パタンの修正(1)

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この項の修正
@後ろ丈と前丈のバランス修正
A後ろ丈とカマ丈・肩丈のバランス修正
B前後の首巾・前後の肩巾のバランス修正
C前巾・カマ巾・後ろ巾のバランス
D前巾・前ウエスト寸法・前ヒップ寸法のバランス
E背面の設定のバランス

☆9号のサンプルを同じサイズのモデルの何人かに着て貰い、共通して出るシルエットの『崩れ』があれば修正します。 修正は『崩れとその原因』の項で述べたように@~Eのバランスの何が原因か?また分量はどれほどか?を推測してから 実施します。

☆原型に近いデザインの場合は実施は比較的容易ですが、デザインによって原型から大きく変化している場合はどのように 変化しているか?をチェックし、元のあるべきポイント(体型分析の項でチェックした体型上の点)をデザインパタン上で確定して から行うようにします。

☆パタンのバランスの修正・変更はある部分の変更が他のバランスに影響するような操作は避けなければなりません。 例えば、前肩巾をいきなり広げれば後ろ肩巾と合わなくなってしまいますし、小肩巾を後ろと合わせるために首横の ネック・ポイントを広げれば前首巾が広がってしまいます。其のように変更する箇所の対応する他の部位とのバランスに 影響しないように操作を行うことに留意します。

@後ろ丈と前丈の修正

★前丈を 1.0 cm 拡げる操作〜前丈の拡大はウエスト線を基準にして首脇のネック・ポイントを垂直にあげ 、肩ダーツの分量を増加させます。

★後ろ丈を 1.0 cm 拡げる操作〜後ろ丈の拡大はウエスト線を基準にして首脇のネック・ポイントを垂直 にあげ、肩ダーツの分量を増加させます。またダーツの分量は増加させず、ネックポイントを上げるだけの場合があります。

★後ろ肩ダーツを拡げないまま、後ろ丈を拡大する操作

  • 衿ぐり線 h 〜 E を垂直に 1.0 cm 上げてh 〜 E' とします。h が 1.0 cm 上がるので後ろ丈は長くなります。

  • 肩線 h M1 を延長してM1 より M2 〜 ab の長さを取って ab' とします。ab' は肩ダーツを閉じた場合の肩点です。

  • h' 〜 ab' を結びます。ダーツ線 MM1 を延長してh' 〜 ab' との交点をM3 とします。


  • 別紙にダーツ線と肩線(M M1 ab')を写してM を押さえてab' abに交わるまで肩点側に倒し、M3 〜 M 〜 M4を結んで新しいダーツ線と します。ダーツ線はやや長くなりますがダーツ分量は変化しません。

  • h' 〜 M3,M4 〜 ab を結んで新しい後ろの肩線とします。


  • この操作のポイントは後ろ肩丈とダーツ分量は変化させずに後ろ丈を拡大しました。しかしこの操作では後ろ丈のみ拡大したので前肩丈 に変化がなければ肩の傾斜は幾分強くなって来ます。この点に留意して前肩丈との関係を確認する必要があります。


  • この方法は前身頃でもやれない事はありませんが、バストダーツは分量も多く、肩点が上がり袖ぐりの形が変化するケースがあり、多少無理 があるように思われます。避けた方が良いでしょう。

A後ろ丈とカマ丈・肩丈のバランス

☆ カマ丈、肩丈の修正は後ろ丈との関連を精査の上実施することが大切です。洋服は肩に支えられてシルエットを形成するものですから、 前丈・後ろ丈のバランスに続いて肩にピッタリとして前後にズレない、引かれない、脇側に落ちない、衿の座りのよい、バランスを保つように考えます。

修正には三つのケースが考えられます。

  • @ 肩丈はそのまま変えずにカマ丈を 1.0 cm 下げる。
    これは後ろ丈全体に対して袖ぐりを下げる事になり、肩点が下がって撫ぜ肩のパタンになる 操作です。


  • A カマ丈、肩丈共に 1.0 cm 下げる。
    これは後ろ丈に対して袖ぐりの下辺を下げる事になり、肩点の高さは変わりません。 袖ぐりの下に『緩み』を加える操作です。


