復活の時
前田智徳
ベースボールの神様に一つだけ願い事をするなら・・・。
前田智徳が右アキレス腱断劣という重症を負ったのは、このインタビューから3年後のことだった。それからの復活劇は読者諸兄、周知のとおりだが、前田は「あの時点で前田智徳というバッターは死んでしまったんです。」と言い、それ以上、多くのことを語ろうとはしない。そう言えば、彼はこんなことも言った。
「ケガする前まではね、誰よりも自分のことに期待していたんです。どこまで成長するんだろうか、と考えると、毎日が楽しかったんですよ。それが今ではね・・・」
天才打者・前田智徳にとって、負傷以降の野球人生は、いわば「余生」みたいなものなのかもしれない。
もし、ベースボールの神様がいて、ひとつだけ願いがかなうとすれば、せめて1シーズン、負傷前のアキレス腱で前田智徳に思う存分、バットを振らせてやりたい。
「伝説の世界」の住人になるには、あまりにも早過ぎる。