パンタロン原型(1)
パンタロンと調整
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◎ 製図の順序〜トルソーは後ろ身頃から脚部は前身頃から
トルソでは後ろ身頃を中心に製図しましたが脚部では前身頃を軸に製図を進めます。上体では背面より前面の方が変化が多いのですが脚部では背面の方 (臀部)がより変化が多いので順序は逆になります。更に製図は片方について行い、次いで左右を合わせて完成します。
◎ 脚部のバランスと基準線
下半身のバランスは丈では身長に比例しますが細部はヒップに比例します。以下の寸法表のように脇丈・足丈・膝丈等は身長との関連しますが股上・ワタリ (足の前後の厚み)はヒップに関連して変化します。
◎ 前面と後ろ面との中心線の『ずれて』いる点です。
もう一つの特徴は前側の中心線と後ろ側のそれとは一寸ずれている事です。これは前面にたいして背面では臀部の多寡は斜め外側に張り出すからです。そのために先ず前身頃を製図し その上に中心を線をずらせて後ろ身頃を製図します。
パンタロン前身頃
☆ 前身頃の枠の設定
垂直線を引き、脇丈 S 〜 SL, 、股上 丈 B 〜 S, ヒップ線の位置 B 〜 G, 膝丈 K 〜 SL, くるぶしの位置、SL 〜 L をとります。
B,G,S,K,L,から右へ水平線を引き、ウエストのガイド線、ヒップ線、股上線、膝線、裾線とします。
G から右へ、前ヒップ巾 ( G 〜G1) 続けて前のワタリ巾 ( G1 〜 G2) をとります。
(註) G 〜 G1 は表面のヒップ線、G1 〜 G2 は股下に切れ込む分量です。
G1 から上下に垂直線をだし、ウエストガイド線との交点を B1,股上線との交点を S1 とします。
G 〜 G2 を2等分して中央を前の中心点 G3 とし、上下に垂直線を出して前折山線 ( B2〜 F )とします。ウエストのガイド線、膝線、裾線との交点を夫々 B2, K3, F とします。
F を中心にして前裾線 ( F1〜 F2 ) をとり、G 〜 F1, G2 〜 F2 を結びます。G2 〜 F2 と股上線との交点を S2 とします。
K3 〜 F を3等分し、K3 から一つめを W として、ふくらはぎの位置とします。
☆ 前股ぐり線の記入
B1 の 0.5 cm を左を B3, G1 の 0.5 cm 右を G4 として B3〜 G4 を結び、前の股ぐり線のガイドラインとします。
G1 〜 S2 を結び、その線に S1 から直角線を出します。
ヒップ線のS2 の 0.5 cm を外側を S3 とし、また脇側の G2 〜 F1 と股上線との交点から 0.5 cm を外側を S4 とします。
膝線と G 〜 F1 との交点から 0.5 cm を内側を K1 とし,内側の G2 〜 F2 との交点から 0.5 cm を内側を K2 とします。
B から左へ(前ウエスト(脇)+前ダーツ)をとり、[ 16.0 +1.5 +2.0 = 19.5 cm] 、ウエストガイド線から 1.0 cm 上に B4 として B4 〜 B3 を結んで 前ウエスト線とします。
(註)前のダーツ分量の計算と配分の目安
前ウエスト(脇)=ウエスト× 1/4 ( 64.0 cm × 1/4 ) = 16.0 cm
前ヒップ(脇)= ヒップ × 1/4 - 1.0 cm ( 90.0 cm × 1/4 - 1.0 cm) = 21.5 cm
前のダーツ分量= 前ヒップ(脇)−前ウエスト(脇)( 21.5 - 16.0 cm)= 5.5 cm
配分
前ダーツ= 1.5 cm(中心側)
前ダーツ=2.0 cm(脇側)
前中心ダーツ=0.5 cm ( B3 〜 B1)
脇側ダーツ=1.5 cm ( B 〜 B4)
☆ 前身頃の仕上げ線の記入
中心線のダーツは折り山線の左右にとります。脇側のダーツは B4 〜 中心側のダーツの中央から右側にとります。ダーツ線を記入したらウエスト線を訂正します。
前股繰り線は B3 〜 B4 はそのままの直線にして、G4〜S3はS1 からの直角線の 1.0 cm 内側を通って S3 に滑らかなわ湾曲線で繋げます。
前脇線は B4 〜 G 〜 S4 〜 K1 と緩やかな曲線で繋ぎ、K1 〜 F1 は直線で結びます。
前股繰り線は S3 〜 K2 は緩やかな曲線で繋ぎ、K2 〜 F2 は直線で結びます。
☆ 後ろ身頃の枠の設定
前の中心点 G3 の1.0 cm 右を g 点として後ろの中心点とし、さらに右へ続けて後ろヒップの基準巾 g 〜 g1 を取ります。
基準巾は=後ろヒップ× 1/4
S4 から上へ直角線を出して後ろヒップの倒し分 ( S4 〜 g2 ) 4.0 〜 6.0 cm を取り、g2 〜 g1 を結んで後ろ股繰り線のガイド線とします。
g2 〜 g1 に対して直角に g1 から直角線を出します。
前のヒップ線を左に延長し、g1 から出した直角のガイド線に直角定規を当てて滑らし、前ヒップ線の延長上に「後ろヒップ+緩み」寸法を決めて g4 点を確定し、 g3 〜 g4 を結んで後ろのヒップ線とします。
前身のヒップ線を右に延長してg4 〜 g と同寸法を g から更に右へとり、g 〜 G5 を確定します。
膝の位置では K1 から 2.0cm 外側を k1 として g4 〜 k1 を結んで上に延長して前ウエストのガイド線との交点を b とします。
