光通信
私の住まいは600世帯を超す大型マンションの中にあります。三菱地所が建てた物で、今となっては古いです。特に広くはありませんが、環境その他を含めて住み心地には特別な不満もありません。ただ、管理組合の会計報告書を見ますと、三菱地所傘下の管理会社に随分と無駄な経費を使わされているようです。工事や購買をする場合に、何故か合い見積もりを取らないで、その管理会社の言いなりなんですよね。楽なんですよ、その方が…自主的にやると責任問題が発生する可能性もありますから。
マンション
実は3年ほど前にADSLを止めて光通信(FTTH) にしようと思い、NTT東日本の116番に電話をしてBフレッツ・マンションタイプ導入の相談をしたんです。聞いて驚いたことに、何と当マンションには光ケーブルが既に配線されているということでした。しかも、マンションタイプは既に当マンションの理事会に断られているので導入はできませんと言われたんです!? !? どっ、どういうことなんだあ?これは、と憤然としたわけです。

会報をよく見ていなかった自分の落ち度ではありますが、理事長に確かめたところ、光マンションタイプは「つなぐネットコミュニケーションズ」というプロバイダがやっていますとのこと。
「つなぐネット?聞いたこと無いなあ。他のプロバイダでも良いんでしょう?」
「マンションタイプはダメです」
「エーッ、そこと独占契約をしてるんですかあ?」
「独占契約というわけでもないんですが、マンションタイプはダメといことですね」
「それを独占契約というんですよ! 他のタイプだったら良いんですね?」
「他のタイプがどういうものか分かりませんが、契約には入っていないはずですから問題ないとは思いますが…」
カッカしてきたので取りあえずそれで済まして、つなぐネットコミュニケーションズを調べてみることにしました。

(株)つなぐネットコミュニケーションズ(http://www.tsunagunet.com/)は2001年に丸紅、三菱地所及び東京建物の三社で設立された新しい会社だったんです。通信関係の経験は丸紅が多少ある程度で、他の二社は全くないはずです。
なあ〜るほど、と合点がゆき段々と腹が立ってきたものの、信じられないことに独占契約をマンションの理事会が結んでしまっているようなので今更どうしようもありません。くそ、袖の下をもらいやがったな、と一人で虚しく毒づいただけです。

ケーブルドラムそこで、再度116番に電話して月額基本料がエラク高いニューファミリー・タイプを検討することにしたんです。NTT東日本の下請け工事会社の二人が調査用のケーブルドラムを持ってきて、LANケーブルをマンションのMDF(Main Distribution Frame=主配線盤)からマンション内の私の家まで配線できるかどうかを調べました。可能ということが確認されましたので、理事長に電話してニューファミリー・タイプの導入許可を求めたんです。一応、理事の人達と相談してみますとのことでしたので待ってますと、数日後に理事長から電話が入りました。

「ニューファミリー・タイプでもマンション内で配線しますよね。それは設備環境を変えることになり理事会ではなく総会の決議事項になりますので、理事会では許可できないということになりました」
「エーッ!? 配線といっても細いLANケーブルを電話線の管に通すだけですよ。しかも、そんなもの必要に応じていつでも取り外せるんですから、設備環境を変えるなんて範疇に入らないんじゃないですか? 外から見えるもんじゃなし…」
「そう言われても、困りましたねぇ… 私個人としては問題なさそうに思うんですが、実は、どうしても反対だという理事がいるんでね… 」
「誰ですか、その方は? 一人ですか、二人ですか? 自分が説得しますよ」
「いや、そういうふうに言われましても… 一応理事会の主だった意見として総会の決議ということになりましたので…」
「ところで、どうしてつなぐネットとだけ契約したんですか?回線はNTT東日本ですよね。しかも、8回線も来ているそうです。つなぐネットが使用しているのは1回線だけだそうですね」
「最初にNTTに声を賭けたそうですが、NTTの光配線調査では、マンション入り口のところでどうしても詰まってしまって、配線不可能という判断だったということです。ところが、つなぐネットからの売り込みがあり、つなぐネットの調査では配線可能ということになったので、つなぐネットと契約したそうです」
「何処が配線工費をしたんですか?つなぐネットじゃないでしょう。実際にはNTTが配線工事をしたんでしょう?」
「そうなんでしょうね。つなぐネットがやったとは聞いてませんので…」
「光ケーブルの配線技術において、つなぐネットがNTTより優れているとも思えませし、実際にはNTTが配線したと聞いています。変じゃありませんか?何故、配線技術で秀でているNTTの調査では不可能で、つなぐネットの調査では可能だったんでしょうか?それとも、つなぐネットの配線技術でもってNTTが配線したとでもいうんでしょうか?」
「それはないと思います。実際には、つなぐネットの調査した既設の配線経路でNTTが配線工事をやったんでしょう」
お姉さんの怒り顔「ということは、つなぐネットにはマンション敷地の詳細な既設の配線図面を出したが、NTTには出さなかったということじゃないんですか?」
「いやあ〜、そういうわけでもないんでしょうが…何しろ前の理事長さんの時のことで、私は又聞いているだけですので…」

