直線上に配置

山伏岳(1315m)・高松岳(1348m)
やまぶしだけ        たかまつだけ

2007.10.8(月)の記録
 概   要  両山とも秋田県南部に位置し、山形・宮城の県境にも近い。東北のへそと言われている地域で、栗駒国定公園内にあり、栗駒山の西側。高松岳は東北100名山。登山路は泥湯・高松岳・山伏岳・川原毛の周回コースがポピュラーなようだ。今回はツアーバスのお陰で秋の宮温泉の高倉沢口から山伏岳・高松岳・泥湯をたどる縦走コースとなった。
 このコースは@ぶどう平からのブナ林帯の急登A屏風のコルから山伏岳の稜線のスリルB山伏から高松への稜線のぬかるみC高松岳から石神山分岐まで稜線の紅葉D新湯や泥湯の温泉の風情、等が印象に残った。天候が良ければこれに加えて360度の展望と爽快な稜線歩きが楽しめたのだが・・・。当日はただ7時間黙々と歩き、雨に打たれ続けた静寂の山であった。
 場   所
 交   通
 古川ICから、国道108号で鬼首トンネルを抜けて秋の宮温泉へ。温泉郷から右折し、谷地ノ沢集落に入り、更に未舗装の林道を高倉沢沿いに登っていく。道巾の狭いくねくね道。高倉沢登山口は駐車スペース数台あり。
 帰路は泥湯から川原毛地獄を通り(カーブ多い)、秋の宮温泉に戻り108号からは往復同じ道。(私は帰りに車酔い)
 注   意
 事   項
 今回のコースの登山道には全行程に道標が完備されている。高倉沢登山口から屏風尾根のコルまでは、道標はあるが、あまり人が入らないコースなのか、草丈が伸びた所もある。屏風尾根のコルから山伏岳への尾根は痩せており、右側が切れているので、路肩を踏み外さないよう注意が必要。
 山伏岳からはよく踏まれている。分岐には道標もあるので、迷う場所もないと思う。但し、山伏岳から高松岳の稜線は樹木で風は防げるが、雨の場合深いぬかるみがあり、うっかりはまるとふくらはぎまで泥没する。
 高松岳から石神山に向かう稜線は右手(南側)が切れて崖になっている箇所もあるので、風が強い時には注意が必要。
 小安岳からの下りは疲れた足には長く感じられ、木の根や笹に足を取られて左側の谷に滑りそうだ。一箇所ロープの張られた崖の通過がある。急な下り坂はないが、長いので飽きる。
 新湯周辺は硫黄臭があり、風のない時は長居しない方賢明。トイレは高松岳避難小屋のみで、山中にはありません。
 コ ー ス
 タ イ ム
 仙台駅西口→(古川IC→あら伊達な道の駅休憩)(車2時間20分)→秋の宮登山口林道末端→(歩50分)→ぶどう平→(歩25分)→稜線→(歩50分)→山伏岳→(歩分)→川原毛分岐→(歩70分)→高松岳避難小屋→(歩10分)→高松岳最高地点→(歩10分)→高松岳避難小屋→(歩40分)→石神山分岐→(歩20分)→子安岳水場→(歩時間40分)→登山口→(歩分)→泥湯温泉→(車2時間30分)→仙台駅西口
 ※歩行時間:6時間20分+休憩40分=登山行程7時間
 ※男性7名(内ガイド2名)、女性8名
 ガ イ ド
 ブ ッ ク
「秋田県の山」山と渓谷社
地図:国土地理院「秋の宮」1/50000図

 ↑観光課マップより   ※カシミール3D使用
※地図をクリックすると拡大します


 東北100名山の高松岳。仙台から自力運転は厳しいので、、A社のツアー
に山伏・高松岳があることを知り、今回初めて申し込みしてみた。登山専門
のツアー会社で、参加人数が比較的少なくても催行してくれるのが有り難い。
 チーフ、サブのガイド2名が就き、車内でもコース概要や携行品、注意点
等細かい指導があり、今までの登山ツアーには無い緊張感が。
→秋の宮から林道へ
 仙台駅西口6時10分集合。泉中央でも乗客を乗せ、泉ICから古川IC、岩出山の道の駅で一回休憩。鳴子から108号で鬼首トンネルを経て秋の宮温泉郷へ。温泉を右折し高倉沢沿いに林道を3km余り登ると山伏岳登山口に到着。雨だ。
→登山口
 林道は小型のバスがやっと通れるような砂利道だったが、数台の駐車スペースはあり、バスも切り返しが出来た。広場で準備体操、野外トイレを済ませ出発。ガイドから、雨天なので荷物を軽く、寒いのでフリース、暗くなった場合のヘッドランプ、水1.5リットル必携等細かい指示が出た。
→歩き出して30分経過
 暗い森の中を進む。左に沢があるはずのだが水音が聞こえない。ぬかるみは無く、登山道はやや藪がかぶった所もあるが、しっかりついている。衣類の調整をするようガイドの指示あり。寒いと思って厚着をしてきたので、やや汗をかく。雨具は万全なのだが、雨の日の下着こそ高機能素材にすべきだった。
→約50分でぶどう平到着