膝の内側ではK2 から 2.0cm 外側を k2 として g5 〜 k2 を結んで内側縫い目線のガイド線とします。
裾では F1 の 2.0 cm 外側を f1 として f1 〜 k1 を結んで脇線とし、 F2 の 2.0 cm 外側を f2 として f2 〜 k2 を結んで内側縫い目線とします。
k2 〜 g5 の線上に前の内股線の K2 〜 S3 の寸法より - 0.5 cm 短い寸法を k2 から取って s" のマークをします。s" は後ろの股繰り線のガイド線です。
(註)説明〜この製図は特殊なので説明を加えます。
@ 先に述べたように前の G3 と後の g とずらすのはヒップの形状は前 より後は斜め後方向に張り出し、そのため g をずらせて立体組み上げて着用した状態では、後身頃は脇方向に引かれて丁度前後の中心が一致するように、との配慮 からです。製図上でずらしたのは股の状態を左右均衡して描くためにずらしたのです。
A g2 〜 g1 とガイド線を作るのは g3 〜 g4 〜 g1 の『倒しの角度』を設定するためです。ヒップ線は立体では前後は水平ですが、後は臀部が張り出し ている為にその部分を包む分量が必要です。そのために g3 〜 g4 〜 g1 の角度をつけて後の縫い目線を倒し、着用した際には膨らんだ臀部を包んで後縫い目線は 垂直になる様に倒したのです。
従って臀部の張り出しが少ない場合は S4 〜 g2 の長さを長くすれば『倒し分量』は少なくなり、張り出し分量は小さくなります。近年 のデニム・パンツの倒しは少なく、臀部はピッタリしたカットが好まれています。そのようにこの『倒しの角度』を調節することで調節は可能になります。
b 〜 K3 と同寸法をK3 から後の股ぐり線のガイド線上にとり、b1 とし、b 〜 b1 を結び、後ろのウエスト線とします。
b1 から左へ後ろウエスト(脇)+後ダーツの寸法 ( 16.0 + 2.3 + 3.0 = 21.3 cm ) をコンパスで振り,b2 とします。このウエスト線 ( b1 〜 b2 )上にダーツを配分します。
後ろウエストのダーツの計算と配分
後ろW(脇)=ウエスト× 1/4 (64.0 cm × 1/4 = 16.0 cm )
後ろヒップ(脇)+ゆるみ=ヒップ× 1/4 + 1.0 + 2.0 = 25.5 cm ( 90.0 cm × 1/4 + 1.0 + 2.0 )・・・この差がダーツ分量となります。
後ろのダーツ分量の目安
後ろヒップ+ゆるみー 後ろウエスト ( 25.5 cm - 16.0 cm = 9.5 cm)
2.3 cm = 後ろ中心側ダーツ、
3.0 cm = 後ろ脇側ダーツ、
残りの 4.2 cm = 脇あきのダーツ分量
☆ 後身頃の仕上げ線の記入
別紙に前の G 〜 B4 の曲線を写し、G を g4 に合わせ、 G4 をウエスト脇の円弧に合わせて b2 をきめます。後ろの脇線は b2〜 g4 を結び、k1 に繋げます。k1 〜 f1 は直線で結びます。
b1 を 0.5 cm 下げて b3 とし、b2〜 b3 を曲線で結び、後ろのウエスト線とします。
b3 から左へ(ウエスト× 1/8 - 1.0 cm )をとり、中心側のダーツの位置とします。(ウエスト× 1/8 - 1.0 cm = 64.0 × 1/8 - 1.0 ccm = 7.0 cm
脇側のダーツは中心側のダーツと b2 の中央にとります。ダーツ線を引いたらウエスト線を訂正します。
後ろの股ぐり線は b3 〜 g3 はそのまま直線として g3 〜 s はS2 を目安にして繋がりよく結びます。
後ろ股下線は s 〜 k2 は緩やかな曲線で結び、k2 〜 f2 は直線で結びます。
◎ 後のワタリの調整
パタンの前後の股下に切れ込んだ部分を『ワタリ』と云いますが、この部分のバランスが合わないと後の切れ込みに『たるみ』や 『ツレジワ』が出て見にくいシルエットになります。調整は前は動かさず後ろで行います。
ワタリ部分を追加したい場合に、後ろヒップの基準巾 ( g 〜 g1 )の寸法をワタリの増やしたい寸法 ( x )の 1/2 だけ減らします。すると g1 〜 b1 の位置は少し ( x )脇方向へ移動します。
同時に g3 〜 g4 の寸法は変わりませんからヒップ線はその分( x )だけ脇側に寄り、 g4 も脇側に寄ります。
g 点は動きませんから g4 〜 g は( x )増える事になります。
g4 〜 g を延長上にとり g 〜 g5 としますと ( x ) は2倍になり、g5 は元の位置より (2x)だけ外側に位置が移ります。
そのように脇点 g4 と股下の g5 点の位置を拡げてから改めて k1,k2 の膝点と結び直し、新しく股ぐり線を記入します。
(註)説明〜この調整の判断について説明を加えます。
ヒップ寸法は十分なのに股の前後に『たるみ』や『ツレジワ』が出る場合 『ワタリ』が適切なバランスでないのです。
g5 の位置だけ変えるとヒップ寸法は増加してしまい、全体として緩くなってしまう結果になります。其の為にヒップの基準巾 ( g 〜 g1 ) を調節してワタリのバランスを変更するのです。ワタリを減少させたい場合は逆の操作を行います。
Ladie's Patan Cutting のホームページ
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