プリンセス・ドレス&ブラウス(4)

二つのシルエットの相違

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プリンセス・ドレス

    準備

  •  トルソー原型の輪郭線・基準線をウエスト・ダーツを除いてコピーします。


  • 後ろ身頃では後ろ中心線 ( Wc 〜 G) を延長し、L1 からの水平線との交点を L とします。


  • 後ろ脇線の Pb から垂直線をだし、L1 からの水平線との交点より 2.5 cm 外側を Qb として Pb 〜 Qb を結びます。


  • 前身頃では前中心線の Gf から下へ後ろ身頃の GL 〜 L1 と同寸法を取って L2 とし、左へ水平線をだします。


  • 前脇線の Pf から垂直線をだし、L2 からの水平線との交点より 3.0 cm 外側を Qf として Pf 〜 Qf を結びます。



  • ウエストでは重心線の Wg から前へ「前ウエスト+ゆるみ」=Wg 〜 tv をとり、tv 〜 Wf を前のダーツ分量とします。
    Wg 〜tv = 14.5 + 1.0 cm = 15.5 cm


  • 重心線の Wg から後ろへ「後ろウエスト+ゆるみ」=Wg 〜 th をとり、th 〜 We を後ろと脇のダーツ分量とし、次のように分けます。
    Wg 〜th = 17.5 + 2.5 cm = 20.0 cm.
    1.2 cm = 脇あきのダーツ分量。
    (th 〜 Wc) - 1.2 cm = 後ろのダーツ分量


  • ヒップ線では重心線の Gg から前へ「前ヒップ+ゆるみ」= Gg 〜 gv を取り、Gg 〜 gvv を前の交差分量とします。
    Gg 〜 gv = 17.0 + 2.0 cm = 19.0 cm


  • 重心線の Gg から後ろへ「後ろヒップ+ゆるみ」= Gg 〜 gh を取り、Gf 〜 gh を後ろの交差分量と後ろ中心の追加分量とします。
    Gg 〜gh = 28.0 + 1.5 = 29.5 cm


  • プリンセス・ラインの記入

    プリンセス・ラインの記入は体型を細く優美に見せる重要な要素です。ラインの入れ方により随分と印象が違って来るものですから、 ダミーの上にテストのトワルを着せ、視覚的に十分検討するようにします。
  • 後ろ肩ダーツの頂点 M を 0.7 〜 1.0 cm 脇側に寄せ、移動します。


  • 後ろのウエスト・ダーツは M の直下 m 点を 0.5 cm 脇側に寄せ、m' としてその左右にとります。


  • m’から垂直線を下ろし、ウエストで開いたダーツはヒップ線の 4.0 〜 5.0 cm 上で交差させ、裾線では左右に 2.5 cm づつ開いてフレアー分量とします。


  • 後ろ肩ダーツ・ウエスト・ダーツ・ヒップから裾線への交差分なぞの位置を繋がりよく結んで後ろのプリンセス・ラインを描きます。


  • 後ろ中心線で L を 1.5 cm 拡げて Wc と結び、裾線を描きます。


  • ウエストの脇線では 前後ともに Tb,Tf を内側に 0.6 cm (ウエストのダーツ分量の 1/2)移動し、脇線裾線を描きます。


  • 前肩ダーツは後ろに合わせ、Bp ではポイントを 0.7 〜1.0 cm 脇側に移動します。


  • 前のウエスト・ダーツは Bp の直下 v 点を 0.5 cm 脇側に寄せ、v' としてその左右にとります。


  • 前のプリンセス・ラインの交差位置はウエスト線とヒップ線の中央より 3.0 cm くらい下にし、裾で左に 3.5 cm 右に 2.5 cm の交差分を取ります。


  • 前肩ダーツ・ウエスト・ダーツ・ヒップから裾線への交差分なぞの位置を繋がりよく結んで前のプリンセス・ラインを描きます。


  • 前中心線を 0.5 cm 延長して Lf として前裾線を描きます。


  • 左はトルソー原型とプリンセス・ドレス原型のゆるみ表です。参考にしてください。

    次に脇身頃の地ノ目線の変更を行います。 これはプリンセス・ラインのシルエットを美しく演出する重要なポイントです。パタンは現状のままですと幾分フレアーは脇方向に逃げてしまう傾向が見られます。
    そこで脇身頃の 地ノ目線を反対方向に(前身では後ろ方向、後ろ身では前方向)に変更して脇点を上げ、着用した状態では脇が押し下げられ、脇身頃は前後方向に押し出されるように 地ノ目線を変更します。結果として着用した際のシルエットを安定させます。