  • B 前肩丈を 0.5cm 短くし、後ろ肩丈を0.5cm 長くする。
    これは標準より前肩の場合、肩点が後ろにずれるので肩点を前に変更する操作です。


  • 従って修正の目的を考えてから操作をに入ります。

@ 肩丈はそのまま変えずにカマ丈を 1.0 cm 下げる操作

  • カマ巾のバスト線(カマ下線=Bg 〜 Bw)を水平に 1.0 cm 下げて平行線を引きます。C1,S,d,も垂直に下げてC1',S'd',とします。
  • 肩点 Ab,ab,は背巾線、重心線に平行に 1.0 cm 下げてAb',ab' とします。
  • Ab' d' S' を結んで新しい前の袖ぐり線とし、ab' C1' S' を結んで新しい後ろの袖ぐり線とします。
  • 前肩線を記入するにはAb,f を結んで延長し、H 〜 e の長さを取り Hs とします。Hs はバストダーツを閉じた状態での首脇のネックポイントの位置です。
  • Hs から Ab' の新しい肩点とを結び、ダーツ線との交点を f ' とします。Ab が下がったのでBp - f' は Bp - f より少し短くなります。
  • Bp 〜 f' 〜 Hs を別紙に移してHs が H に合わさるまで前側に回転させて新しい H 〜 e' を印します。
  • H 〜 e'〜 Bp 〜 f' 〜 ab' を結んで新しい肩線、ダーツ線とします。
  • 後ろ肩線でも同様な操作になります。肩点 ab と M2 を結んで延長線上にh 〜M2 の長さを取り h' とします。h' は肩ダーツを閉じた状態での首脇のネックポイントの位置です。
  • h' からab' の新しい肩点とを結び、ダーツ線との交点をM2'' とします。ab' が下がったのでM -M2' は M -M2 より少し短くなります。
  • M 〜M2'' 〜 h' を別紙に移してh' が h に合わさるまで後ろ側に回転させて新しい h 〜 M1' を印します。
  • h 〜M1'〜M 〜M2 〜 ab' を結んで新しい肩線、ダーツ線とします。

☆ この肩ダーツ、バストダーツを閉じた状態での首の脇のネックポイントの位置を予め仮に設定して、肩線や袖ぐりの操作を行う、と云う手法は大変便利です。 慣れればパタンをスライドさせたり、回転させて新しい移動線を記入する等、非常に便利ます。

A カマ丈、肩丈共に 1.0 cm 下げる操作

  • カマ巾のバスト線(カマ下線)を 1.0 cm 平行に下げて Bw' 〜 Bg' とします。

  • 更にC1,S,d を 1.0 cm 下げて C1',S',d', とします。

  • ab 〜 d' 〜 S' 〜 C1 を結び直して新しい袖ぐり線とします。パタンを下方にスライドさせて袖ぐり線を写せばよい事になります。

  • 袖ぐりを浅くする場合は逆の操作をすればよいのです。


  • ☆この操作は単に袖ぐりの下の『緩み』を増加させる目的に使われ、後ろ丈、に対してカマ丈、肩丈には影響しません。アイテムによっては カマ巾とのバランスが崩れるので注意する必要があります。

B 前肩丈を 0.5cm 短くし、後ろ肩丈を0.5cm 長くする操作

  • ☆ これは肩点を 1.0 cm 前方向へずらし、移動する操作になります。@と同様な操作ですが前肩点を下げ、後ろ肩点を上げる操作のため、 肩点の位置は少し左右に動きます。それで肩丈をコンパスにとって肩点の位置を円弧に振って、その上に肩点nを設定する・・と云う点が異なります。
    • 後ろ肩線では後ろ肩丈(Bw 〜 ab) を 0.5 cm 伸ばして(Bw 〜 ab’)として新しい肩丈の高さの円弧を描きます。

    • 後ろ肩線 ab 〜 M2 を延長して M1〜 h の長さを取り、 h2 とします。

    • h2 を中心に、小肩巾( h ~ ab )を半径として円弧を描き、肩丈の円弧との交点を ab' として新しい後ろ肩点とし、h' と ab'を結び新しい 後ろ肩線とします。従って小肩幅の長さは変化しません。

    • 肩ダーツ線(M~M2) を伸ばして M2' を新肩線の上に印し、M1~h' を別紙に取り、h'を h に合わさるまで後ろ側に振り戻します。

    • 新しいダーツ点 M1'が決まりますので h~m1',M2'~ab'を結んで新しい肩線とし、 M1'~M~M2' を結んで新しいダーツ線とします。

    • 前肩線では前肩丈(Bg 〜 Ah) を 0.5 cm 伸ばして(Bg 〜Ah’)として新しい肩丈の高さの円弧を描きます。


    • 前肩線 Ab 〜f を延長してf ~ H の長さを取り、 Hs とします。

    • Hs を中心に、小肩巾(Hs~Ab) を半径として円弧を描き、肩丈の円弧との交点を Ab' として新しい後ろ肩点とし、Hs と Ab'を結び新しい 前肩線とします。従って小肩幅の長さは変化しません。

