パタンの2次元的な要素と3次元的な要素の違い・とよく耳にしますがパタンの2次元・3次元とはどの様な事を意味している
のか?を考えてみましょう。
ダミー上にドレーピングして組み上がったトワルのパタンは勿論3次元です。しかし
これを一旦平らに展開して平面状にし、紙の上に写しとったパタンは云うまでもなく2次元>です。
ですから2次元と3次元の
パタンとは平面パタンに現れた性質を示す表現で、更に云えばパタンを作製する『考え方の相違』と云えるのです。
C {A} と {B}とを較べて見ると
前者は前巾全体の拡大する分量の中に前首巾、乳間の拡大分量が埋め込まれてしまい、更に脇の拡大分量も繋がってしまうので、相互の間の拡大分量
の相対的な関係は判らなくなってしまう。
具体的に云うち前巾の拡大は先ず前首巾を拡大し、(左方向に移動し)前首巾点を決めて、続けて乳間の拡大分量を拡大して(左方向に差を+して)
乳頭点の位置を決め、更に前巾の拡大分量から乳間の拡大分量を差し引いて重心線を拡げる、と云う操作になる。
拡大分量の計算はバランス通りに動いていても前巾に対する各ポイントの相対的な拡大分量の関係が感じとれないのと、重心線が動いて脇の拡大分量
が繋がってしまうので、特にデザイン・パタンのダーツが展開され、基準線が動いて変化するデザインパタンでは拡大操作を行う事が難しくなる。
これが前面+脇面を繋げた前中心線基準の『2次元のパタン見方』の特徴である。
D これに対して{B}では重心線が基準であるから(→前巾、<右へ>←前首巾<左へ>)、(→前巾<右へ>、←乳間<左へ>)と前巾の拡大分量
が動いて前首巾、乳間の拡大分量は逆に『行って戻る』関係になるので前巾の拡大分量に対する前肩巾、乳間の各拡大分量は相対的に
見届けられ,比較できる。
しかも脇側は基準の反対側へ拡大するので前面とは別個に対応する事が出来る。
これが前面+脇面を分離して拡大した重心線基準の『3次元のパタン見方』の特徴である。
E ダミーから作成されたパタン、ミっチェル式、ミューラー式等のいずれの方式で作成された平面パタンはすべて2次元の平面パタンであるのに違いは
なく、それらが組み立てられてシルエットを形成する時に始めて3次元の造形になる。
従って組み上がったパタンが,イメージしたシルエットになる様にコントロール出来る平面パタンがより有利、と云う事になる。その為に{A}又は{B}の
どちらが操作しやすいか?が2次元と3次元のパタンの意味の相違である。
F だから2次元と3次元のパタンの相違とはパタンを操作する『考え方の相違』の意味であってパタンに相違がある訳ではない、
と云う事ができる。
この事はダミーから作られたパタンであっても、平面製図で造られたパタンであっても、そのパタンを扱う『考え方』が3次元であれば立体的な
パタンとして完成する事になる。
G 従って{B}の重心線を基準にバランスを考え、イメージに従って変更〜修正の操作を行い、つまり3次元的に操作して組み上げればよりイメージ
に近いシルエットを完成することが可能にまる。
2次元、或は3次元的なパタンと通常,言葉にする事が多いが、その意味は技術の性質について述べているのであってダミーから作成したパタンでも
{A}の扱いをすれば平面的(2次元的)になり、平面製図で作成したパタンであっても重心線からのバランスを考えて{B}の扱いをすれば立体的(3次元的)
になるのである。
◎ これは原型の製図方法にも適用される考え方で【HP46項】では原型の製図方法が二つあり、
【A】 前後の中心線を基準として描く方法と
【B】 重心線を基準として描く方法について述べたが
これはイメージを表現し易い製図方法は【B】のミューラー方式であり、(3次元)【A】のミチェル式の製図方法は仮縫い〜補正の課程を必要とする
方式(2次元)である事を原型の製図法に関連して述べたので、此の稿ではパタンの変更・修正と云う観点から同じ事を扱ったのである。