    脇身頃の地ノ目線の変更

    ☆ 前脇身頃の操作
  • 前身頃の重心線とウエスト線の交点 Wg から前のウエストダーツ分量の 1/3 を脇側にとり、T 点とします。

    前ダーツ分量は tv 〜 Wf になります。パタンの実測値を計測して用いますが此処ではトルソー原型の計算値を使いますと(前巾 18.1 cm - 前ウエスト 15.5 cm = 2.6 cm × 1/3 ・・ 0.8 cm になります。
    この部分の操作はパタンが長くなり、振り回しが大変なので通常、ヒップ線から上部分を切り離して行い、完成後にして部分を繋げて丈を決定します。


  • aE 〜 T を結んで脇身頃の新しい地ノ目線とします。A から新地ノ目線に直角線を出し、脇線との交点を新Tf とします。


  • 元のTf 〜 Sf (脇点)をコンパスのとり、新 Tf を基点に Sf の上側に短い円弧を振ります。


  • 前の袖ぐり線の d 〜 Sf を別紙に写し、d を基点にして振り、先の円弧との交点を 新Sf とし、ab 〜 C1 〜 新Sb を結んで前袖繰り線とします。また新Sb 〜 新Tb を 結んで後ろ脇線の上部分とします。


  • ウエストから下の部分を写し、A 〜 B 〜 Pf 〜 Tf をA を基点に上に振って新Tf につけてウエストの下部分を完成します。


  • ☆ 後ろ脇身頃の操作
  • 前の脇線で上げたウエスト線の分量 Tf 〜 新Tf と同じ長さを後ろ身頃の Tb より上に取って 新Tb とし、新TB 〜 E を結んで新しいウエスト線とします。


  • 背巾線の C から新しいウエスト線に直角線を出して後ろ脇身頃の地ノ目線としましす。


  • 元のTb 〜 Sb (脇点)をコンパスのとり、新 Tb を基点に Sb の上側に短い円弧を振ります。


  • 後ろの袖ぐり線の C1 〜 Sb を別紙に写し、C1 を基点にして振り、先の円弧との交点を 新Sb とし、Ab 〜 d 〜 新Sf を結んで前袖繰り線とします。また新Sf 〜 新Tf を 結んで前脇線の上部分とします。


  • ウエストから下の部分を写し、E 〜F 〜 Pb 〜Tb をE を基点に上に振って新Tb につけてウエストの下部分を完成します。


  • 前後の脇尾身頃共にPf 〜 B、Pb 〜 F から下の部分を上に繋げて完成させます。


  • 何故パタンを曲げないで地ノ目線を変更するか?
    ウエスト線を傾斜させて地ノ目線を変更しましたが、一見すると A 〜 Tf からした部分を脇側にずらしてパタンを書き直せば良い ように思われます。そうすると体型の斜め方向に張り出さずますます脇方向に張り出すようになります。地ノ目線は縦方向に流れる性質があり、パタンの形だけではシルエット は決まらないからです。この操作のように地ノ目線を後ろと前方向に換え、脇点を上げると着用した際に脇点はした方向に押され、地ノ目線は直下の方向に流れる事に よってフレアーは斜め前後の方向に張り出すことなります。この操作は脇面のシルエットが上手く収まらない時に応用されるので理解しておきたい操作です。


プリンセス・ブラウス

    準備  及び プリンセス、ラインの記入

  •  トルソー原型の輪郭線・基準線をウエスト・ダーツを除いてコピーします。これはドレスの場合と同じです。


  • ウエスト・ヒップ線の前後の配分は左の表を参考にして下さい。


  •  E からブラウス丈をとってGL とします。此処では背丈+ヒップ丈= 58.5 cm をブラウス丈とします。


  •  重心線 Wg から前へ「前ウエスト14.5+ゆるみ0.5」= Wg 〜 tv(15.0 cm) をとり、tv 〜 Wf は前のダーツ分量となります。


  •  重心線 Wg から後ろへ「後ろウエスト17.5+ゆるみ2.5」= Wg 〜 th(20.0 cm) をとり、tv 〜 Wc は後ろのダーツ分量となります。ダーツ分量は二つに分け
    脇のダーツ分量=1.2 cm
    後ろのダーツ分量=(th 〜 Wc)- 1.2 cm とします。
  • ヒップ線では重心線の Gg から前へ「前ヒップ 17.0+ゆるみ1.5」= Gg 〜 gv (18.5 cm) をとり、gv 〜 Gf は前の交差分量となります。