    • 肩ダーツ線(Bp~f)と新しい肩線との交点を f' として新肩線の上に印し、Hs~f' を別紙に取り、Hs を H に合わさるまで前側に振り戻します。

    • 新しいダーツ点 f’ が決まりますので H~e',f'~Ab'を結んで新しい肩線とし、f'~Bp~e' を結んで新しいバストのダーツ線とします。

    ☆肩の傾斜と肩の前方向への湾曲につては次の二つの点がポイントになります。

  • 後ろ肩丈に対するカマ丈の深さが深いほど袖ぐりは低くなり、「撫ぜ肩」になり、浅ければ逆に「怒り肩」にないます。


  • 下図のようにパタンを中心線を直線上に逆さに配置して脇のネックポイントを合わせて置き、水平線を引いて見ると肩線は上下に開き、標準の場合はネックポイントからの長さは
  • N.P. .→前肩点 = 4.5 cm
  • N.P, →後ろ肩点  = 3.5 cm


  • カマ丈が深く、肩丈が同一ならばこの間の開きは大きくなり、肩の傾斜は「撫ぜ肩」になり、浅ければ「怒り肩」になります。


  • またN.P→前肩点 が長く、N.P→後ろ肩点が短ければ、肩点は前方向にずれ、肩線は前方に湾曲して「前肩」にねり、またこれとは逆に前後の深さの差が少なければ 「引かれ肩」になります。


  • ☆ この肩線の深さ(前後の開き)と前後の開きのバランスの二つは肩線の適合具合を決定する要素ですので慎重に考慮してください。
  • B前後の首巾・前後の肩巾のバランス

    首巾の操作は肩巾と小肩巾との関連が生じます。バストダーツ、後ろ肩ダーツを縮小して首巾を増加するのが一般的な方法です。次に小肩巾・肩巾は其の侭にして( ダーツは変化しない)首巾のみ拡大する方法です。

      @ 首巾を拡大し、ダーツは減少して肩巾も増加する操作。小肩巾は変化しない。
      後ろ首巾
    • 衿ぐり線 ( h ~ E) の h から1/3 程のにQ 点を決め、q ~ M を結びます。

    • (M ~ Q ~ h ~ M1 ~ M) を別紙に写してM を中心に左へ 0.5 cm 倒して(M ~ Q' ~ h' ~ M1' ~ M) とします。

    • h' ~ Eを滑らかな線で結び新しい衿ぐり線とします。

    • 前首巾
    • 衿ぐり線 ( H ~ H2) の略中央に P 点を決め、P ~ Bp を結びます。

    • Bp ~ P ~ H ~e ~ B  を中心に H を肩側へ 0.5 cm 倒して(Bp ~ P ~ H ~e' ~ Bp) とします。

    • H' ~ H2 を滑らかな線で結び新しい衿ぐり線とします。
    操作の結果
  • 前後の首巾は 0.5 cm 拡大し、前後のダーツは狭くなります。
  • 前後の肩巾は P ~ P', Q ~ Q' と開いた分だけ広くなります。小肩巾は変化しません。
  • A 首巾を拡大し、ダーツは変わらず、肩巾は変化しない。小肩巾減少する。

      後ろ首巾
    • 首脇kのネックポイント( h ) を水平に 0.5 cm 移動して h' とします。

    • 肩線 ( h ~ M1 )を延長し、M1 より延長線上に M2 ~ ab を取り、 ab' とします。

    • h' ~ ab' を結び、新しい肩線とし、ダーツ線を延長して 交点を M1' とします。

    • 別紙にM ~ M1 ~ ab' を写し、M を中止に片側に振り、ab' を ab に合わせると新しいダーツ点 M2' が決まります。

    • h' ~ M1'+ M2' ~ ab は新しい肩線で、M1' ~ M ~ M2' は新しいダーツ線となります。

    • 前首巾
    • 肩線 Ab ~ f を延長して線上に H ~ e を取り、Hs とします。

    • Bp を中心に Hs ~ Bp をコンパスにとり、右へ短い円弧を描きます。

    • Hs を円弧上に右へ 0.5 cm 移動して Hs' を決め、Hs' ~ Ab を結び、ダーツ線 (f ~ Bp) を延長して交点を f' とします。

    • 別紙に Hs' ~ f' ~ Bp を写して、Bp を中心にしてダーツ線 (f' ~ Bp )が e ~ Bp に重なるまで左に戻し、 H' ~ e' ~ Bp とします。

    • H7 ~ e' , f' ~ Ab を結んで新しい肩線とし、 e' ~ Bp ~ f' は新しいダーツ線となります。

    操作の結果
  • 前後の首巾は 0.5cm拡大し、小肩幅は短くなります。ダーツ分量、肩巾は変化しません。
  • 以上の首巾・肩巾の変更の操作は製図では細部が面倒ですが、方法の意味を理解したら、パタンの上部分の補助パタンを作り、バストポイント、 肩甲骨ポイントを押さえて補助パタンを回転させながら行うと簡便になります。各自で工夫してください。

    以下は次のページです。

    C前巾・カマ巾・後ろ巾のバランス

    D前巾・前ウエスト寸法・前ヒップ寸法のバランス

    E背面の設定のバランス


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