パタンの基本操作の方法(2)

パタンの拡大・縮小・修正・変更の際の操作技術(2)
前丈・後ろ丈・前肩丈・後ろ肩丈・(カマ丈)

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前丈・後ろ丈の増減とその影響

  • 前丈・後ろ丈の増減については『修正の操作(1)』で示したので此処では図示のみにします。参照ください。


  • バスト・ラインの拡大の結果、シルエットは体から離れるのでカマ丈にも緩み分量を加えてバランスを取る必要が生じます。

    背面のゆとりに対して袖付けの前後にも同様のゆとりが無いと袖周りは窮屈な感じになるからです。さらに肩パットを使うようなケースには肩線を上げてカマ丈を上方向に 上げる必要が生じます。カマ丈を下に下げて拡大しては分量は同じでも着用した際には脇を引き上げるシルエットになりますので、避けなければなりません。

    操作の方法は(a)袖回り前後へのゆとりを加える方法と (b)更にパット分量を加える方法とを示しますので必要に応じて選択します。

    背丈・前身丈は連動して拡大しますので別に操作は必要ありませんが、例えば後ろ丈を拡大し、前丈を縮小する場合(屈伸体型への対応のケース)首周りが下がって 胸元が窮屈になったり、衿元が首に競りあがったりする場合には前身丈を短くする等、の操作を加えます。


  • パタンの拡大では平面上でスライドさせろ方法を使いましたが、肩回りの操作ではコンパスを使い、またはダーツを閉じて寸法を確認する等の円操作を使います。此れに慣れるとパタン操作の巾が広くなり大変便利です。

袖回りにゆとりを加えるカマ丈の増加方法

  • 肩丈に緩みを加える基本操作は肩ダーツを閉じて肩点を上げる操作です。
    左側の図のように M 〜 Yを結んだ線、及び M から水平線を出して袖ぐり線との交差させた点線を切り開き、M を中心に肩ダーツを閉じながら、回転させながら 肩線を上げ、分量はM 〜 Yを結んだ線、及び M から水平線に等分して分散させます。


  • 前身頃ではX 〜BPの線、及び(後ろ身の肩点から切り開き線までの長さ − 1.0 cm)の長さを肩先から取ってBp と結んだ線、の二ヶ所に、後ろカマ丈に入れた緩み 分量と同量を、肩ダーツを閉じながら入れ、肩線を上げます。


  • 下の図はゆるみの入った分量と位置を示したモノです。後ろ肩ダーツは閉じて袖繰りの前後は幾分平坦になり、袖繰り線は「卵型」の上部が開いてきます。袖も 袖ぐり線の増加分量は袖巾に加えて調整するので袖山は幾分低くなり、肩回りの表情は体型に密着しない「緩やかな」感じになります。


  • 更に肩パットを入れる為にカマ丈を増加させたい場合は図の肩線の下の点線のように目印を付け、h1,H4を基点に袖繰り線へ切り込みをいれ、(或いは回転させて) 前後等分に分量を加える操作をします。なお肩パットの増加分はダミーにパットを載せてない場合との差を実測して分量を決めてください。

肩ダーツ・バストダーツを変化させないカマ丈の増加方法

    肩ダーツ分量を変えたくない場合、肩ダーツ分量の無い場合は脇のネックポイントを基点にして肩点を上げる方法があります。図で見ると一寸ややこしいですが、 コンパスを使って点を探してゆく方法で慣れると非常に便利です。

  • @後ろ肩線を首側へ延長します。AM〜h をコンパスに取り、Mを基点に肩線上に円弧を振り、交点をAとします。


  • B次にAを基点にM〜ab をコンパスにとり、上に円弧を振り肩丈の増加分を取ってBとし、A〜Bを結びます。C元の肩線のダーツの位置(ab 〜 C)をBより取って Cとします。


  • 別紙にA ~ C ~ M を写してMを基点にしてA 〜 Cを振り戻してC' を決め、ダーツ線を記入します。'

  • @前身頃でも同様に前肩線を首側へ延長します。ABp〜H をコンパスに取り、Bpを基点に肩線上に円弧を振り、交点をHsとします。


  • B次にHsを基点にHs〜Ab をコンパスにとり,上に円弧を振り肩丈の増加分を取ってDとし,Hs〜Dを結びます。C元の肩線のダーツの位置(Ab 〜 F)をDより取って Cとします。


  • 別紙にBp ~F ~Hs を写してBpを基点にしてF 〜 Hsを振り戻してF' を決め、ダーツ線を記入します。


  • 下図はダーツはその儘で肩線が上がった完成図です。



  • ☆ この二つの方法の使い分けは肩周りの雰囲気をどうするか?の判断によります。丸みをその儘に肩丈を上げたい場合、 肩の丸みを減らして前後にゆとりを付けたい場合、の判断によって方法を選択します。


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