  • 重心線の Gg から後ろへ「後ろヒップ 28.0+ゆるみ1.5」= Gg 〜 gh (29.5 cm) をとり、gh 〜 G は後ろの交差分量と中心線の追加分量となります。


  • 以下はどれすの場合とほぼ同じ操作です。
  • 後ろの肩ダーツ点の移動、・ウエストダーツとヒップの交差分の配置・前後のp厘セス・ラインを繋がりよく結びます。


  • Tb, Tf, 共に0.6 cm (脇のダーツ量の 1/2)内側に移動し、前後の脇線を記入します。


  • G を外側に 0.5 cm 移動し、後ろ中心線を引き直します。


  • 脇身頃の地ノ目線の変更

  • 前身頃の Wg より前のウエストダーツ量の 1/4 (註)をとり T とし、aE 〜 T を結んで延長し、前脇の新地ノ目線とします。


  • ウエストの A から aE 〜 T に直角線を出して脇線との交点を 新Tf とします。


  • Tf 〜 Sf をコンパスにとり、新Tf から上に短い円弧をふり、別紙に前袖繰り線の d 〜 Sf を写して d を基点に円弧を振り、脇線との交点を新Sf として新脇点とします。


  • 註 脇身頃の地ノ目線の変更量はドレスでは前ウエストダーツの 1/3 でしたがブラウスでは 1/4 にしました。この数値は素材の張りに よって加減します。ブラウスは薄い、柔らかい素材が多いのでドレスより少なめに設定しました。状況に応じて加減してください。

  • Ad 〜 d 〜 新Sf は新しい袖繰り線で、新Sf 〜新Tf は新しい脇線の上部分になります。ウエスト線から下部分、A 〜 B 〜 PF 〜 Tf を写してA を基点に上方向に 回転させて前脇身頃を完成します。


  • 後ろ身頃では前の Tf 〜 新Tf と同寸法を Tb より上にとり 新Tb とし、E と結んでウエスト線を変更し、それに C より直角線を出して新しい地ノ目線とします。


  • Tb 〜 Sb をコンパスにとり、新Tb から上に短い円弧をふり、別紙に前袖繰り線の C1 〜 Sb を写して C1 を基点に円弧を振り、脇線との交点を新Sb として新脇点とします。


  • Ab 〜 C1 〜 新Sb は新しい袖繰り線で、新Sb 〜新Tb は新しい脇線の上部分になります。ウエスト線から下部分、E 〜 F 〜 Pb 〜 Tb を写してE を基点に上方向に 回転させて後ろ脇身頃を完成します。


  • なおブラウスでは後ろ身頃を「ワナ」で裁断するケースがあります。その場合は E と G を結んで新前中心線とします。其のために 後ろウエスト線は増加されますので同分量を切り替え線でカットして調整します。なお後ろ身頃を「ワナ」の場合は後ろ中心線の地ノ目線を通します。

    体型の左右双方の紙張りを展開するとウエスト線は後ろ中心で約 2.0 cm 左右に開きます。
    これは後ろのウエストがくびれて居る ために肩甲骨の高さの位置に対して後ろウエストの位置は内側に入って(凹んで)いる為です。体型の肩甲骨の高さからウエストは丁度逆さまにした円錐形の側面のような 形をしているので、後ろ中心線に対してバスト線は垂直・水平には交差してないのです。ですから平面でバスト線を水平に、後ろ中心線を垂直に設定すると後ろ中心線は外側に押し出されるようになります。 それがトルソー原型でバスト線に対して後ろ中心線がウエストで脇側に入り込んでいる理由なのです。プリンセス・ラインのパタンでも同じです。
    更にプリンセスでは脇身頃の地ノ目線の設定はシルエットの安定のために少し脇側に傾斜させる ことで脇のフレアーの張り出しをコントロールします。
    シルエットをコントロールする為には『地ノ目線』がどの様にながれるか?に注目することが大切で其れによって操作の判断をして下さい。


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