フイティングの問題はパタン作成上最大の問題です。フイティング は、素材の選択やデザインなぞ以前の『洋服の土台・基礎』になるからです。
これはサイズと共に体型とパタンのバランスが合っているか、いないか?の問題で、大きく別けて『三つのポイント』があります。
実際には色々な原因が混ざってますので、 問題を理解するにはそれぞれのポイントから観察し、問題点を総合的に理解しなければなりません。
肩は衣服が体形の前後・側面に垂れ下がる場合の支点となり、シルエットを形成する土台です。うなじ(首の後側)と共に微妙な体形の曲面の「美しさ」 を表現する部位です。 だが着用した衣服に次の様な『感じ』(現象)があるとフィット感は今一つで落ち着きません。
『現象』胸元の襟元が開く。亦は浮いてたるむ。(図の表示)
『現象』後ろ襟が首に添はず、後ろに引かれる。或いは後ろ首にせり上がる(図の表示)
『現象』後ろ首ぐりの下に横に弛み皺が出る。(怒り肩の場合)腕の前後の身頃に弛みが出る。(撫ぜ肩の場合)(図の表示)
『現象』衣服の肩線が後ろ側へずれ落ちて落ち着かない。(図の表示)
試着して鏡を見たときに『何とはなしにスッキリ見える衣服』というのはバストのラインと共に首の後ろ側
から背面・ヒップのラインが
「スッキリ」見える服です。此処が後側に弛みが出たり、腰に横しわが出たりすると『何とはなしにピンと来ない衣服』になります。
『現象』ドレスやジャケットの後ろ側 ・中央に意図しないフレアーが飛び出て落ち着かない。(図の表示)
『現象』スカートの前部分が飛び出したり、側面にフレアーが出て前・後ろが脚に張り付いたり、綺麗に下に落ちない。(図の表示)
シルエットの大きなポイントはバスト線からウエスト、そしてヒップへの曲面が如何に美しく流れているか?にあると云えましょう。
前項の背面のフィットに沿って
バストから下へ落ちる曲線はB線に対するW,H線のバランスに左右されます。
『現象』背中は何となくゆっくりしているのに前身は開き気味で落ち着かない。又は背面が何となく窮屈で袖回りの前身が弛む。(図の表示)
『現象』スカートの前部分が飛び出したり、側面にフレアーが出て前・後ろが脚に張り付いたり、綺麗に下に落ちない。(図の表示)
しかもこれ等の原因は一つだけと云う場合は少なく、多くは幾つかの原因が混在しているケースが多いのです。ですから原因を理解する 為には『基準』が必要で、それが次に述べる『体型のバランス』と『パタンのバランス』の知識なのです。 このホームページでは双方の関連について解説したいと思います。
従ってこれ等の問題点の修正・解決には(A)「修正のやり方」を手っ取り早く知る方法と、(B)は体型の バランスからどのようにパタンのバランスを描いてゆくか?と云う「原理的な修正法」との2の経路があります。
(A)『原理的な修正法』へは次の『プロポーションとバランス』、『体型の理解の方法』に目を通して下さい。
(B)『パタンの修正』は直接的な修正方法にお進み下さい。
お急ぎの方はBを、どうしてそうするのか?と云う従来の洋裁の教え方に疑問をお持ちの方や暇のある方はAをご覧下さい。