ADSL既存の電話回線を使用するデジタル通信

さて、ADSLの続きです。ご存じのように、ADSL(Asymmetric Digital Subsriber Line)は既存の電話回線を使ったデジタル式通信方式ですね。電話と混線しないのは、音声を伝達する際には使わない高周波数帯域を利用するからです。“A”はAsymmetricの頭文字で、「非対称の」を意味します。これは、ダウンロード(下り)とアップロード(上り)の速度が異なりますよということです。我々がサイトを見たりメールを受け取るときがダウンロードで、メールを送信したり自分のホームページにファイルを伝送したりするときがアップロードです。

NTTフレッツADSL

NTTのフレッツADSLでは、下りの速度が1Mbps〜47Mbpsの範囲で幾つかの料金体系があります。47Mbps(下り)5Mbps(上り)の速度が最速で、月額料金も一番高いです。注意が必要なことは、最速の47Mbpsの契約をしても、47Mbpsどころか1Mbpsの速度もでないという場合があることです。それだったら、料金の安い1.5Mbpsか8Mbpsの速度を契約した方が得でしょう。

ADSLのサービス利用契約は、既存の電話回線を利用するので大変簡単です。
しかし、大きな問題もいくつか抱えているようですね。

厄介な問題

一番大きな問題は、NTT収容ビル(局)から自宅までの距離長くなるに従って伝送損失が大きくなり、通信状態が不安定になるということです。より速い契約速度の恩恵を享受できるのは、局と自宅との間の線路距離2Km(20dB)までが基本のようですね。
自宅までの線路距離と伝送損失は「線路距離情報開示システム」で簡単にチェックできます。
伝送損失ごとの通信速度の目安は「通信速度チェックコーナー」で調べられます。勿論、必ずしも目安の速度が得られるということではありません… 私の場合では、目安速度の40%〜55%の範囲でぶれます。局から私の家間までの線路距離は約4.5Kmもあり、伝送損失は41dBですから不安定のようですね。

次に頭の痛い問題なんですが、ADSLは殆どの家電製品からマイナス影響を受けてしまうのです。特に、モデムの側に家電製品があった場合は、速度が結構落ちます。側にない場合でも、適切なノイズフィルタを付けると速度が向上するようです。この問題は家の中だけではなく、外部でも色々とマイナス影響を受けているようですね。例えば、私の自宅から2Kmほど離れたところで行われていた地下鉄工事が完了しましたら、ADSLの速度が30%ていど向上したんです。
従って、局からの線路距離が短くても、途中でノイズを発生させる環境があった場合は速度が高く出ないようです。

それから、雨が多い日は速度が落ちます。これは場所にも拠るんでしょうが、NTTでも"ありうる"と言っていますので、私の場合だけではないようです。

実は、何にも保証されていないサービス!?

まあ、以上が一般的に知られている問題ですが、さらに大きな疑問もあります。
光回線の通信速度もそうですが、ADSLの通信速度はベスト・エフォートで、47Mbpsなどと 謳われている速度は最高の環境が整った場合の理論値みたいなもののようです。
つまり、局から自宅までの線路距離が100メーター以内であったとしても、47Mbpsという速度は出ません…たとえモデムまでのリンク速度であったとしてもです。

私はフレッツ・モアIII(47Mbps) を使っています。リンク速度(モデム時点での速度)は1.9Mbps〜3Mbpsです。3Mbpsはモデムの電源を入れ直した後、数時間しか維持できませんでした。通常は2.8Mbpsでしたが、去年の後半から2.4Mbpsに落ち、今年はさらに1.9Mbpsに落ちてしまっています。
PC時点での速度(スループット)はリンク速度(伝送速度)の80%近いですので、モデムからPCまでの調整上の問題はないと思います。
実際の速度が低いにも拘わらず47Mbpsを使用する理由は、47Mbpsの方が他のタイプより多少なりとも速度が速いからです(私の場合)。%では向上率は高いですね。

昨年、リンク速度が落ちてしまい回復しませんでしたのでNTT東日本(116)に問い合わせてみたんです。チェックの結果、NTT東日本の方では改善できる要素はないとのことでした。チェックして下さった方が大変良心的で、念のため局(NTT収容ビル)での速度もチェックして下さったのですが、35Mbps(!?)が出てるので問題ありませんと言われました。

大いなる疑問

とにかく礼を告げて、その場はお終いにしたのですが、疑問がムラムラっと湧いてきました。そこで、NTT東日本にE-Mailで問い合わせしたのです。
フレッツ・モアIIIでお世話になっている者ですが、どの時点で47Mbpsの速度が出ているのでしょうか、局の時点でしょうか、それとも中央局(あるとすれば)の時点でしょうか?という質問です。
返事は、ベスト・エフォート型ですので速度が保証されているわけではなく環境によって実際の速度は変わります、という質問の趣旨から外れた内容でした。再度E-mailを出したのですが、紋切り型の返事で、NTT東日本内で47Mbpsという速度が出ているのか否かの件には全く触れられていませんでした。私の三度目のE-Mailに対する返事はなく、ついに無視されてしまいました。アンタッチャブルの件だったようですね。

しかし、理論値だけで商売できるんですかねぇ?? なんかシックリしませんよね。
なんとなく詐欺商法のような感じを抱いてしまいませんか?


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