シルエットの『崩れ』とその原因(3)
シルエットの崩れと『地ノ目線』
シルエットの崩れの修正には原因を見つけ、次いで『修正方法と修正分量』を考えるのが順序です。崩れの状況、余って出る
『しわ』足りなくて出る『しわ』、予期しないフレアー、弛み等、種々な場合があります。単純に分量を足したり、ダーツを増やして取ったりしても
返って崩れを助長してしまう事がよくあります。原因を知るのは経験が必要ですが一つの目安があります。
それは衣服の『地ノ目線の流れ』に注目することです。バランスが合っているパタンなら組み立てた時に体型基準線は水平であり、
垂直である筈で、地ノ目線はそれに沿って水平・垂直になっています。(デザインによる変化は別として)これが引かれていたり、余っていたり
すると何処かに不自然な「ツレ」や「しわ」が出ます。この様な「ツレ」や「しわ」は常時からだに圧迫となり、肩が凝ったり、気分に影響します。
この章では代表的なシルエットの崩れをイラストで示し、その原因を六つの『バランスの崩れ』に分解してみたものです。原因を見分ける際の参考に
してください。イラストの原因の終わりにある@〜E は修正の方法・操作の項を示す No,です。
- @前丈と後ろ丈のバランス
- A後ろ丈とカマ丈・肩丈のバランス
- B前後の首巾・前後の肩巾のバランス
- C前巾・カマ巾・後ろ巾のバランス
- D前巾・前ウエスト寸法・前ヒップ寸法のバランス
- E背面の設定のバランス
シルエットの崩れの具体的な例
【 1 】左端
現象〜衿が後ろへ抜ける。
原因〜後ろ丈が短い。@ 襟ぐり全体が大きい。B
【 2 】中央
現象〜後ろウエストのたるみ。
原因〜後ろ丈が長い。@ 後ろヒップ寸法が不足している。C 背面の設定が悪いE
- 【3】右端
現象〜袖ぐりからウエストの前中心に向かって出る引かれじわ。
原因〜前丈が長い。@
前ウエスト寸法の不足。E
【 4 】左端
現象〜袖ぐりの前側に出るカーブした「しわ」。
原因〜前丈が短い。@ 前肩幅が狭い。B 前ウエスト寸法の不足D
【 5 】中央
現象〜前の打ち合わせが裾で左右に開いてしまう(逃げる)。
原因〜前丈が長い。@ 袖ぐり全体に位置が低い。つまりカマ丈が深すぎる。A
【 6 】右端
現象〜前の打ち合わせが前で重なってしまう(拝む)。
原因〜前丈が短い。@ 袖ぐり全体に位置が高い。つまりカマ丈が浅過ぎる。A
【 7 】左端
現象〜肩甲骨から脇の下にかけて斜めの引かれじわが出る。
原因〜袖ぐり全体の位置が高い。つまりカマ丈が浅過ぎる。A
【 8 】中央
現象〜衿の後ろ側から脇の下にかけて出る斜めのしわ(たすきしわ)。
原因〜前の肩先点(ショルダーポイント)の位置が低い。つまり前肩丈が足りない。A 衿ぐり全体が小さい。B
【 9 】右端
現象〜衿の後ろ側に出る横じわ(突きしわ)。
原因〜後ろの肩先点(ショルダーポイント)の位置が低い。つまり後ろ肩丈が足りない。A 後ろ肩幅が狭い。B
【10 】左端
現象〜衿が首の後ろ側で高くせり上がる。
原因〜後ろの肩点の位置が低い。つまり後ろ肩丈が足りない。A前肩幅巾が狭い。B
【 11 】中央
現象〜脇の下から前後に出る横じわ)。
原因〜袖ぐりが浅い。つまり肩丈、カマ丈が短い・A カマ巾が不足してる。C ウエスト寸法が足りない。D
【 12 】右端
現象〜腕を上げ下げする際に袖に出るしわ。
原因〜袖ぐりが深い。つまり肩丈、カマ丈が長い。A
【 13 】左端
現象〜衿元が肩先に引かれる。(上の図)衿が付く場合はせり上がって来る。
原因〜前首巾、前肩巾が狭い。B下図は前身丈が長い、または前首丈が短いという原因が加わった場合。
【 14 】中央
現象〜衿元が弛む。
原因〜前首巾、前肩巾が広い。B
【 15 】右端
現象〜肩先からバストポイントに向けて出るたるみじわ。
原因〜前巾に対して前首巾、前肩巾が足りない。
【 16 】左端
現象〜首の横から脇の下に向けて出る弛みじわ。
原因〜前巾に対して前首巾、前巾が広い
【17 】中央
現象〜袖ぐりの前側に出る縦のたるみじわ。
原因〜後ろ巾が狭く、前巾が広すぎる。カマ巾が後ろ側により過ぎている。C前肩丈が足りない。A
【 18 】右端
現象〜脇からバストの頂点に向けて出る斜めのしわ。
原因〜前巾が不足している。C 前ウエスト寸法が
不足している。D
【19】左端 現象〜後ろのシルエットに予期しないフレアが出て落ち着かない。
【20】中央 現象〜ウエストを絞ってあるのに中央に峰が出て飛び出し、ダーツを絞れば絞るほどひどくなる。
【21】右端 現象〜ストレートのカットなのに変にフレアが出て真っ直ぐに落ちない。
原因〜背面のカットの構成が悪い。背面のパタンの設定を検討する。
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