを観察します。

 昨年は教科書通り、トウモロコシとヒマワリを使って観察したのですが、今年、授業で使うつもりで夏休みにまいた種が、暑さのためか??腐ってしまい…!(x。x)
 しかたなく観察に適した植物を色々調べて、今年はアスパラガスとブロッコリーを使ってみました。

 これが、なかなかヒットでした!ヒマワリは切り花にすると枯れるのが早くて扱いにくかったのですが、ブロッコリーは水の吸い上げも早いし、断面が大きくて道管もくっきりわかるし。
 アスパラガスとの違いも顕著で(単子葉は茎の断面に道管が散らばり、双子葉では断面を縁取るように輪の形に並んでいる)、なかなかインパクトが強く、おすすめですよ。(^_^)

◆白い花を赤く…◆
 せっかく赤い色水を作ったので、白い花(菊とバラ)を赤く染めよう!という実験もしました!赤い色水にさしておくと、葉脈も花びらも赤く染まるので、道管を通った水が全身に行き渡っていく様子が観察できます。
 それだけではつまらないので、菊の茎を縦に裂き、片方を赤い色水の試験管に、もう片方を緑の色水の試験管にさして机の上に置いておきました。
 そうすると、半分が赤、半分が緑の菊になるハズです。(これ、一度やってみたかったんだよね〜〜!)

 これは、職員室でかなりウケました。先生も生徒も、どんどん2色に染まっていく菊の花を「おもしろい」とか「気持ち悪い」とか言いながら毎日見に来ました。
 やってみてわかりましたが、花を染めるなら蕾を使うのがコツです。花が開いていくときに沢山水を吸うのでしょう。もう開ききった菊(3本100円だった!)は、ほとんど色がつきませんでした。
 それと、茎を裂いて2色にするなら菊の方がいいですが(茎が太いので)、ただ染めるだけならバラの方がわかりやすいです。高いので1本しか買わなかったのですが、なんと翌日…
「昨日はバイトの子が値段を間違えて高く売ってしまったので、お詫びに…」と、お花屋さんから白バラが5本も届いて感激しました♪♪(領収書に書いた学校名を頼りに持ってきてくれたらしい。)
 このバラも着色しましたが、他にもこんなに使い方が…!!(次の項へ続く)

◆液体窒素で遊ぼう!◆
 SPPの太陽の電波観測に、液体窒素が必要で(検波回路の特性を観測するために利用する?)、9月のある土曜日に液体窒素を取り寄せ、測定することになりました。
 で、理科主任が言うには…「液体窒素、余りそうだよ。せっかくだから何か凍らせて遊ぼう!バナナを凍らせると本当にクギが打てるよ。何か凍らせたいもの持ってきて」

 でも私は土曜が勤務日ではなく(N学園は土曜授業なのですが)、他の予定が入っていたので行かれない!検波回路の計測はともかく(!?)「液体窒素で遊びたかった〜、残念だ〜!」と騒いでいたら(だって液体窒素見たことないし!)、主任がこっそり「じゃ、金曜日に届けてもらうから、放課後ちょっとだけ遊ぶ??」

 やった!!!\(^_^)/ ってことで、金曜日の放課後、主任と講師の先生3人で「予備実験」と称し物理室へ。火傷防止のため、軍手の上からゴム手袋。
 大きめのビーカーに液体窒素を注ぎ入れ…
@まずはソフトテニスのゴムボール!
 約200度の温度差のため、物を入れるとものすごい勢いで沸騰し、まるで天ぷらを揚げている気分。とりだしたボールに金づちをそっと当てると、
    パリン!!!!!
 きゃーっ!と声が出るほど、粉々になるゴムボール!まるで電球を割った感じです。
Aふくらませた風船
 どんどん縮んで、なんと中の空気が液体に!!Oh!かすかな水色!液体空気!

 液体窒素はどんどん蒸発するので「早く早く!!」と大忙し。

B私の実験道具?バラと菊と、ブロッコリーとアスパラガス
 花の部分を凍らせて、そっと握ると、ばりばりばりっ!!あっと言う間に粉々に。
 やはり、バラに勝る感触はありませんが、菊もブロッコリーもなかなかいい手応え。アスパラガスは、2本凍らせて叩いてみたら、ポキンと折れました。備長炭みたいにカンカンという音を期待したのですが、ちょっと液体窒素が足りなくて温度が下がりきらなかったかも。
D豆腐を凍らせたら、「豆腐の角に頭をぶつけて死ねる」くらい固くなるか??
 これ、かなり興味津々でしたが、残念ながらチーズくらいにしかなりませんでした。液体窒素、やっぱり足りなかったんじゃないかなぁ。もう少しほしかったな〜〜!!

 4人できゃーきゃー騒ぎながら、これだけやって10〜15分。温度差200度の世界はやはり一見の価値があります。すごいです。
 ところで気がついてみると、無惨な足下。割る時はパリパリの固い破片だけど、粉々になり床に散らばって常温に戻った植物たちは、あわれな生ゴミ。(^^ゞ)
 新聞紙を敷いておくべきだったと反省しながらお掃除しました。

 全部終わって、職員室に戻りつつ、22歳講師のT先生が「あ〜、こんなに楽しい実験、実習生の子も誘えば良かったですね!」と興奮さめやらぬ様子で発言。たまたま理科の実習生を見つけたので、「明日の午後、空いてる?液体窒素で実験するからおいでよ」とT先生が声をかけました。
 するとその実習生、
「あ、エキチですか?ボク、毎日研究室で使ってますけど!」

 エ、…エキチ…。 君、液体窒素、珍しくないんだ…。どこの大学?青山学院理工学部?ふ〜〜〜ん。
 一気にテンションが下がる、私とT先生。

 すると彼は、空気の変化を察知したかのように、とても明るく、「あ、でも、ボク実験大好きなんで、喜んで参加させて頂きます!!」と言ってくれました。

 実習生に気をつかわせてどーする、みたいなオチでした。(-.-;)

 その後、土曜日の実験はどうだったのか。

 誰に聞いても、「液チ」で遊んだ話しかしてくれないので、検波回路の方がうまく計測できたのか、よくわかりません。(^^;)
 でも、楽しかったのは事実のようでした。(^_^)
 熱帯魚を一気に凍らせて、また生き返らせる実験は失敗したみたいですが。(゜_゜;)

 ま、理科は、楽しくないとね。(^^)

2010. 9. 26  斎藤 範子(Hanko)



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