ブラウス・シャツ(2)

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ストレート系の短い上衣にブラウスとシャツがあります。ブラウスはインナーとしても着られ、変化の多いジャンルです。シャツは運動量の多いもので夏季には最も一般的な上着として着られます。

ブラウス



    後ろ身頃
  • トルソー原型をの輪郭線・基準線をコピーします。但しウエストのダーツ線は移しません。


  • E からブラウス丈を取ってGLとします
    (このケースでは背丈+ヒップ丈=58.3 cm としました。)


  • E 〜 G を結んで延長し後ろ中心線とします。Sb 〜 Pb を結んで脇線とします。


  • Pb から後ろ中心線に直角線を出し、交点を L として L 〜 Pb を後ろの裾線とします。


  • C から水平線を出して袖繰り線との交点を C1 とし、垂直線を出して後ろ裾線との交点をC2 とし、C1 〜 C 〜 C2 を切り開き線とします。


  • M から垂直線を出して切り開き線とします。


  • C1 を基点にしてC1 〜 C 〜 C2 を脇側方向に回転させてトルソ原型のヒップ線での交差分量を開きます。バスト・ウエスト・ヒップの各線は脇方向に傾斜します。


  • M からの切り開き線の位置で 0.4 cm 水平に移動して後ろ巾を拡大し、M は開いた中央に移動してダーツ線を記入し直します。

  • 脇線では後ろカマ巾をバスト線を 0.2 cm 延長し、脇線を平行に移動します。



  • 前身頃
  • C から垂直線を下ろして裾線との交点を C2 とし、C1 〜 C 〜 C2を結んで「切り開き線」とします。


  • 前身頃
  • 後ろの GL 〜 L 下に伸びた寸法と同量を L から下にとり Lf とし,H2 〜 Lf を前中心線とします。後ろと同様に Sf 〜 Pf を結んで脇線とします。


  • Lf から水平線を Bp の真下まで出し、Pf へは滑らかな曲線で結び、前裾線とします。


  • Bp からの垂直線を切り開き線とし、其の位置で 0.2 cm 水平に移動します。Bp は脇側とし、乳頭間隔は 0.2 cm 拡大しました。


  • 肩丈の拡大
    肩回りをゆったりとさせる為に肩丈に緩みを加えます。此処では肩丈のみですがアウトウエアーとする場合はカマ丈を 1.0 〜 2.0 cm 深くしたり、更にパット 分量を加えたりする場合もあり、目的とするシルエットにより、分量を調節します。操作は『パタンの操作』の項で述べた通りです。

  • C からの水平線と脇の Sb から上に上げた垂直線の交点、Y と肩ダーツ点 M とを結び、M を基点にして M 〜 M2 〜 ab を上方向に回転させ、袖繰り線の m 点で 0.5 cm 開きます。後ろ肩ダーツは少し狭くなります。



  • 前身頃では移動したBp を中心にダーツ線を引き直し、d からの水平線と脇の Sf から上に上げた垂直線の交点、X とBp を結び、切り開き線とします。


  • Bp を基点にして Bp 〜 f 〜 Ab を上方向に回転させ、袖繰り線の d1 点で 0.5 cm 開きます。前肩ダーツは少し狭くなります。



  • ストレート・ドレスとの相違
    ストレート・ドレスとの相違は少なく、丈が短いのとゆるみも似ています。ブラウスの特徴は肩まわりがゆったりとしている点で、肩回りのゆるみは雰囲気を左右します。
    軟らかい素材の場合は少なめに、張りのある素材の場合は多めに・・と工夫します

    『ゆとり』を背巾線・重心線の位置で入れるのはこの線が体型の側面と前面・背面との角になるからです。フレアー等も同じですが体型を立体的に感じさせるのは主に 『体型の奥行き』を表現する事がポイントです。その為には『側面』の表現が大切です。

