第11回

慈善事業 = 施し(ほどこし)

二面性

慈善事業は、要するに「施し」ですが、二面性を持ちます。
一つは、涙を流すことによって;豚のサンタ
      束の間の逃避を行う、あるいは
      現実を受け入れる現象と類似の現象であり、
もう一つは、既存の社会経済体制を肯定し続けるための一助です。

何れの面も私小説的な、ある意味で純文学的な、無政府的な行為です。それでも、是正に向かう過渡的なものであれば良いのですが…

未熟な政治

基本的なイメージは、金持ちが貧乏人に施しをする、というものですね。そこに、旧態依然とした未熟な政治を感じてしまいます…

少数の富裕者たち(人口の4-5%)が相対的に益々金持ちになり、大多数の低所得者層が益々貧困生活に追いやられるという社会経済メカニズムが機能している現実世界においては、政治が富の配分を適切に行わない限り、基本的人権を忘れ去った施しという慈善事業が幅を利かせ続けてゆくことでしょう。

萎んでしまった米国の中産階級

日本の政治は、今でも米国の政治結果に追従しています。米国では、1980年代の後半、租税のシステム変更を初めとする社会政策の転換によって、中層階級が壊滅的な打撃を受け、低層階級との境界線が殆ど無くなりました。日本も、2001年からの小泉政権に象徴される、自己責任・受益者負担・地方及び福祉の切り捨て、市場原理等の促進によって、一億総中産階級といわれた社会は破壊され、大きな格差社会となってしまいました。

今度の新政権が米国追従の政策志向を断ち切る道標を形作ることに期待したいものですね。




                                  日本企業力の幻想