これ以上のらりくらりの理事長さんと話し続けても根負けするだけですので、ニューファミリー・タイプの件を総会に架けて下さるようお願いして引き下がった次第です。結局は、1年経っても当の理事長さんから何ら返事がありませんでした。

といういわけで、熱しやすく冷めやすく長い物には巻かれるタイプの自分としては、やはりニューファミリー・タイプは高すぎるのでつなぐネットを検討してみたんですが…
エーッ!? 工事費を一万円以上も取るの?IP電話の基本料もありなのォ〜。月額基本料も高めじゃないかあ。ホームページのコンテンツも殆どゼロだし、こりゃあ時勢の流れに完全に逆行しているプロバイダーだ!挙げ句の果てに、E-mailでの担当者の返事が横柄だときている。これじゃ、ADSLで我慢した方がよっぽど精神衛生上マシだあ、と思わされてしまったんです。

そんなこんなで3年経ち、たまたま同じ棟の知人と立ち話をしていた時に、つなぐネットによる独占は問題なので知人も入会はしていないということでした。やはり、怒っている住人は少なくないだろうという話になり、私がマンションの理事会宛に公開質問書を出すことにしたんです。単純明快に疑問を投げかけましたので、却って効果が高かったようです。直ぐに担当理事から電話があり、理事長を始めとする数人の理事達と会って話をすることになりました。

3年も経ってましたので理事長も他の理事達も替わっており、担当理事以外は光通信に複数の選択肢を持つべきだという意見でした。率先して話を進める人が誰もいなかったので、私の公開質問が切っ掛けになり、これで話を進められるということになったんです。ただ、担当理事だけが、やけにつなぐネットの肩を持つ発言をしていましたので、こいつ囲い込まれているな、と感じました。

つなぐネットとと契約したときの担当理事も話しに参加しましたので、色々と当時の経緯も聞けたんです。3年後に見直しをする5年契約をしており、マンション側が契約を更新しない時は、つなぐネットが設置した設備をマンション側が買い取るというの内容の条件付きです。
「大体にして契約すること自体がナンセンスですよね。NTTもそういう契約下でなければ配線しないということもない筈ですし。何故やったんですか?」
「いや、そういうものだと言われたものですから。一般的にはどうなっているのか知らなかったんです」
「設備の買い取り条項が付いてるそうですが、買い取るときの金額は明記してあるのですか?」
「それは相場ということで、明記はしてないです」
「あなたは当時の相場はお訊きになったんですか?幾らと言ってましたか?」
「いや、訊かなかったので知らないんです」
「エッ!? お知りにならない… ということは、おおよその金額すら判らずに契約したんですね。もし、数千万円と言われたら、貴方はどうなさいます?それでも契約してましたか?」
「!?…… 」
「勿論、そんなに高価な設備ではないと思いますが、たとえ10万円であったとしても、それを知らずに契約すること自体が問題だと思います」

などと話を進めた結果、NTT東日本のBフレッツを検討することになり、2週間後にNTT東日本の営業の方と技術の方数人がきてマンション内の調査がなされました。
調査内容によりますと、つなぐネットが行っているイーサネット(LAN)方式ですと、古いマンションのためMDFからの配管が細すぎて各棟の精々30%程度の戸数にしか配線できないということでした。つまり、つなぐネットは、そのことを知りつつLAN方式で配線したわけですから…早い者勝ちのようなサービスでしかないわけです。当時の担当理事がこのことを知った上で契約したとしたら問題です。

NTT東日本が勧めるVDSL(Very high Speed Digital Subscriber Line)方式ですと、MDFまで光ケーブルを配線し、それ以降は既存の電話回線を使用しますので希望者全員が光通信を利用できるわけです。技術の方にも確認したのですが、VDSL方式でも電話回線の部分はADSL同様ノイズの影響を受けるそうです。従って、室内環境によってはノイズ対策が必要かもしれませんね。

残念ながら、MDFがある大きな扉の中にはVDSL装置を据え付けるスペースがありませんでので、ホールの壁に直接付けることになります。大きな扉の中に据え付けられるのであれば理事会だけの決議で事足りるということでしたが、ホールに付けるとなると総会に架けざるを得ないということになりました。
チョットまてよ。自分がニューファミリー・タイプをお願いした時はMDFから既存の配管を通して単に配線するだけだったのに、理事長たちは総会に架けなくてはならないと言ったはずだが… イヤガラセだったんだ!

そんなこんなで、私も世間並みに光通信が利用できそうな気配になってきました。総会は今月の予定ですので、三菱側からのイヤガラセがなければ、6月末までには開通できるかもしれません。
6月か7月には事後報告させていただきます。ホント、あほらしくも長い道のりです。

約一ヶ月後の報告です。
当マンションもBフレッツ・マンションタイプが8月上旬に開通することになりました。何故二ヶ月以上も掛かるのか分かりませんが、兎に角、我が家も後二ヶ月半もすると光通信が可能になります。


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