    パタン上では面の角を切り開くとバスト・ウエスト線は脇方向に上がって来ます。これを組み立てて着用するとカマ巾のバスト線から裾線の面は下に押し下げられて脇面は 前後方向に押し出され、開いた分量は体型の角の位置に収まります。

シャツ

シャツは運動量の多い直線裁断のシルエットで夏季には最も一般的な上着として着られます。2000年代の日本では日常生活上に最も大切な「着易さ」の観点からこの ジャンルの衣服は素材も多様化してスポーツウエアーとして一般化されています。慣習的な裁断が使われていますがもっと研究されてもよい分野だと思われます。
この裁断は最も体型から離れるシルエットの為、トルソー原型から拡大するよりは直接原型を描く方がよいと思われます。

    ☆緩み分量の決定
    緩み分量はブラウス・ドレスがウエストの緩みの調節が主なポイントでしたがシャツは大きく異なり、肩巾・バスト・カマ丈等へも配分するのでシルエットは大きく 変わります。

    ☆枠取り
    最初に全体の枠を決めます。この段階でゆるみの入った全体像が決まるのでゆるみのバランスを考慮して描きます。
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  • 始めに縦のバランスを描きます。画面の左端の垂直線を引き、A 〜 GL と後ろ丈を取り、A から以下のように配分します。
    A 〜 E = 後ろ首丈
    A 〜 Wb= 後ろ丈
    E 〜 Wb= 背丈
    Wb 〜 GL= ヒップ丈
    E 〜 L1= シャツ丈
    この例では背丈 + ヒップ丈 + 6.5 cm = シャツ丈としました。


  • GL から右へ水平線を出してヒップ線とし、2.0 cm 右の点を G として E と結び、下へ延長して後ろ中心線とします。


  • A から下へカマ丈+ゆるみ( A 〜 Bb) を取り、右へ水平線を出してバスト線とします。後ろ中心線との交点を Bc とします。


  • Bc から右へ
    後ろ巾+ゆるみ(Bc 〜 Bw)
    カマ巾+ゆるみ(Bw 〜 Bg)
    前巾+ゆるみ(Bg 〜 Bf)、を取ります。


  • Bw,Bg,Bf から上下へ垂直線を出して背巾線、重心線、前中心線とします。


  • E から右へ水平線を出して背巾線との交点を a とします。


  • A から右へ水平線を出して後ろ首巾+ゆるみ( A 〜 h )を取ります。


  • Wb から右へ水平線を出してウエスト線とし、後ろ中心線との交点を Wc, 前中心線との交点を wf とします。


  • L1 から右へ水平線を出して裾線とし、後ろ中心線との交点を L2, 前中心線との交点を Gf とします。


  • Bw 〜 Bg (カマ巾+ゆるみ)を2等分して脇点 S とし、S から下へ垂直線を出してL1 からの水平線との交点をL4 とします。



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  • 前中心線の Bf から左へ乳頭間隔+ゆるみ(Bf + ゆるみ)を取り、b から上下に垂直線を出して乳頭線とします。


  • 乳頭線とウエスト線との交点 v から上に垂直線を出して前丈 ( v 〜 vl )を取ります。


  • vl から右へ水平線を出して前中心線との交点を H1 とし、前中心線との交点を H1 ,下へ前首丈+ゆるみ ( H1 〜 H2),左へ前首巾+ゆるみ(H1 〜 H)を取ります。


  • H からの垂直線と H2 からの水平線を出して交点を H3 とします。


  • H から乳丈( H 〜 Bp)の寸法をコンパスに取り、H を基点に円弧を振り、乳頭線との交点を Bp とします。


  • ☆衿ぐり線・肩線の記入


  • E 〜 h を湾曲線で結び、後ろ衿ぐり線とします。


  • H3 〜 H1 を結んで3等分し、H3 から一つ目を目安に「して H 〜 H2 を湾曲線で結び、後ろ衿ぐり線とします。


  • 後ろ肩線の記入は a から 1.5 cm 下の点を ah とし、ah から右へ 1.5 cm の点を肩点 ab とします。h 〜ab を結んで後ろ肩線とします。
    ah 〜 Bw = 後ろ肩丈+ゆるみ、E 〜 ab = 後ろ肩巾、となります。