 秋田県の道標。ぶどう平とある。この山中には要所にこの道標が完備されている。山伏まで2.5kmとある。
 雨でもあり、休憩は短め。お気楽な休憩に慣れてしまっていたので、せわしなく行動食を立ったまま食べる。若い頃の合宿を思い出す。でも、皆さんこのツアーに慣れていらっしゃるのか、身支度も早く淡々としている。
→ぶどう平から上は急坂

 ここからは、急登だそう。ブナの大木が見え始め、コシアブラなどの葉が黄色くなり始めていた。倒木には、ホコリタケ等のキノコもあり、ガイドからも説明があった。ホコリタケは若い頃は食べられるそうだ。カニコウモリもあった。
→登山口から60分の所

 ぶどう平から急登になるとすぐに道標があり、右にびょうぶ尾根の標示。ガイド氏によると、一般ルートでないので藪っぽく、急峻なびょうぶ尾根を通ってびょうぶのコルに出る熟達者向けのコースだそうです。
→稜線に出た所の道標

 ぶどう平からの急登に25分程息を切らすと、びょうぶのコルと呼ばれる稜線に出た。道標があり
  山伏岳 ←↓→びょうぶ尾根
        登山口       
と書かれている。登山口から1時間15分経過。
→稜線(屏風のコル)付近

 まだ1100m付近なので木々があり、ガスの為に展望は利かない。数分の休憩タイムに、素早く行動食を口に入れ水分を補給する。ガイドはメンバーの体力の差をチェックし、弱い人を2番手に配置する。
→前衛峰を越えた付近
 稜線に出てから山伏岳まで直線で500m強の道のりだが、間に前衛峰がある。ジャンダルムと呼ぶには迫力に欠けるが、進行方向右側が切れた狭い尾根なので、ガイドから数回注意を促される。メンバーはガイドの忠告を後ろに忠実に伝える。写真は後を振り返った所。
→山伏岳までもう少し!

 資料によると右手には高松岳が見え、屏風尾根の断崖が眼下に迫る眺望のいい場所らしい。残念。
→山伏岳に到着

 屏風のコルから約50分で山伏岳に到着。チーフガイドが山頂で皆に握手で到着を確認する。雨で難路だったので、握手にも様々な思いがよぎる。ここまで無事に連れて来て頂き感謝!私は素直にそう思いました。
→三角点
 山伏岳の山頂は割合に広く、標柱がある場所と三角点がある場所と、休憩場所が2箇所ある。雨なので、皆立って休憩。高松まではまだ1時間はあるので、お団子等の行動食を摂る。私は緊急時にガス欠で力が出なかった経験から、常に空腹にならぬようこまめに補食します。ただの食いしん坊とも言う。
→いい道だわ

 山伏山頂からは藪が無く、借り払いされたような急に良い道になる。
 左手には鳥海山がみえるはず・・・。
→川原毛登山口分岐
 山伏岳山頂から数分で川原毛地獄への分岐に到着。マイカーで来た場合は、周回するこのコースのお世話になる。今回は泥湯下山口にバスを回して貰えるツアーならではの縦走コース。山伏岳登山口を秋の宮高倉沢を選んだのは、A社ならではの粋な計らい。
→高松岳避難小屋に到着

 山伏岳から高松岳の間には一つピークがあり、アップダウンで約70分かかりました。この間の道は雨でぬかるみ田んぼのようになった箇所もあり、少々難儀。ただ私は雨具の下に、短スパッツをつけていたので、靴下は濡らさずに済みました。
→虎毛山への分岐

 小屋に着いてすぐに荷物を置き、小屋から南側に張り出した尾根上にある、高松岳最高地点まで行きます。頂上直下に虎毛山へ分岐があり、12.8kmもあるとの事。
→高松岳最高地点

 避難小屋から片道10分弱で到着。何も見えません。山頂からは、湯ノ又温泉に下る道もついています。
 ここで2度目のガイドとの握手で、お互いを労う。ガイドとの信頼感は深まり、メンバーの疲労度チェックも兼ねていると思われる。
→山頂から小屋方向

