DHと代打〜最強の代打屋


高井の記録は今後も破れない。なぜなら・・・

 それに付随する話しだが、若かりし頃、400勝投手の金田正一は、練習中、真夏でも手首まである長袖のアンダーシャツを着込んで投げ込みを行った。「暑くないか?」と同僚が訊ねると「ピッチャーはヒジを冷やしたらあかんのよ」と真面目な顔で答えた。これが新聞記者に伝わり、「金田の自己管理を見習うべし!」的な記事が紙面を飾った。金田は一躍「プロの鑑」となった。
 しかし、金田の真の目的は「手首のスジを隠すこと」にあった。当時、そこまで注意深く目を光らせるスコアラーがいたとは思えないが、金田は用心に用心を重ねた上で、カムフラージュのセリフまで用意した。400勝はこうした”完全犯罪”の上に成立した不滅の記録なのである。
 同様に、高井の代打ホームラン記録が塗り替えられる可能性にしても、私は肯定的ではない。なぜなら”高井メモ”を上回る衝撃の虎の巻が、私の知る限り、今の球界に存在しないからである。