    ☆このシャツ原型では後ろ肩ダーツを取りませんから、
    後ろ肩丈のゆるみは肩丈との関係で決まり、
    後ろ肩巾の寸法は 後ろ巾のゆるみと関連があります。

  • Bg から上へ、後ろの( ah 〜 Bw ) - 0.5 cm を取って Ah とし、Ah から水平に左へ後ろの ( ah 〜 ab ) と同寸法を取って、前肩点 ( Ab )とします。
    Bg 〜 Ah = 前肩丈+ゆるみ


  • Bp から半径=Bp 〜 H の円弧を振り、更に Ab から半径=h 〜 ab(後ろの肩線) の円弧を振り、交点を Hs として前身頃のネックポイントを決めます。


  • Hs 〜 Ab を結んで肩線,Hs 〜 Bp 〜 H を結んで前肩ダーツ線とします。

    ☆袖ぐり線の記入
  • Bw 〜 ah を4等分し、Bw から一つ目を C,それより 1.0 cm 右を C1 として、ab 〜 C1 〜 S を繋がりのよい湾曲線で結んで後ろ袖ぐり線とします。


  • Bg から上へ Bw 〜 C と同寸法を取り、d とし、d の 0.5 cm 左を d1 として、Ad 〜 d1 〜 S を繋がりのよい湾曲線で結んで前袖ぐり線とします。


  • Bw 〜 Bg (カマ巾+ゆるみ)を4等分し、その 1/4 の寸法を Bg から上に取ってaE とし、左へ水平線を出して袖ぐり船との交点を Ae とします。Ae 〜 Ae = 1.4 cm くらいになります。


  • ☆脇線・裾線の記入
  • S からの垂直線と裾線との交点を L4 とし、左右に 0.5 cm をとってQf,Qb とし、S 〜 Qf,S 〜 Qb を結んで前脇線、後ろ脇線とします。


  • Qb から後ろ中心線に直角線を出して交点を L として後ろの裾線とします。


  • L3 から後ろの L2 〜 L と同寸法を下にとり Lf として Lf 〜 L を滑らかな曲線で結んで前裾線とします。


  • 地ノ目線は前身では前中心線に通し、後ろ身ではE 〜 L の後ろ中心線に通します。
    後ろ身を左右続けて裁断する場合はストレート・ドレスと同様にします。 左右のバスト線は多少下がりますが組み立てた場合に背面のシルエットは綺麗に落ちます。


  • ☆前肩ダーツの処理
    一般的には前肩ダーツはないケースが多いのでその操作を行います。袖ぐりに移すと前肩丈が後ろと比べて多くなり、袖まわりにゆとりが入り過ぎるので裾線に逃がして フレアー分量で調節します。
  • Bp から垂直線を出し、裾線との交点を A とし、Bp 〜 A を切り開き線とします。


  • aE から垂直線を出し、裾線との交点を B とし、Ae 〜 aE を切り開き線とします。


  • Bp を基点としてBp 〜 A を回転させて前肩ダーツを閉じ、分量を裾線に逃がします。


  • Ae を基点としてBp 〜 A を回転させて開いた裾線の分量の半分を B の位置で重ねて広がった裾線のバランスを取ります。


  • 地ノ目線は前中心線に通します。Bp からのバスト・ウエスト・ヒップ線は脇方向に上がり、着用した状態では脇は押し下げられて前方向へのフレアーになります。


  • シャツのパタンのポイント前巾・後ろ巾と肩巾のバランスです。身巾が広いと肩巾は対応して拡がり、ゆったりしますが肩は広すぎて落ちるようになります。逆に狭ければ肩巾は収まりますが身巾は窮屈になります。それで肩巾を最初に設定しておいて、それに合わせて身巾のバランスを取るのが実際的な方法と思われます。


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