 何も見えませんが、ツツジ系の木が真っ赤。ミネカエデも色づき、ミヤマナラにはどんぐりがついていた。
→小屋に戻る途中

 稜線には、ドウダンツツジ、ミヤマナラ、アカミノイヌツゲ、ナナカマド、イチイなどが見られました。
→小屋の内部(2階)

 15人で土間は一杯となり、やっと座るスペースを確保して昼食となりました。休憩時間も20分と短め。
 小屋は入口が一つで2階建。玄関を入ると左側にトイレがありました。
→小屋の内部(1階)

 1階には棚がある。中は暗いが、雨など荒天時には小屋は有り難く、黄金の御殿となります。小屋の中でも動いていないと寒く、厚着で丁度いい感じでした。
→高松岳を後に
 高松岳から小安岳の1200m付近稜線の紅葉が見ごろで、道脇の木々は高松岳からの下り付近が綺麗でした。
 途中、ガイドから「この方向に虎毛山、あちらに栗駒山」と説明を受けますが、ガスに曇るスクリーンに山姿は思い浮かびませんでした。
→石神山分岐

 まっすぐ行くと石神山ですが、稜線を90度折れて泥湯温泉に下る道に入ります。高松岳避難小屋から、約35分。
 この先に1292mの小安岳頂上に至る分岐もありましたが、小安岳は割愛してそのまま山腹を巻いて下る道を進みました。
→小安岳下の水場

 小安岳の直下に小さな沢があり、そこが水場になっていました。(石神山分岐から20分、小屋から55分)
 登山口から5時間半もトイレに行っていないので、あまりガブ飲みは出来ませんでしたが、冷たくて美味しく感じました。3分休憩。
→カニの横這いのような難所

 小屋から1時間40分経過。左手の谷が深く、右側に露岩の壁がある場所があった。ロープが張られているので、一人ずつ慎重に通過する。
 この頃からメンバーに疲れが見え始め、木の根に足を滑らす人も。
→新湯の湯けむり
 
 横這い岩から35分下って、やっと新湯に到着。湯煙が上がっている。ここから下に湯を引いているのか、黒いホースが沢を下っている。ホースは暖かだったが、沢の水は冷たかった。
→泥湯登山口に下山

 新湯から25分かかり、やっと泥湯の登山口に下山。高松岳の小屋から2時間40分かかりました。
 ここでチーフガイドと3度目の握手。彼もホッとしたことでしょう。若いのに統率力、信頼度、好感度共に抜群。お疲れさまでした。
→泥湯駐車場に到着
 登山口から車道を2〜3分歩いて、泥湯温泉に到着。午後4時10分になっていた。(7時間の登山終了)
 入浴料500円を払い、私は空いている露天風呂だけの右側の温泉(洗い場無し)に入る。
 帰路は秋の宮温泉郷を通り、往路と同じく岩出山で休憩一回で、仙台駅には夜8時15分に到着しました。

   ●出合った植物

→ツリバナの実?
 高倉沢登山口の林道脇で見つけた。可愛い実だ。
→ノリウツギ?

 避難小屋から高松岳最高地点に向かう途中の登山口で見つける。標高1300mのこんな時期まで咲いているのが驚き。 他には、稜線上には名残のウメバチソウ、エゾリンドウ、ツバメノオモトの青い実、イワカガミの葉、等が見られた。

参考文献:「葉 実 樹皮で確実にわかる樹木図鑑」鈴木庸夫著 日本文芸社

※ 記載事項に関して、一切の責任は取りかねますので、ご了承下さい。
また誤りがあれば、どうぞ
MAILにてご指摘お願いします。


             山伏岳 ・ 高松岳 に関する補遺


 ●今年参加したツアー登山の感想

 今年は、ツアー登山を5回利用したので、おおまかに感想を書いてみました。
良かった点の方が多いので、おそらく今後も利用する事になると思います。

  ★良かった点
1.冬山など自力では困難な場所にも、安全に案内して貰える
2.自力では運転困難な遠路も、疲れずに登れる。
3.体力が無くても参加できるハイキングツアーもあり、選択の巾が広い。
4.ツアーガイドさんに色々教えてもらえる。
5.自分で行くより料金が安い事が多い。
6.一人でも気楽に参加できる。

  ★ややもの足りなかった点
1.団体行動なので、写真を自由に撮れない。
2.申し込みしても、催行人員に達しないと催行しないことも多い。

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